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お奉行様の空中裁判  作者: クロクマせんぱい
8/11

第8話:「空中商店街の封印」

空中商店街の存続をかけた戦いは終わった……かに見えた。

だが、商店街の中心に現れた“裂け目”が新たな波乱を呼ぶ。

むぅ、これはただ事ではないのう。さて、今宵も裁きを下すとするか!

プロローグ


空中商店街は、幽霊裁判によって撤去を免れた。

住人たちは喜び、街には再び活気が戻りつつあった。


しかし、お奉行様の心には一つの疑問が残っていた。


「これほどの大事を企んでおった者たちが、そう易々と引き下がるとは思えぬ……」


そんな矢先、ノコギリ仙人が奉行所へ駆け込んできた。


「お奉行様、大変じゃ! 空中商店街の“中心”に、妙な歪みが生じておる!」


「むぅ? 歪みとな?」


「風見鶏の塔の近くに、見たこともない“裂け目”が現れたのじゃ!」


「裂け目……?」


お奉行様は煙管をくゆらせ、目を細めた。


「……これは、何やら不穏な気配じゃのう」



第一幕:「異変の兆候」


空中商店街の中心にそびえる「風見鶏の塔」。

この塔は、商店街の象徴として、昔から住人たちに親しまれていた。


だが、今——その塔のすぐ側に、奇妙な裂け目が現れていた。


「まるで空間が歪んでおる……」


ノコギリ仙人が低く呟く。


「気づいたのは昨夜じゃ。最初は小さな歪みだったが、今朝にはこの通り、大きく広がっておる」


お奉行様は裂け目に近づき、霊視を試みた。


すると——


バシュッ!!!


突然、強い風が吹きつけ、お奉行様の前に不気味な影が立ちはだかった。


「これは……!」


影は低く囁く。


「この商店街は、封じられるべき場所……」


「ここに住まう者は、過去の“業”を背負う者……」


「封印せねばならぬ……」


影が語る言葉に、お奉行様の表情が険しくなる。


「封印……? そなた、何者じゃ?」


影は答えない。


「間もなく、この商店街は消える……」


影がそう言い残し、風とともに消えた。



第二幕:「空中商店街の過去」


「お奉行様、この“封印”って何のことなんや?」


藤田親方が不安げに尋ねる。


お奉行様は静かに口を開いた。


「ワシも詳しくは知らぬが……かつて、この空中商店街が作られた時、“封じられた何か”があったのかもしれぬ」


「封じられた何か?」


河合さちえが眉をひそめる。


「そうじゃ……江戸の時代、この場所は元々“空に浮かぶ市場”として作られたという伝説がある」


「空に浮かぶ市場……?」


「しかし、当時の記録はことごとく失われておる。それが意図的に消されたのか、あるいは何かの力によるものかは分からぬ……」


お奉行様は顎を撫でながら、考え込んだ。


「もし、この裂け目が過去と繋がるものであるならば……それが開いた時、何が起こるか分からぬのう」


その時——


「お奉行様ァ! えらいことや!」


住人の一人が慌てて駆け込んできた。


「風見鶏の塔が……崩れそうなんや!!!」



第三幕:「封印の正体」


急いで現場へ向かうと、風見鶏の塔が不穏な振動を放っていた。


「なんじゃ……塔が……?」


すると、裂け目の中から、再び影が現れる。


「この塔は、封印の要……」

「塔が崩れれば、商店街の均衡も崩れる……」


お奉行様はピンときた。


「つまり、この塔が空中商店街を支えておるのか!」


ノコギリ仙人が驚いた様子で言う。


「たしかに……この塔は、商店街の構造の“中心”になっておる。つまり、これが崩れたら……商店街全体が不安定になるかもしれん!」


「むぅ……ならば、塔を守るしかあるまいのう」


だが、その時——


ズズズズ……!!


裂け目がさらに広がり、黒い気配が塔にまとわりついた。


「お奉行様、このままじゃ塔が持たん!」


「ふむ……ならば、この塔に“封じられておるもの”を暴くのみ!」


お奉行様は再び霊視を試みた。


すると——


過去の映像が見えた!


——江戸時代、この塔は“空に浮かぶ市場”の守護として建てられた。

しかし、その市場には“禁じられた技術”が使われており、封印を余儀なくされた……。


お奉行様はハッと息を飲んだ。


「これは……“空中市場の遺産”か!」


「つまり、空中商店街は単なる商店街ではなく、かつて“封じられた空中都市”の名残だったのか……!」



第四幕:「封印を守れ!」


「お奉行様、塔が限界や!」


藤田親方が叫ぶ。


「むぅ……ならば、封印を強化するしかあるまい!」


お奉行様はノコギリ仙人と共に、塔の修復に取り掛かる。


「仙人よ! 妖怪大工の力で、この塔を支えられるか?」


「ふむ……やるしかないのぉ!」


ノコギリ仙人がノコギリを振るい、空間の歪みを削ぎ落とす!


「そして、封印の儀を執り行う!」


お奉行様が巻物を開き、江戸の法を唱える。


「封じられしものよ、時を超えてここに安らげ!」


ズズズズ……!!!


裂け目が縮まり、塔が安定し始める。


「や、やったんか!?」


「むぅ……これで封印は保たれたはずじゃ」



エピローグ:「まだ終わらぬ戦い」


塔は無事に安定し、空中商店街は守られた。


だが、お奉行様は目を細め、遠くを見つめる。


「しかし……まだ影が完全に消えたわけではないのう」


ノコギリ仙人が腕を組む。


「確かにな……“封じられた空中市場”があったということは、まだ知られざる歴史が眠っているはずじゃ」


お奉行様は静かに煙管を吹かした。


「ワシらの戦いは、まだ終わらぬ……」



次回:「最後の裁き! 未来の掟」へ続く!

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