『南の長者のプレスマンと北の長者のプレスマン』
掲載日:2026/06/07
北の長者の家で祝い事があって、南の長者を招いて飲めや歌えの宴会が催されました。宴会は三日三晩続き、南の長者も、うまい酒とうまい料理に大層感心したものの、自分のほうが少し上だなと思っていました。
四日目にようやく宴会が終わり、南の長者は、北の長者に見送られながら、帰路につきました。しばらく進んで、愛用のプレスマンを座敷に忘れてきてしまったことに気がつき、急いで戻って事情を告げると、北の長者は、奉公人に命じて、何千本ものプレスマンを持ってこさせ、大変失礼しました。奉公人が、うちのプレスマンと間違って、混ぜてしまったようです。お手数ですが、この中からお探しいただき、これというものを何本でもお持ち帰りください。何でしたら、全部お持ちいただいても構いません。なに、箱から出していないものが、この十倍もありますので、と言うのを聞いて、南の長者は恐れ入ったということです。
教訓:愛用のプレスマンをなくしてしまうのは、腕をもがれるのと同じようなものである。プレスマンを何本でも持って帰っていいと言われるのは、千手観音になるのと同じようなものである。




