僕は死んだ
どうやら僕は死んだみたいだ。
今僕は僕の葬儀会場に来ている。
たぶん幽霊っていうものになったのかもしれない。天国と地獄のどちらかを選ぶエンマ様何ていなかったし、実際お坊さんのお経を聞いていても何も感じない。
実際幽霊何てそんなものか。しかし、本当に死んだとするなら早く成仏してしまいたいけれど、一体どうしたらいいのかわからない。
もちろん、愛する人や家族に友人、ペットや、残っている仕事、全てそういうのは落ち着かせたいけど別に悔いが残ってるという程でもない。どうして僕は幽霊として今いるんだろう。
葬儀会場では家族や恋人に友人がみんな泣いている。有り難い。こんな僕の為にあんなにも泣いてくれてる。もうこれだけで僕は後悔何てないし、むしろこんな光景いつまでも見ていられない。
「おにいちゃん」
「…?」
小さい男の子が僕に向かって声をかけているようだけど、僕が死んでいるのなら僕じゃないだろう。
「ねぇねぇお兄ちゃん」
「…?…僕?」
違うとは思ったけど、返事をしてみた。
「そう!お兄ちゃん」
「え?僕???」
「そうだよ!」
この子には僕が見えている…?つまり…霊能者?
「えっと…君には僕が見えてるの?」
「うん、見えてるよ。お兄ちゃん死んじゃったんでしょ?」
「ん~…そうみたい。よくわかんないけど。」
「たまにお兄ちゃんみたいな人いるんだよ」
「僕みたいなのって?」
「悪い幽霊でもないし、悔いとかもないのに残っちゃう人」
「そうなんだ…。。ん?君は?」
「僕はここのお寺の息子だよ!」
「でも君のお父さんには僕見えてないみたいだよ?」
「お父さん霊感ないからね。代々受け継いでお坊さんやってるだけで、お父さんには全然霊感とか全くないよ」
「お坊さんってみんな霊感あるのかと思ったけど、そんな事もないんだね~。」
「そうそう、だからお兄ちゃんみたいな人がいると、大体僕が面倒見てるんだよ!」
「面倒って…。でも実際僕どうしたらいいのかな?成仏できるならしたいんだけど…」
「お兄ちゃんって珍しいね、大抵こういう形で残った人は死んだ後の世の中気になるって喜ぶんだけどなー」
「ん~…あんまりみんなが悲しんでる所見るのも辛いからね」
「でも実際僕にはどうしようもないんだよ、せっかくだからお兄ちゃんが死んだ後どうなるのか見てみたらいいんじゃない?」
「どうしようもないんだ…そっか、じゃあ…そうしてみるよ。」
「一応お兄ちゃんに教えておくね!幽霊に睡眠とかないからただただずっと起きてるしかない。だから幽霊って存在してるだけで疲れちゃうんだけどね!って言っても実際に体的な疲れはないから安心して!ゆ~っくり時の流れを感じるしかないんだよ!暇かもしれないけど!」
「何か君、子供にしては言葉遣い凄いしっかりしてるんだね、時の流れとか」
「一応お寺の子供だしね!」
「ありがとう、何か困った事あったら君に頼っていいかな?」
「うん、大丈夫!」
そうして、僕は幽霊のまま僕の死後の世の中を見て過ごす事になった。