表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お奉行様の空中裁判  作者: クロクマせんぱい
1/11

第1話:「迷い猫と幽霊裁判」

ここは空中商店街。幽霊奉行が今日も裁きを下す――さて、今宵の事件は何ぞ?

プロローグ


空中商店街の片隅にある「奉行所」。江戸時代の面影を残すその建物に、今日も人々の悩みが持ち込まれる。

現世に未練を残した幽霊役人であるお奉行様は、商店街の秩序を守るため、今日も裁きを下すのだった。


「さて、今日の案件は……?」


お奉行様は煙管をくゆらせながら、目の前に差し出された巻物を開いた。



第一幕:「猫が消えた?!」


ある日、商店街の八百屋・藤田親方が真っ青な顔で奉行所に駆け込んできた。


「お奉行様! うちの看板猫のタマが消えおったんや! これはきっと妖怪の仕業や!」


お奉行様はふむ、と顎を撫でる。


「ほう、猫が失踪とな? しかし、なぜ妖怪の仕業と決めつける?」


「昨日の夜、タマが見知らぬ光の中に飛び込んで、そのまま消えてしもたんや! それに……最近、商店街のあちこちで変な影を見たっちゅう噂が立っとる!」


「変な影、とな?」


お奉行様は怪訝そうに眉をひそめた。これはただの猫の失踪ではない。何かが商店街の裏で動いているのかもしれない。



第二幕:「幽霊捜査開始!」


お奉行様は配下の霊たちを使い、商店街全体を調査させることにした。


「よいか、商店街の隅々まで見て回り、妖しげなものを見つけたら報告せよ!」


幽霊たちは「承知!」と声をそろえて消えていった。


その間、お奉行様は八百屋の前に座り込み、事件の手がかりを探す。そこへ、妖怪大工のノコギリ仙人がやってきた。


「お奉行様よ、何やら忙しそうじゃの?」


「ふむ、猫の失踪事件よ。何か知らぬか?」


「猫か……そういや昨夜、この商店街の端に“奇妙な光”を見たぞ」


「何!? それはもっと早く申せ!」


「まあまあ、ワシもその時は大したことないと思ったのじゃ。しかし、その光が消えた後、不思議な音が聞こえたんじゃ……『ニャー』とな」


お奉行様の表情が引き締まる。事件の核心に近づいているのかもしれない。



第三幕:「幽霊裁判、開廷!」


幽霊たちの調査報告が続々と届く。


「お奉行様、商店街の倉庫の奥に奇妙な裂け目がありました!」

「それに、何者かの足跡が残っております!」


「むむむ……これは、ただの猫の迷子では済まぬな」


お奉行様は奉行所に商店街の住人を集め、幽霊裁判を開廷した。


「本日これより、『猫失踪事件』に関する裁きを行う!」


そして、ついに犯人が判明する。


「この事件の真相は……『異界の門が開いていた』のじゃ!」


商店街の倉庫の奥には、過去にノコギリ仙人が作った秘密の通路があり、そこが時空の歪みによって異界と繋がってしまったのだ。


「つまり、タマはその異界へと迷い込んだということか……」



エピローグ:「猫は戻るか?」


お奉行様とノコギリ仙人は協力し、異界への門を封じる儀式を行うことにした。


「ふむ、こういう時は江戸の知恵が役に立つのじゃ!」


「ええい、ワシのノコギリで異界の裂け目を閉じるとするか!」


儀式が完了すると、突然、門の中から一匹の猫が飛び出してきた。


「ニャアア!」


「おおっ、タマや!」


こうして、空中商店街は再び平和を取り戻した。


「ふむ、今日の裁きも見事に決まったわ!」


お奉行様は満足げに煙管をくゆらせながら、商店街の灯りを見上げた。


「さて、次なる事件は何じゃろうな……?」


次回、『夜の市場と隠された財宝』へ続く――!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ