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アナザーライン-遥か異界で-  作者: 伏桜 アルト
dreaming of dream [夢を見る夢]
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フェニックスの少女-19

 キィィ……と木の軋む音がしてドアが開けられた。

 俺は窓際に立ってそれを待って行った。


「いたぞーーーーー!!」


 ドタバタと足音を響かせながら怖い人たちが集まってくる。

 よしよし、ここまでは誰だってできることだ。

 ここから先が俺のやること、魔法。

 天井を見てほしい。

 あそこに触手たちが吊るしているものはこの木箱の中にあった白い粉の入った麻袋だ。

 袋の表面には爆破の魔法を設置して、俺の足元には水の壁がせりあがってくる魔法を待機させてある。

 後は怖いお兄さんたちがこの部屋にたくさん入ってきたらドカン!

 そういう予定だ。


「おい小僧! 何盗み食いしてぇっ!?」


 言い終わる前に魔法を発動。

 一瞬にして水の壁が俺を包み込み、天井の袋が弾けて真っ白な粉が撒き散らされる。


「うぉっ! テメェ、貴重なぁっ!?」


 そしてまたも言い終わる前に点火。

 部屋の真ん中あたりにオイルライターのフリントから散らされるような火花がパチッと弾けた瞬間。


空間トラクトディボ――」


 詠唱のようなものが聞こえたがそれを掻き消して爆発が起こった。

 光が視界を焼いて、衝撃波が音を消し飛ばす。

 これならいける、詠唱も間に合っていないようだし。

 とか思っていると、


「ぐっ……」


 なんだか内側から外へ向かって引っ張られるような感じがした。

 どこかで見たな、爆発の後は閉鎖空間だと一気に気圧が下がるんだったっけ。

 うん……?

 ここ木造だぞ。

 なんであれだけの爆発を起こしたというのに部屋が崩れないのだろう。

 それを考えるとなぜ炎がだんだんと弱まっているのかも気になる。


「やってくれたなクソガキィ!

「なっ……」

空属トラクトをなめんじゃねぇ」


 親分らしき厳つい顔つきの男が立っていた。

 子分らしきやつらは全滅だが。

 一対一、俺がなんとかやれるかもしれない状況。


「ガキが」

「あの、見逃してくれません?」


 ザッと出口を塞ぐように足が置かれる。

 戦うしかないなー、戦うしか……。

 腕を突き出す。

 イメージするのは焼き尽くす炎の弾丸。

 撃ち出すタイミングで相手も詠唱する。


空間離トラクトディボーティウム

「焼き尽くせ」


 手の平で渦巻いた炎は集束して火焔の弾丸になり、撃ちだされた。

 標的の前には何かが展開されたのが感覚的に分かった。

 その何かにあたると炎は弾けて広がる。

 まるで防火壁にでもぶつかったように。


「ぬぁっ!?」


 少しずつだかその何かを侵食していく。


「テメェどこのもんだ」

「セインツですが」


 聞かれたからさらっと答えてしまったが、ここが敵地のど真ん中であることを忘れちゃいけない。


「そうか、ならなおさら死ね!」


 相手さんもやる気になったのか、何かが炎の弾丸もろとも消え去った。

 俺が使えるのは火属性、水属性、生属性、空属性。

 同時には三属性まで扱えるが、実際どういうものなのかよくわかっていない。

 対して相手はこの世界の人間だ。

 よくわかっているだろう。

 同じような道具を三つ同時に使える素人。

 一つしか使えないが慣れている人。

 どっちの勝率が高いか?

 もちろん使い慣れているほうだろう。

 赤ん坊にナイフを三本持たせるのと、殺し屋に持たせる。

 そんな感じではなかろうか。

 下手に扱って俺が自滅するようなヴィジョンが見える。


『さっさと殺りなさいよ! あんたが死んだら私まで道連れなんだから!』

(何をやれって言うんですか!)

『相手はレベル5のシングル。だったらあんたの魔法を組み合わせたら吹き飛ばせる』

(どういうことですか)

『魔法は相性の悪い属性をあてるかより強い魔法で壊せるの』

(あ、そういうお決まりってあるんですね)

『無駄話はいいからやりなさい!』


 女の子にきつく命令される俺とは……。

 それにしてもあの堕天使はこういうことは教えてくれなかったな。

 本当に使い方と混ぜ方だけで。

 まあいいか。

 魔法をイメージしながら腕を前に出す。

 火属性イグニの爆破と空属性トラクトの空間に干渉する特性を混ぜてみよう。

 ほら、よくゲームとかでも魔法の属性じゃなくて特性混ぜたりとかするじゃん。

 それにあの堕天使だって燃える水とか出してたし。

 ま、何が起こるかは何の保証もないけど。


「吹き飛ばせ!」

空間離トラクトディボーティウム!」


 愚直に同じ魔法を繰り出してきた。

 あれはどうやら見えない壁であることに間違いはなさそうだ。

 俺の方も火炎弾を生成するが、先ほどのような火焔と呼べるほどではない。

 赤い燐光と銀色の燐光が混ざり合い、白に近い光を発する弾丸……砲弾が出来上がった。

 撃ち出すと何の反動もなく壁のようなものにぶち当たり、瞬間空間が砕けた。

 なにかそこだけに真っ黒な穴が開いていて、空間が砕けたとしか表現のしようがない。


「やっ……た?」


 穴が徐々に塞がると、そこに敵はいなかった。

 床もろとも消えていた。


『あんた……魔法の属性じゃなくて特性を混ぜたの?』

「そうだけど……」

『普通の人はそういうことを思いつかないんだけど……』

「え……でもゲームとかじゃよくあることじゃん」

『はぁ、呆れたぁ。さっさと城壁壊しに行きなさい』


 呆れらても困るし、なんで俺の常識内のゲームが普通に通じているのかも気になる。

 でもなー、知識の大半はゲームとネットで得たものだから……。



ちなみに白い粉は小麦粉です

食料倉庫に潜り込めばそりゃ誰だって怒りますよ

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