彼女の想い-30
俺、霧崎アキトは現在奇妙なパーティを組んでいる。
こんなアンバランスなパーティは今までに組んだことが無い。
王道の四人パーティのメンバー紹介といこうか。
No.1霧崎アキト・パーティリーダー・魔法使い。住所不定無職もとヒキニートの……もういいか、言わないでいいな。
No.2リナ・戦士。さっきレイズに頭を踏まれていた少女だ。パワードスーツを脱がせてみるとスレンダーなボディにまな板。背中には竜の翼と尻尾、竜人族だ。
No.3ヴァナディース・魔法使い。自称神様のお姉さん。ネグリジェ……というか見てるこっちが恥ずかしくなるベビードール? ランジェリー? のようなすけすけのかなり薄い布を纏っている。もちろん見える、透けてしまって隠すべきところが見える。
No.4ウォーデン・魔法使い。自称神様のじいさん。移動中に遭遇したのだが、とんがり帽子に青いマント、眼帯までした異質なじいさんだ。こんな場所で怪我もせずに歩いている時点で並みの者じゃない。
明らかにおかしいのが二人。
そしてこのアンバランス編成、前衛職一に対し後衛職三。
男女比は2:2でまあいい、しかしこの配置がダメだと思う。
俺の理想としてはこうだ。
盾とタゲ取りの前衛。
殴り前衛。
遠距離攻撃魔法使い。
回復と補助の僧侶。
だが今のパーティは、前衛は女の子でしかも武器は無しの素手。
よって盾も殴りもなし、というかさせられない。
後衛は俺とよく分からない自称神様とで魔法使い三人。
接近戦になったら詰み。
…………の、はずだったのだがな。
「ハッ!」
リナはそこらで拾った鉄パイプを振り回し、どうやったら女の子の片腕で持ち上げられるのかが分からないほどの瓦礫をぶん投げて、
「愚かなる者に裁きの光を!」
じいさんは魔法を使いながら走り回り飛び回り、曲芸師のように華麗に攻撃を躱し、
「がんばってぇ~」
高露出のお姉さんはなぜか俺の片腕にべったり絡みつき……。
俺はときおり攻撃が掠った二人に回復魔法を飛ばしつつ、撃ち漏らしを焼いたり凍らせたり。
敵自体は誰かが壊滅寸前まで追い込んでいたようなやつらの残党なので組織的な戦闘はしてこない。
それにしてもカオスだ。
リナさん、あなたその華奢な腕でどうやったらビュンッ! って音がする斬撃を刃のついていない鉄パイプで放てるの?
魔法使いのじいさん、実はあんた特殊メイクをしたスタントマンじゃないんですか?
そこらのおじいさんが、しかも魔法使いがそんなアクロバティックな動きをしますかね?
そして最後にお姉さん、あたっていますよ。
胸の柔らかな二つの丘が思い切り押し付けられていますよ。
さてちょっと訂正を入れようか。
前衛、凶暴な竜人少女とパワフルじいさん。
後衛、攻撃&回復&劣情をそそるものに絡みつかれている俺。職業で言えば賢者か。
瞬く間に周辺の赤い光点が消えていく。
ほぼ掃討は完了したと言ってもいい。
「ふぅ、この老体には少々応えるわい」
「危険なじいさんだなぁ、おい」
「ほっほっほー、まだまだ若いもんには負けんよ」
若いもんには負けん。
あんたが寿命でポックリ逝くまでは誰も勝てんでしょうよ……レイズ除いて。
それにしても俺がパーティリーダーでいいのだろうか?
こういうのは強い人が……いやでもなぁ。
うん、俺がやらなきゃだめだな。
前で戦うやつよりは後ろから支援する方が全体を見ることができる、という訳で隣のお姉さんは何もしてくれないようだから俺がやるしかない訳だな、うん。
リナさんとじいさんに周辺を警戒してもらいながら、マップを呼び出して周囲の状況を探る。
赤い光点はマップ端だから敵はいないと見積もっていい。
便利な世の中になったものだ、現実でもこういうマップが使えるのはいいな。
あの子の位置はすぐ近くの路地の奥。
レイズも一緒にいるみたいだし、早いところ合流してしまおう。




