第四十六話 ステータス発表会と無気力な少女編 8月3日 宿の食堂
八月三日、二陽十三時半。
宿の食堂で、みんなで今後の話をすることにした。
「これからどうしますか?」
「モンスターをたおして、レベルを上げるんじゃろう?」
「上げた後はどうするんですか? 将来的には」
ひとまず、聞いておきたいな。これは。
「なんじゃ目標の話か。それこそ、ヤキソバ殿が決める話じゃろう」
「俺が決めちゃっていいんですか?
みんなは、どうしたいんですか?」
「わしはレベル上がったら、もっと敵の強い町とかに行きたいのう」
「アグレッシブですね」
「わたしもデスね」
――大丈夫ですよ。
転生したみなさんは、素直ですから、
そのときに、おうじて、それなりに、世界をすくおうと、なさってくれます──
三つ編みのお姉さんが、転生の部屋で言ってたけど……
「わたしは今の町でいいかな……バイトもあるしね」
俺はおどろいた。
いちばん次に進みたがると、おもってたのに。
「もしかして、マヤ。
おまえ何か、悩みごとがあるんじゃねーのか?」
「え? どうしてそう思うの? お兄ちゃん」
「いや……なんか朝から話してて、ため息が多いかなって……そうおもったから」
「べっつに……そんなことないけど……」
「そっか。なんかあったら言えよ?」
「うん……わかった……」
言ってはみたものの、何かひっかかるな。
「ヤキソバ殿。マヤ殿の気分転換に、クエストとかどうじゃな」
「クエスト?
冒険者協会でうけられるんですか?」
「そうじゃよ」
「じゃあ、食べ終わったら午後いきますか」
◆ ◆ ◆
八月三日、二陽十五時。
俺たちは、町の冒険者協会支部にきていた。
「さあ、クエストやるナノよ」
「フェリリさん、やる気デスね」
「ある程度クエストやらないと、冒険者証の減税が来月からなくなるナノ」
「そりゃガンバらないとな」
「お兄ちゃんは前世界ではニートだったもんね」
「――違う」
「えっ。何が違うの? お兄ちゃん」
「確かにニートの定義は三十四歳までだけど……。俺は、気持ちそれとなく、勉強してたから無職だ。それにニートは本人の努力より、社会的、経済的な側面の影響のが、強いとされてるし……」
「でも定義上はニートでしょ? もしかして、お兄ちゃん気にしてたの? ごめんね……でも大丈夫だよ! 私が働いてお兄ちゃんを養ってあげるから!」
「よくわからんけど、この世界は仕事がたくさんあるから、安心じゃぞ」
クエストの概要が書いてある紙が、壁に張りついている。
「切ると呪われる木の伐採……いやなお仕事デスね、これ……」
「――これなんて、いいんじゃないかのう?」
「りゅーきしの討伐。
正体不明のりゅーきしが、狩場の専有をしてこまってます。
肉が取れなくて、流通ができないよー。詳しくは受付で。だってさー」
「報酬も多いし、これにするか」




