第3話:「消えた屋台と大食い勝負」
空中商店街、年に一度の大食い大会!
美食と勝負の熱気に包まれる中、突如として消えた一台の屋台――。
むむ、これはただの騒動ではなさそうじゃな……さて、今宵も裁きを下すとするか!
プロローグ
空中商店街では、毎年恒例の「大食い大会」が開かれていた。
この日は商店街の各屋台が自慢の料理を持ち寄り、挑戦者たちが限界まで食べ続けるという名物イベントだ。
「さぁ、今年もやってまいりました! 空中商店街の名物『大食い王決定戦』!」
アナウンサーの声が響き、観客たちは熱気に包まれる。
商店街の人気店も勢揃いし、豪華な料理が次々とテーブルに並べられていた。
しかし、その直後——
「お奉行様! 屋台が一台、丸ごと消えました!」
お奉行様は煙管を吹かしながら、目を細めた。
「むむ……屋台が消えたとな? これはただ事ではないな」
こうして、お奉行様の新たな裁きが始まる——!
第一幕:「消えた屋台の謎」
消えたのは、商店街の名物屋台「たこ焼き虎丸」。
この店のたこ焼きは、商店街でも評判で、大食い大会の目玉メニューのひとつだった。
しかし、開会直前、屋台が丸ごと消えてしまったのだ。
「こりゃあ妖怪の仕業や!」
「商店街の“幽霊市場”に持っていかれたんちゃうか!?」
住人たちは大騒ぎ。
お奉行様は腕を組み、屋台の跡地をじっくりと観察した。
「ふむ……確かにこれは奇妙じゃ。屋台の痕跡はあるのに、跡を引きずった形跡がない。つまり……」
「どういうことや、お奉行様?」
「この屋台は……空に消えた可能性がある!」
「空!?」
住人たちが驚愕する中、お奉行様は続ける。
「これは、空中商店街の“重力のズレ”によるものかもしれぬ」
「重力のズレ……?」
「以前、この商店街では“異次元の裂け目”が発生したことがあったな? もしや、その名残がどこかに……」
お奉行様が目を細めると、ノコギリ仙人がニヤリと笑った。
「ほほぅ、ならば調査するかの?」
第二幕:「大食い勝負の始まり」
調査を進める中、大会は中断するわけにもいかず、別の目玉企画が持ち上がった。
「お奉行様、大食い勝負に出る!」
住人たちが提案したのは、お奉行様自身が挑戦者として大食い大会に出場し、その間に屋台を探すというものだった。
「……むぅ、拙者の仕事は裁きであって、大食いではないのだが」
「お奉行様、ここで食べながら捜査すればええやん!」
「むぅ……そういうことなら、やむを得ぬな」
こうして、お奉行様は「食べながら捜査をする」という前代未聞の展開に突入した——!
第三幕:「空に消えた屋台の行方」
お奉行様は大食い勝負に参加しながら、霊視の力を使い屋台の行方を探った。
「むむむ……食べながら調査とは、なかなか骨が折れるの……!」
そんな中、ふと見上げると——
「むっ!? あれは……!」
空中商店街の上層にある「風見鶏の塔」の近くに、ぼんやりと浮かぶ影が見えた。
「なるほど、やはりな!」
お奉行様は箸を置き、勢いよく立ち上がった。
「屋台は“商店街の上層”に引き寄せられておる!」
「は!? どないなっとるんや!?」
「どうやら、屋台が“古い空間の記憶”に引っ張られたようじゃな」
「古い空間の記憶……?」
お奉行様は煙管をくゆらせながら説明する。
「この商店街は、何度も改築を繰り返しておる。その際、一部の空間が“上層”に記録として残ることがあるのじゃ」
「つまり、屋台は昔あった場所に引き寄せられたってことか!?」
「その通り!」
お奉行様はノコギリ仙人に目配せする。
「仙人よ、出番じゃ!」
「ふむ、屋台の“浮遊軌道”を断ち切るとするか!」
ノコギリ仙人は特製の“妖怪ノコギリ”を取り出し、屋台を引き戻す術を発動!
ゴゴゴゴゴゴ……!!
空にぼんやりと消えかけていた屋台が、商店街の地面に向かってゆっくりと降りてきた。
「おぉぉ!! すごい!!」
住人たちは歓声を上げ、屋台の店主は涙を流した。
「うちの屋台が帰ってきた……!!」
エピローグ:「お奉行様、大食い王になる?」
事件が解決し、大食い大会も無事に進行。
そして、お奉行様はというと……
「む、むむ……拙者、こんなに食べたのは初めてじゃ……」
「お奉行様、優勝候補やで!」
「むぅぅ……!」
しかし、最後の一皿を前に、お奉行様は静かに目を閉じ——
「Zzz……」
——満腹で寝落ちした。
「お奉行様、寝てる!!」
こうして、大食い大会の優勝は逃したものの、空中商店街の秩序は守られた。
「まぁ、めでたしめでたし……かの?」
ノコギリ仙人が笑い、住人たちは盛大に拍手を送るのだった。
次回:「商店街を狙う影」へ続く!