第3章|王宮の構造と日常
控室、庭園、サロン、舞踏会の間。
王宮には、明確な“上下”と“格式”が存在します。
侍女が通る裏の通路。
令嬢たちの立ち位置。
そして──誰が、どこにいたか。
その一つひとつが、
時に沈黙より雄弁に、
物語の流れを決めていくのです。
ここでは、物語の舞台となる王宮内部の空間を中心に、
身分と格式、動線と立ち位置の意味を整理していきます。
そしてもう一
この王宮には、“季節”と“月の名”にも、物語を動かす意味があります。
── それは、誰が“どの月に動いたか”で、その意図が変わるということ。
社交の季節は、静かに、けれど確かに巡っていくのです。
王宮の時は、暦に従って静かに巡ります。
一年を象徴する十二の月には、それぞれ異なる名と季節が与えられ、
そして、月の中でも日付ごとに“動くべきタイミング”と“動いてはならぬ沈黙”があるのです。
誰が、いつ、何をしたか。
それは王宮における、空間と同じほど重い“情報”とされていました。
◇◇◇
控室|侍女・令嬢・貴族で異なる“控え”の格
庭園|四季と階級が織りなす観察の舞台
サロン|噂と駆け引きの渦巻く社交の場
舞踏会の間|公的発表と私的思惑が交錯する空間
回廊と通路|上位者と従者がすれ違わぬための設計
王族の私室と謁見の間|許された者だけが入れる特権領域
季節と暦|十二の月がつくる王宮の時間軸