第三十九話 VSトローフガーゴイルその2
「スクロールのことですが。
パイロフレイムだけってマジですか……」
「まじまじ。
あと、わたしは詠唱中はしゃべれないから、
はなしかけないでよね。絶対だよ?」
ガーゴイルは中空にて静止し、
また、何かのマジックを使うそぶりをした。
それをみて、テッシは俺のまえに立ちふりむく。
女性を盾にするのは情けないが、状況が状況なのでしかたない。
「ヤキソバさんはLPが減ってるので、相手のこうげきに気をつけてください。わたしが先にうけますデス」
「わ、わかった……」
ガーゴイルの腕から霧が発生し、こちらにむかってくる。
クラウドシャワーはBP八〇〇〇だったか。
「ブランクキャンセル、減退の呪符じゃ」
札が、ガーゴイルにはりつく。
「この感じ……対象はわたしデスね。みんなは下がってください」
霧はテッシの上へ集まり、水の束がおそいかかる。
「ブランクキャンセル、ブレイブヒール! テッシです!」
テッシは水の束がふると同時に、誰もいない方向へマジックを放った。マジックは敵の攻撃がやんだあとに、テッシの元へともどり傷をいやす。
時間差をつくることによって、ブレイブヒールでBPを上げて、攻撃をうけつつ回復したのか。
ブレイブヒールが先に出ると回復ができず。
後に出ると、BPが上がった状態で敵の攻撃をうけられない。
これなら、ちょうどいいな。
「ブランクキャンセル、治癒の護符! テッシ殿」
テッシは クラウドシャワーで 二四六七ダメージ。
テッシは ブレイブヒールで 五七五かいふく。
テッシは 治癒の護符で 二四五かいふく。
「二枚おろし! なで切り!」
俺は時間をかせぐ。
どうやら、パイロフレイムの詠唱も終わったようだ。
しかし、ガーゴイルが降りてこない。
「フェリリ、タックルであいつ落とせないか?」
「無茶いうなナノ……」
「これじゃ詠唱の時間かせいでも、仕方ないのう……」
ガイーゴイルは、詠唱のそぶりをしている。
「またクラウドシャワーか? おいおい、これじゃただのサンドバックじゃないですか」
そのとき、ガーゴイルの後ろから、
電撃球が近づいてきた。
ガーゴイルが、気がついて逃げようとするが、時すでにおそく。
電撃球は追尾、炸裂しガーゴイルは「ギャウ」という、だしぬけな声をあげ地へおちる。
「あれはボイコット町の魔道砲の電撃球じゃな! チャンスじゃ!」
マヤさんは、走りよってマジックをはなつ。
「やっとかー、パイロフレイム!」
炎の柱は、地をはずみガーゴイルをおそう。
ガーゴイルは、また円形の水の壁『トローフシールド』を生成する。
「便乗して、かいふくしましょうデス。ブランクキャンセル、ブレイブヒール。ヤキソバさん」
「ブランクキャンセル、治癒の護符! ヤキソバ殿」
「魔道砲の電撃球 BP一〇〇〇〇 みたいナノね。レンジは超長距離」
魔道砲の 電撃球 ガーゴイルに 二六二〇ダメージ。
マヤの パイロフレイム ガーゴイルに 二七〇三ダメージ。
テッシの ブレイブヒール ヤキソバに 六八〇回復。
カゲヤマの 治癒の護符 ヤキソバに 三三七回復。
ガーゴイル LV七〇 HP 五九六二/一四〇〇〇 BP六〇〇〇
ヤキソバ LV一九 HP 三五四三/ 四二九〇 BP二六三〇
テッシ LV一九 HP 二〇七三/ 三七二〇 BP二七七〇
カゲヤマ LV一九 HP 四一〇〇/ 四一〇〇 BP二五〇〇
マヤ LV一三 HP 二六四〇/ 二六四〇 BP一一七〇
よし!
あと一回くらい、電撃球とパイロフレイムをあてれば――。
しかし、ガーゴイルをみると何か唱えている。
いままでよりも、長い詠唱だ。
なんだ……。
「ガーゴイルのマジックくるよ!
ウォーターレーザー
BP一一〇〇〇 レンジ四 三連携、三回攻撃 詠唱時間、三攻防くらい」
なんだよそれ……
マヤに向かって、レーザーが放たれる――。
「あぶないデス、ふり下ろし」
テッシが前に出てうたれる。
なおも狙うレーザー。
「とりあえず壁じゃ」
カゲヤマが、前に出てうたれる。
あと一発、俺が壁になるっきゃねーか。
「くそっ、二枚おろし!」
俺は、前へ出て放水をうける。
よろめいて、腰をおとす俺。
魔卓からおくられた、視界の表示をみる。
ガーゴイルのウォーターレーザー テッシに 五三七〇ダメージ。
ガーゴイルのウォーターレーザー カゲヤマに 六八四〇ダメージ。
ガーゴイルのウォーターレーザー ヤキソバに 四八三七ダメージ。
ガーゴイル LV七〇 HP 五九六二/一四〇〇〇 BP六〇〇〇
ヤキソバ LV一九 HP 〇/ 四二九〇 BP二六三〇
テッシ LV一九 HP 〇/ 三七二〇 BP二七七〇
カゲヤマ LV一九 HP 〇/ 四一〇〇 BP二五〇〇
マヤ LV一三 HP 二六四〇/ 二六四〇 BP一一七〇
えっ。
ガーゴイルはマジックを放った後。
なおも、ウォーターレーザーらしき詠唱を唱えていた。
俺は周りを見回すが、電撃球は来てはいなかった。




