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第30話

「ああああああぁぁぁぁあぁぁぁぁ――ッ!!!!」


 泰志は絶叫と共に体を起こす。全身に嫌な汗が大量に噴出していた。動悸が激しく、自分が平常でないのが嫌というほど分かる。


 落ち着かせようと胸に手を当て大きく呼吸を繰り返す。添えた手が脈打つ心臓の鼓動をはっきりと伝えてきた。


 あれは現実に起こった事。先ほどの光景はただの夢ではない。事実、過去だ。


 泰志はその手でヴァンパイアを1人殺している。魔族を治める3種族のうちの1つ、上級退魔師が10人がかりでも倒すことができないと言われる存在をその手で殺めた。


 その殺めた存在、名はニルフェリニーナ・シンクレア。


 紛れも無い、エスリナの母親である。


 確かに泰志は魔族と人間の共存が叶えば良いと心の中で思っている。


 しかし、それ以上に。


 エスリナに協力するという事は、何より泰志にとって贖罪という意識の方が強かった。

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