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第十三話 郊外

「あ……いや……

 うーん、えっと……

 これから、ちょっと、時間ある……?」


 なんか、自分のことながら、

 たいどが、あやしい気がする……


「めちゃくちゃ、ありますデス」


 そんなあんの……?

 ふだん、この子、なにやっているんだよ……? 

 俺は、疑問をいだきつつ、

 テッシちゃんから、視線をはずした――。

 そして、チラチラ、のぞき見るように、

 テッシちゃんの、表情をうかがって言った。


「――じつは……俺、パーティメンバーをさがしていて……

 でも、レベルが低くて、あつまらなくて――

 だから、講習の日程が、かんぜんに、終わってからでいいから、

 テッシさんに、パーティへ、参加してほしいんだけど……どうかな?

 まだ、俺だけで、これから、ほかのメンバーを探す予定なんだけど――」


 『レベルが低くて、あつまらなくて』ってあたり。

 ちょっと、おどしっぽい、セリフチョイスな気がする……。


「いいデスよ」

「――それって、どっちの意味……?」

「――わたし、パーティに、参加したいデス」

「そっかーよかったー」


 俺は胸をなでおろす。


「わたしの方こそ、よかったデス。

 じつは、この講習は、受講者が、

 ふたり以上あつまらないと、ひらかないものて、

 三カ月も、待っていたのに、誰もこなくて、こまってたんです――。

 講習もできて、パーティにも参加できて、ヤキソバさんは、わたしの救世主デスね!」


 テッシちゃんは、下からのぞき込むように、

 満面の笑みをみせた。

 そういえば、三カ月まえに、協会支部代理の家で、

 テッシちゃんを見たんだったか。


「これからも、パーティとして、頑張りましょうデス」


 テッシちゃんはガッツポーズをする。


「よろしくお願いします」俺はかるく頭を下げた。


    ◆ ◆ ◆


 それから、二日がたち―舵手講義は最終日をおえる。


 俺とテッシちゃんは、LV九まであがった。


「これで、この講義も終了ですね」「おつかれ様です」ふたりは会釈した。

「……ここでひとつ、言っておかないと、いけないことがあります」「それは、この講義が、なかなか、ひらかれなかった理由です……」

「理由?」

「それは、私たちが、ふたりだったからです。

 じつは、わたしのクラスは『活動不能状態』を解除できる、

 マジックが、使えないクラスで、

 それで、妹の魔法が必要だったんです。

 できるだけ、加勢しない方向性で、やっていたので、

 けっきょく、蘇生魔法どころか、

 回復魔法も、あまり、使わなかったんですけれども

 二対一で教えるとなると、費用が割高ですので……

 お待たせすることになって、すみません……」ふたりは、両手をヒザにそえて、頭をさげた。

「いえいえデス。

 ひまだったので、ずっと、代理所で、待っていただけなのです」テッシちゃんも、頭をさげた。

「まあ、俺はここへきて、

 すぐに、はじまったので、待っては、いないんですけどね」


 なんだか、微妙に、かやの外という感じ。


「きっと、これからも、私たちのような、

 不器用な冒険者と、出あうと、おもいます。

 むしろ、器用な冒険者のが、少ないとおもいます

 でも、助け合っていけば、きっと、冒険がよりよいものに、

 なっていくと思います。

 これで、講義を終了します……

 ありがとうございました――」

「ありがとうデス!」

「ありがとうございましたー」

「ありがとうナノ!」


 拍手の中、この不器用な二人のおかげで、俺とテッシちゃんが出会ったというのなら、人間の不器用さというものも、あんがい捨てたものではないと俺は思った。

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