ハルピュイアの少女-17
「あぁ……生きてる……」
脇腹に凄まじい痛みを感じて目が覚めた。
「何回死にかけてんだよ俺……」
ダメだ、こんなのに慣れてたらいつかほんとに死ぬ。
魔法で傷が治るからって甘く見るのがいけないんだけど。
これがあるから大丈夫って思えるものに頼りすぎだな、ダメになる典型的なやつだ。
隣を見ればゴリゴリと何かをすり潰してるし、青臭いし。
あの死神君はいったい何を……。
『毒草』……水溶性神経毒を含んだ草。麻痺性がある
……うん?
薬草なら分かるよ、うん。
なぜに毒草?
そしてなんで俺の方に持ってくる?
殺す気ですか?
「おい」
「お前で最後だ」
何が最後!?
口封じが最後なのか!?
「ちょっと待てい!!」
いや、うん、分かった、分かってる。
神経毒って使いようによっちゃ感覚が一時的に死ぬからな。
麻痺させて痛くないうちに治療行為を、ってことだろう。
だが俺は自分で治癒出来るからな。
こんな医療の腕がさっぱり分からんどこのウマの骨とも知れん野郎に変な治療はされたくない。
感染症も怖いし。
魔法の方が確実だし……出血したら血は戻らないけど。
「さっさと傷塞がないと死ぬぞ」
起き上がったら何かがこぼれ落ちた。
ナニかというかナカミだな。
……こーいうのに慣れてる自分がもう終わってると思う。
服を捲って見ようとしないあたりまだ無意識に否定してるけど、意識的に何も感じてないのがもうダメだ。
「自分で出来るわ!」
なんでこの人、縫合針のパッケージなんて持ってんだか。
さっさと魔法で治してしまおう……こんだけ内臓こぼれて痛くもないってホントにヤバいじゃん?
魔法を使う。
やっぱりさ、なんかこう、映像の逆再生でも見るかのように傷が塞がるのってさ、質量保存の法則とか完全に無視してない?
完璧に治してから血で汚れたシャツを脱いで身体を見る。
……だって見たくないじゃん。
で、どこにも怪我の後はないけど若干の違和感が残る。
これもしばらくしたら消えるしいいだろう。
いやいいだろうで終わったらダメなんだよ。
結局大丈夫だからって感じになるとホント、いつか死ぬ。
『生属性魔法Lv.10の登録が完了しました。
スキル少女の想いの登録が完了しました』
とか思ってるといきなり頭の中に声が響く。
俺なんかした?
珠は拾ってないしスキルも知らんぞ。
なんだろうかこれは……解析を使ってみた。
【霧崎アキト】
種族:人間
職業:ノービスメイジ
【スキル】
解析Lv.9
魔力吸収Lv.9
魔法妨害Lv.9
少女の想い
【召喚獣】
バハムート(魚型)
【魔法】
火属性Lv.4
水属性Lv.3
生属性Lv.10
空属性Lv.1
破壊力:C
速度:C
射程:C
持続力:B
精密動作:D
魔力総量:A
成長性:A
……自分の状態見れるのかよ。
そんでまぁ……うん、マシにはなった。
異世界転移でいやっほうとかいう人らはさ、これ全部評価不能なくらい上に行ってんだろうね。
もしかしたら神の加護とかついてたりしてさ。
それに比べて何だ俺は。
初っ端からデッドエンドに片足突っ込んでんじゃん。
んーで、少女の想いとやらは。
『少女の想い』……一度に限り、寿命以外の死を肩代わりする
ありがたい、ありがたいけどこんなもんあったら俺、さらに一回なら大丈夫だからとか思ってしまう。
なんだこれ、じわじわと死に追い込んでいく……。
あっ、死神も来たしそういうことか。
そろそろ俺の最期が来ると?




