第二十二話 初めてのパーティ編 8月2日 洗面所
よく寝たなー、俺は背のびをする。
八月二日、一陽六時半。
洗面所にいくと、パジャマのカゲヤマさんがいた。
「おはようっす」
「おはようじゃ」
「巫女服じゃないんですね」
「そりゃそうじゃろう、これは、三階の商店で買ったんじゃ」
「にあってますよ」
「どうもじゃ」
俺とカゲヤマさんは、歯をみがきながら、しゃべる。
カゲヤマさんは、あおい水玉のパジャマを着ている。
カチューシャはつけずに、長い髪の、先たんも、まとめていない。
こうしてみると、やはり、カゲヤマさんは小さいな。
身長、百四十センチくらいだからな。
「テッシちゃんは起きてるんですか?」
あの子は、なんとなく、目ざめが悪そうだ。
「テッシ殿は
『なんで、あんなこと言っちゃったんだろうデス』などと、
しきりに、言っておって、布団から出てこないんじゃ」
「そうなんですか……
テッシちゃんは、きのうは大活躍でしたから、
気にしないで、欲しいですね。
そのように、つたえてもらって、よろしいですか……?」
「おお、わかったんじゃ」
俺とカゲヤマさんの、ブラッシングの音が、ひびきわたる。
「ところで――」
カゲヤマさんが、コップで水をクチにふくんで、はき出す。
「おぬしにひとつ、
言っておきたいことが、あるんじゃが……」
「……なんでしょう……?」俺は水をクチにふくむ。
「わしは、十七歳なんじゃが」
ブーッ。
下へ思いっきり水を噴出した。
ゴホッ、ゴホッ。
「すまん、大丈夫か?
気にしてるので、
あまり、おどろかないで欲しいんじゃが」
「大丈夫で――ゴホゴホッ、それに驚いてませんゴホッ」
「ほんとに大丈夫かのう……」
カゲヤマさんは、
蛇口にかがんで、丸まった、俺の背中をさする。
このひとって、セブンティーンだったのかよ……
俺は、むせかえり続ける。
「ゴホッ、お昼になったら、
三人で、今後について話をしましょう。
十二時まえに、魔話器の内線で、連絡入れますから。ゴホゴホ」
「了解なのじゃ」
そういうと、カゲヤマさんは部屋へもどっていく……
……そのうしろ姿を見ながらも、
俺はまだ、信じられなかった。




