第5話:「お奉行様、江戸へ戻る?」
空中商店街を揺るがす異変、消えゆく記録、そして謎の未来人――。
むぅ、これはただ事ではないのう。
さて、江戸と現代を股にかけ、今宵も裁きを下すとするか!
プロローグ
空中商店街の夜、静かに漂う月明かりの下、お奉行様は奉行所の縁側で煙管をくゆらせていた。
「むぅ……妙じゃのう」
ここ最近、商店街のあちこちで不審な動きが続いている。
屋根の破壊工作、商店街を狙う影、そして裏で糸を引く大和都市開発。
お奉行様は一連の事件に共通する“違和感”を感じていた。
「まるで、誰かが“商店街の歴史”そのものを消そうとしておるようじゃ……」
そんな時——
「お奉行様ァ! 大変や!」
藤田親方が慌てふためきながら駆け込んできた。
「なんじゃ、また何か起こったのか?」
「江戸時代の記録が消えかけとるんや!」
「なんじゃと!?」
第一幕:「消える江戸の記録」
藤田親方が持ってきたのは、商店街の「歴史書」だった。
そこには、お奉行様が江戸時代に制定した「空中商店街建設の起源」に関する記録が記されていた。
しかし、その記録が……
「急に文字が薄くなり、読めんようになってしもうたんや!」
お奉行様は歴史書を手に取り、厳しい表情を浮かべた。
「これはただの劣化ではない……何者かが“意図的に”記録を消しておる」
「誰がそんなことを……?」
その時——
ピキィ……ン!
突然、お奉行様の体が光に包まれた。
「むむっ!? 何じゃ、この感覚は……!?」
——気がつくと、お奉行様は“江戸時代”にいた。
第二幕:「江戸の奉行所で」
「こ、ここは……!」
お奉行様が目を開けると、そこは江戸の町だった。
しかも、自分が現役だった時代の奉行所。
「……夢、ではないな?」
見覚えのある部下たちが次々と報告を持ってくる。
「お奉行様、大変です! 空中商店街計画の記録が盗まれました!」
「なんと!?」
「記録を持ち出したのは“未来の者”のようです!」
「なに……未来の者、とな?」
お奉行様は背筋に冷たいものを感じた。
「もしや、これは“過去改変”の企みではないか?」
第三幕:「歴史を守る戦い」
お奉行様は江戸時代の奉行所を駆け回り、記録を盗んだ者を追った。
そして、ある路地裏にたどり着くと——
「お待ちしておりました、お奉行様」
そこに立っていたのは、怪しげな影の男だった。
「おぬし、何者じゃ!」
「私は“未来の役人”です。あなたの作った記録を消さなければ、未来の都市開発計画が進まないのです」
「未来の役人……?」
「あなたの存在が商店街を守り続ける限り、再開発はできない。だから、あなたの記録をこの時代から消し去るのです」
「ふむ……つまり、そなたらは未来の商店街を潰すために、この時代を変えようとしておるのか?」
男はニヤリと笑う。
「そういうことです。そして、この記録を消せば……あなたは二度と現代に戻れなくなる」
「……ほほぅ」
お奉行様は煙管を取り出し、ふっと紫煙をくゆらせた。
「そなたら、ワシを侮っておるな?」
「なに?」
シュバッ!
お奉行様が扇子を振ると、霊たちが現れ、男を取り囲んだ。
「江戸の法は今も生きておるのじゃ!」
「くっ……!」
男は怯んだが、すぐに笑った。
「しかし、あなたがここにいる限り、未来の商店街は守れない……!」
「……なに?」
お奉行様は気づいた。
このまま過去に閉じ込められてしまえば、空中商店街を守ることはできない。
「ワシを江戸に閉じ込めるつもりか……!」
男は不敵に笑い、記録の書かれた巻物を手に持った。
「さらば、お奉行様!」
バッ!
男が巻物を燃やそうとした、その時——!
「させるかぁぁぁぁぁ!!」
突如、空から“ノコギリ”が飛んできた!
ガキィンッ!
巻物を燃やそうとした男の手を弾き飛ばす!
「な、なにィ!?」
「ふっふっふ……まったく、お奉行様は面倒ごとばっかりじゃのぉ」
そこには、現代の“ノコギリ仙人”の姿があった!
第四幕:「未来へ帰還せよ!」
「ノコギリ仙人!? 何故ここに!?」
「お主が消えたと聞いてな、未来と過去を繋ぐ“時間ノコギリ”で飛んできたんじゃ」
「ほほぅ……便利な道具を持っておるのう」
「しかし、時間がないぞ! 早く戻らねば、未来が変わってしまう!」
お奉行様は頷き、巻物を手に取った。
「ふむ、ではこれにて幕引きじゃ!」
シュバァァァァ!!
ノコギリ仙人の力で時空の扉が開き、お奉行様は現代へ帰還する。
「お、おのれぇぇぇ!」
未来の役人は歯ぎしりしながら消えていった。
エピローグ:「未来を守るために」
奉行所に戻ったお奉行様は、藤田親方や商店街の住人たちと顔を合わせた。
「お、お奉行様、帰ってきたんか!?」
「うむ、少し江戸の方へ寄ってきたが……」
「ほ、ほんまに江戸へ行っとったんかい!」
「むぅ……やはり、未来は守らねばならんのじゃ」
お奉行様は煙管をくゆらせながら、静かに呟いた。
「商店街の敵は、過去にも未来にもおる……ワシの役目はまだ終わらぬようじゃな」
こうして、未来を守るための戦いは新たな局面を迎えるのだった——!
次回:「影の奉行VSお奉行様」へ続く!