王宮の暦と季節
この世界では、一年を象徴する十二の月に、
それぞれ異なる季節と意味が与えられています。
そして、月日はこう表記されます。
たとえば「三月十五日」は──
翠月〈すいげつ〉十五日。
この「月の名」には、それぞれの社交の空気が込められているのです。
※一か月は三十日です。
※物語内でもこの表記が使われますので、覚えておくと楽しめます
◆ 氷月(一月)
──厳冬・静寂・銀世界
年始の謁見、新年の拝賀が行われる。すべてが静かに始まる月。
◆ 霧月(二月)
──静けさ・伏流・仄暗さ
公の動きは減るが、私的な縁談や布石が水面下で進む。
◆ 翠月(三月)
──芽吹き・変化・社交再開
春の始まり。舞踏会と噂の季節。新しい“動き”が芽を出す。
◆ 芽月(四月)
──若葉・始動・清風
新任官の辞令が下り、社交界の年度が本格始動する。
◆ 花月(五月)
──花盛り・恋・衣替え
春から初夏へ。祝祭と縁談、恋と噂が花開く。
◆ 炎月(六月)
──陽光・蒸気・昼の陰謀
気温も空気も熱を帯び、見えぬ陰がうごめきはじめる。
◆ 煌月(七月)
──眩さ・熱・緊張
夏至祭と政変の兆し。光の下に、影が伸びる。
◆ 焦月(八月)
──焦燥・避暑・計略
宮廷の休暇と称して、密会と根回しが行われる“夏の静寂”。
◆ 収月(九月)
──実り・余韻・穏やかさ
巡幸や視察の時期。表向きは穏やかだが、火種は残る。
◆ 葉月(十月)
──落葉・揺らぎ・疑念
静かに揺らぐ季節。婚姻と政略が再燃する。
◆ 陽月(十一月)
──斜陽・備え・余熱
年の終わりに備える月。余熱を秘めつつ、準備が進む。
◆ 闇月(十二月)
──闇・封印・再誓
冬至の儀、再誓の月。すべてが一度、静かに閉じられる。