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10.アスファルト
塗りたてのアスファルト。
「柊一郎さん、」
彼女は真っ直ぐきちんと、都司と目を合わせる。いつも、いつもだ。
『知ってるか?』
昼休みの喧騒が彼の鼓膜を小さく叩いた。
『女が目を合わせる時ってさー、』
クラスメイトの会話というのは、そういうものだ。
『相手が好きなヤツか、嘘ついてるときなんだってさ。』
「すべすべの道ね。」
うふふ。
ぴったり合わせたまま、きゅっと笑む。
「……そう、」
ですね。
赤面。
--きっと、
前者。
そうして足元に視線を落とし、彼女は非常に楽しそうにアスファルトへと足を下ろす。繰り返し、繰り返し。赤面した彼が楽しいのか、すべすべが楽しいのか。どちらなのかは判然としないけれども、機嫌の良い千誉の表情は嘘っぱちではない。
--と、思うけど。
み、短い……、