表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アナザーライン-遥か異界で-  作者: 伏桜 アルト
dreaming of dream [夢を見る夢]
69/154

彼女の想い-28

「うぅん……」


 さっきからしきりにあっちを見たりこっちを見たり。

 レイズに落ち着きがない。

 ちらちらあちこちを見ては、そのたびに爆音が響いて戦火の轟が小さくなっていく。


 何をしているのかはだいたい分かる。

 恐らく索敵用か透視の魔法でも使って、それで敵を見つけて爆破しているんだろう。

 どうイメージしたらそんな魔法が使えるのかは分からないが、イメージ次第で使える以上どんなものがあってもおかしくはない。


「まったくもう……数が多い」

「敵はどんなのなんだ?」

「そうさな……こういうのか」


 おもむろに両腕を広げると、パァンッと柏手を打った。

 不思議と響くその音色は空気を震わせて、破壊を振り撒く。

 周囲の壊れていなかったビルのガラスがすべて砕け、ビルの内側にまるで散弾のように飛び散る。

 俺たちが立っている方には一切ガラスの破片が降ってこない。

 代わりにガラスまみれの白いパワードスーツらしきものを纏った死体がいくつも落ちてきた。

 ぐちゃりと音を立てて赤い池を広げていく。


「チィ、仕留め損ねた」


 ビルの屋上からガラス散弾の被害を免れた一人が飛び降りてくる。

 そして一階部分のヒビの入った壁を突き破ってもう一人。

 合わせて二人、運よくガラスで死なずに助かったのは幸か不幸か。

 ……どっちでも不幸だな。


 レイズが緑色の燐光を纏い、パワードスーツを着た者に襲い掛かる。

 壁を突き破ってきた方に一気に間合いを詰め、膝部分のアクチュエーターを破壊。

 バランスを崩したところで喉に一撃入れて、転倒させる。

 そのまま流れる動きで飛び降りてきた方を蹴り飛ばし、空の彼方へと送った。


「ほんと、雑魚、雑魚、雑魚。作業的な戦いになってくると嫌になる」


 転倒させた方の頭を踵で踏みながら、何事もなかったかのようにぶつぶつと愚痴をこぼす。

 踏まれている方を見れば女の子だった。

 俺と同じくらい、なんでこんな戦いに参加しているのか分からないほどの年齢。


 俺の方へと助けてと視線を投げかけてくるので、俺も女の子へと視線を合わせると視界に情報が表示された。

『白き乙女・如月隊配下・陸戦機動部隊』

 ……これ、ちょっとまずいものを見たかな。

 レイズは白き乙女のトップらしい、そしてこの女の子は白き乙女の兵士。

 怖い、この人は本当に敵に回したらいけない人だ。

 だって味方ですら容赦なく……。


「あ、あのー……レイズさん?」

「なんだ」

「それって味方ではないでしょうかねぇ……」

「攻撃してきた以上は敵として判断する」

「先に攻撃したのってあなたでは?」

「そうさな……お前は仲間だと言い張るやつらが影から包囲しながらライフルで狙ってきたらそれを仲間だと呼ぶか?」

「いや、呼ばないな。でも、だったらなんで狙われてるって分かったんだ?」

「それは教えない。そいつは適当に処分しておけ、ここからは別行動だ」

「えっ」

「敵の狙いはオレだ。一緒にいて巻き込まれる必要もないだろう」


 軽く地面を蹴って、ふわりと飛んでビルの屋上へと姿を消す。

 それにしても教えないか。

 信頼されていないからか、それとも単に立場の違いからか。

 考えても仕方がないな。


「…………、」


 ふと視線を下へ向けると、さっきの女の子は苦しそうに息をしながらそのままだった。

 喉をやられた上にただでさえ重たいパワードスーツの駆動部を壊されたんだ、動ける訳がない。


 一応回復魔法をかけておこうか。

 "適当に処分しておけ"と言われた以上、俺が適切だと思う判断を、助けるという処分しても問題はないだろう。

 なにも言われた通りに悪い方向に取る必要性はどこにもない。


 近づいていくと、俺を見る目に恐れがにじみ出た。

 そりゃそうだ、レイズ(あんなの)と一緒にいたのだから。

 とりあえずは喋れる程度に回復させよう。

 全快させていきなり暴れられたら嫌だからな。


「…………、」


 鋭くきつい目つきで睨まれる。

 おいおい、いくら目の前に動けず叫べない女の子がいるからと言って、エロいことをする気はないから睨むなよ。

 まずは喉に集中して魔法をかけた。


「喋れる……よね?」

「…………、」

「変な事とかする気はないからさ、君も暴れないでくれる? そしたら残りの怪我も治すからさ」


 女の子は無言で頷いた。

 俺は回復魔法をそこそこのレベルで発動して一気に癒すと、女の子の指示でパワードスーツを外していった。

 どうも一人では脱げないようだ。


「ん……一応、ありがと。それと後ろの人は?」

「後ろ?」


 レイズ以外に誰かいたか?

 そう思って振り向くと場違いな格好のお姉さんがいた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ