第四十九話 冒険者協会支部
俺は走っていた。
ステ露出狂を止めるために。
一階のロビーにたどりつくと、もう始まっていた。
「これからステ発表会を始めます。イエーイ」妹だ。
「うおぉぉぉおぉぉぉッ!」
「久しぶりだぜー」
ある者は立ち。あるものはテーブルで頬杖をつき。また、ある者は床に座り、かべを背もたれにし、中央の妹を見ていた。
二十……いや、三十人くらい見てるかな?
一部、こぶしをふりあげ、テンションがヤバいのもいる。
「もう始まってますね……ヤキソバさん止めてください……わたし大勢の人に注目されるの、ホントだめなんですよ……」お姉さんは俺の右斜めうしろ、前かがみになって肩で息をし、両手を膝について言った。
「……すいません。大勢の人に注目されるの、俺もだめなんですよ……」
「ヤキソバさんって、結構。たよりにならないですよね……」お姉さんは目を閉じ、顔に影をつくって息を吐くように言った。
ご期待にそえなくて、すいません……。
「やり方が分からないなら、俺がやろうか?」スキンヘッドだ。
「よろー」妹は、ステ鑑定書をわたす。
「代理人となりましたアークです」ロンゲがいう。
「ライトです」スキンヘッドがいう。
『ふたり合わせて、アークライトです』
なんで合体させた?
手には円柱の筒が、拡声器か。あれ。
ライト――スキンヘッドが続けていう。
「えー。恒例となっている、ステータス鑑定発表会の時間です。
このために、ボイコット町にとどまってる。
という、物好きな方もいるかもしれないですね」
観客はドッと沸いた。
「もう知ってる人は多いと思いますが、
初めての人もいらっしゃるかと思います。
なので。説明の方をさせていただきます」
説明してくれるのか。
スキンヘッドのライトは続けた。
「今から発表するものは、『基本ステータス』というものです。
筋力
敏捷力
知力
技術力
魔力
抵抗力
潜在能力
の七項目でなりたっています」
ああ、転生の部屋で、わりふったよな。
「潜在力と魔力以外の項目は、実際の肉体において影響があるとされ。
『自分の知り合いは、華奢なのにすごい力がある』そんな人は、これが高いからだと思われます。
『元々の肉体に加算される力』ということですね」
テッシちゃんみたいな人のことか。
「自分も筋肉があるように見えて、筋力がDだったので『ライトって意外と力がないよね……』なんて知り合いに言われることもあります」
ライトは笑って言った。なんかつれえ……
「『基本ステータス』は、潜在能力以外はCが平均で
S 二五
A 二〇
B 一五
C 一〇
D 五
E 〇
となっています」
ほうほう。
「潜在能力だけは、C以上しかありません
S 一五
A 一〇
B 五
C 〇
となっています」
そうなのか。
「次に『スキルステータス』です。
これは、大半のボイコット町の冒険者には、関係ないかもしれません。
ですが慣習上、発表させていただきます」
なんだそれ。
「それは、次のようになっています
S 一一〇
A 九〇
B 七〇
C 五〇
D 三〇
E 一〇
この数字は、一〇上がると+表記がつき。
二〇上がると、次のランクに上がります。
六〇だったらC+、八〇だったらB+です。
ただし慣習上、一〇〇だけはA+ではなく、S-となっています。
これは『基本ステータス』とリンクしています。
たとえば、筋力の『基本ステータス』がCだったのなら、
筋力の『スキルステータス』は、五〇となります。
これに潜在能力の『基本ステータス値』を、直接足したのが『最終スキルステータス』となります。
たとえば、筋力の『基本ステータス』が、『Bで一五』。
潜在能力の『基本ステータス』が『Aで一〇』あったとします。
まず筋力のスキルステータスは『基本ステータス』がBだったので、七〇となります。
そして潜在能力の『基本ステータス』が一〇なので。
たして『最終スキルステータス』は『八〇のB+』となるわけです。
まあ潜在能力は『スキルステータスに直接くわえる』と考えれば、間違いないでしょう」
なんだか、えらく難しいな。
俺はこんらんしていた。
「では、ステータスの発表。いってみましょう」




