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第三十三話 VSダサネズミ

「おい! MPのケタが、おかしいじゃねーか!」

「あ、本当なの」


 フェリリはうなりながら、巻物をチェックしている。

 俺は、フェリリの右横からのぞきこむ。


「あったナノ

 ばくだいな魔力

 常時、最大MPプラス一万 だってさ」

「ばくだいですかー」


 声のする左横をチラリとみると、ま近にテッシの顔。

 うわっ。

 俺は、のぞきこむテッシちゃんに、おどろいてのけぞる。


「す、すいませんデス……」

「いや――おどろいてごめん……」

「そろそろ、ダサねずみの巣につくのう」


 ここも、わりと、ひさしぶりな気がする。

 あいもかわらず、巨大なねずみが、うろうろと歩いている。


「ここで、マヤさんのレベルをアップさせるかのう」

「べつに、それでいいけど……」


 なんか、マヤさんの機嫌がちょっとわるいな……


「わたしが敵の攻撃をうけ止めますから、

 マヤさんは魔法で攻撃してくださいデス」

「うん……わかった」


 俺はフェリリに小声できく。


「フェリリ、マヤさんのクラスなんだったっけ?」

「インセキマドウシってなってたよ」

「サンクス。へんなクラスだな」


 パーティを組まずに、テッシちゃんが攻撃をうけ。

 妹が攻撃でたおす。

 このやり方なら、百%の経験値が妹に入るはずだ。


「わたし、かんつー魔法をつかうけど、

 テッシさんは、いちおーちゃんとよけてよね」

「わかってますデスよ」


 妹は紙のたばを取りだし、それを読みはじめた。


「あれなんですか?」

「あれはスクロールじゃのう。

 みずからが、覚えていないマジックでもつかえる。

 便利なアイテムじゃ」

「それはいいですね」

「使いすて、なんじゃけどな」


 テッシちゃんは、ダサねずみをけん制し、敵を通さない。

 テッシちゃんをはさんで、マヤさんはむこう側で、スクロールを読んでいる。


「――燃えさからんことを! テッシさんどいて!」


 テッシは声を聞くなり、地をけり、

 妹から見て、左にすばやくどいた。

 マヤさんは、つづりになっている紙のたばから、一枚をやぶりとり、

 右手で、にぎりつぶした――紙は青白く燃え、かききえた。


「パイロフレイム!」


 マヤさんの右手から放出された炎は、地面を巻きこみ。

 敵にむかって、ジグザグ、ななめに立てた、分度器の半円にそうよう。

 円柱のプロミネンスをおこしながら、おそいかかり――ダサねずみを、焼きつくす。


「ぐぎゃあああああああ」

「なんだか、かわいそうデス――地面の草が」

「テッシちゃんって、ダサねずみにきびしいよね……」

「そうですか? そう見えます?」

「まあね……俺はいちばん好きだけどね、ダサねずみ」

「かわってますデスね。ヤキソバさんって」

「そ、そう……?」


「パイロフレイム 

 BP一三〇〇〇で攻撃 レンジ四 かんつう

 スクロール時の詠唱時間、三攻防くらい

 ダサねずみに、七七一六二ダメージ なの」


「えっ、なんだそれ……」

「なにって、スクロールだけど――いっかい二万クリくらいかな?」

「えらく、高いじゃないですか……なんでダサねずみに?」

「べつに、お金を払うのは、わたしだし。

 使うのは、わたしの勝手だし。

 これMP五〇〇くらいしか、使わないやつだし――」

「いやいや、そういう訳にはいかないですよ。マヤさ――」

「……だって、つまんないんだもん」

「えっ」

「こんな雑魚たおしたって、面白くないんだもん。

 しかも、はじめての、おつかいみたいだし、

 さらしものみたいで、みっともないよ。

 はやく、わたしを最新の狩り場へ、つれていってよ!」


 俺たちは、こそこそと作戦会議をする。


「しかたないのう。

 ここは、レベルの高いところへ、つれて行ったほうが、よさそうじゃのう」

「はじめてのパーティ活動で、

 マヤさんの機嫌をそこねるのは、よくないデスしね」

「そうですね……」


 なぜだろう。

 わがままな妹をみて、俺はすこしだけ、うれしかった――。

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