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36.こいするひと

 ぱっ、と電気がついた途端、教室は溜息で満たされた。遮光カーテンが開かれて昼間の外が更なる光源となったときなど、やっと日常に戻ったのだと言わんばかりの開放感が誰もの顔を過ぎっていた。

 しかし、


「……で、どうしろっていうんだよ、」


 今までだって、まあ、似たようなことはあったけれども。

 誰かの一言で、クラス中は再び沈黙したのだった。


「まさかねえ、」


 と、何やかやとすっかり親しげな気分、ようは相憐れむ同病のものへの親近感で、四条は都司を見た。


「延々見せられる日が来るとはねー。」


三分クッキング。


「思いもよらなかったわ。」


 恐らく日本中の学生がそう思っていて、しかしながら、この学校の何十人、もしかしたらば三桁の生徒がその局面に行き会ったのだ。

 そして多分総意である。


「カレーのルーの作り方でしょ、マシュマロでしょ、チーズスフレに、ラザニアに、豆腐でしょ。」


 指を折々上げて行き、


--結構楽しかったかも。


「あ、あれは面白かった。」


 四条はどんどん一人で納得していった。


「美味しいココアの入れか、」


……たっ!?


 な、ものだから、都司が真横でどんな有様になっているのか、さっぱり気がつかなかったのだ。


「都司君・・・・・、」


 どうしたの?は、ついに口から出なかった。この年頃の女の子で片思い中で同病で、更にとどめとして四条だったから。


「あー……。」


 あっさり腑に落ちた。


「水芝先生も水芝先生で、かなりあれだけどさー、」


都司君、もしかしなくても。


「真砂さんの好きなもの?」


「……っるせえな、」


「顔出すぎだよ……。」


白目も充血せんばかりに真っ赤な彼を見れば分かること。


「今回のレポートのタイトルは『愛』ね。」


「……やめてくれ、」



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