第四十八話 冒険者協会支部
「なんで、セレクターってわかったナノ?」
俺とフェリリは、小声で話した。
「セレクターって、なぜか理由もなく、冒険者になりたがる気がするからな」
「あんなに、態度がやる気なさげなのに、ってことナノ?
アンニュイ系女子な、だけかもしれないよ?」
「あと、口調もそれっぽいし。
まあ、結局そんなやつは、いくらでもいるだろうから勘なんだけどな」
「それにしても、あんな子を入れて役にたつナノ……?」
「どうだろうな。
テッシちゃんみたいに、時間帯や戦闘中で性格が変わる、
バトルジャンキー系かもしれないし」
「違うナノ!
テッシちゃんはサディズムなの!
テッシちゃんにチクるナノ!」
「なんでもいいけど、さそってみようぜ。
あとテッシちゃんには言うなよ。うっかり言っただけだからな」
フェリリと話していると、バタバタと妹が走りよって来た。
「お兄ちゃん助けてよ。あいつ、のらりくらりなんだよー」
「マヤ。俺はあの人を、パーティにいれることにしたから」
「えー」
「ありがとね~」
「そのかわり、ちゃんと戦ってもらいますからね。
お名前きいても、よろしいですか?」
「ウェイブだよ~」
「よろしくお願いします」
「よろしく~」
「ステータス鑑定とか、あるんじゃのう」
カゲヤマさんが、冊子をみている。
「やってみますか?」
「ステータス鑑定したら、みんなの前で発表やってくれよ」ロンゲだ
「冒険者の初心者は、みんな通る道なんだぜ。へへへ」スキンヘッドだ。
「なにそれ面白そう。お兄ちゃんやってもいい? 私目立っちゃうかも」
「やりたいならいいぞ。
俺は鑑定終わったら、上の売店いってくるから」
「分かった。今のうちにこれをわたしとくね」
マヤは俺に四角のマシーンを見せた。
「なんだよこれ」
「これは携帯型の魔話器だよ。これでお兄ちゃんといつでも話せるね!」
「なるほど」
なんか監視されてるみたいで、こういうのって正直、苦手だけどな。
俺はみんなで、鑑定を受けたあと、パーティメンバーに断って、冒険者協会の売店に行った。
売店にいくと。
元、三つ編みのお姉さんがいた。
「こんにちは」俺は声をかけた。
「こんにちは。調子はどうですか?」お姉さんがきいた。
「なかなかですね。今日は初クエスト受けることにしました。いよいよ冒険者って感じですね。お姉さんは休憩中ですか?」
「そうですね」
「お疲れ様です。それから、今日はステータス鑑定ってのを、やってみたんです」
「あー、ありますね鑑定。鑑定はこまった人たちがいて、何度、注意しても発表会をやるんです。騒いじゃって、ほかの人たちの迷惑だし。本当にこまった人たちです」お姉さんはうなだれた。
「そういえば、妹がやるっていって。鑑定書をわたしましたね」
「えっ。まずいですよ……」
「まずかったですかね。さらし者ですか? ステふりのステータス補正があるし、そう低くはないでしょ?」
「だからですよ。セレクターは、べらぼうに高い数値が出るから、怪しまれますよ……」
マジかよ……。
俺は携帯魔話器をかけた。
「んー? お兄ちゃん?」
「俺、俺。ステ鑑定の発表会は中止してくれ。オッケー?」
「もう始まったよー。間に合わないね。じゃ切るねー」
切り音とともに通話は途切れた。
……なんで切るんだよ……!
あいつ目立ちたいだけだろッ!




