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プロローグ
空中庭園では、色とりどりの花が咲き誇り、春を知らせていた。花の中から零れ落ちた魔法石は、滴のようにキラキラと輝きを放ち、広い大地を覆いつくす。その輝きの一つ一つを、花遣いたちがこぼさずに集めていく。魔法石が花遣いによって回収された後もなお、大地の輝きは失われることはなかった。花の甘い香りに誘われてやってきた幾多もの蝶が、自身の鱗粉を振りまきながら舞っていたからだ。この光景が見慣れたものになるころ、この世界では魔法が使える暮らしに、感謝の気持ちを込めて『感謝祭』が開かれる。
これから紡がれる物語は、魔法が使える世界で暮らす5人を中心に描かれる物語。