瞬き
あちらで明滅している星と
こちらで震えている星も
今このときにはもう無くなっているかもしれない星なのですよ
なぜってこことそことはあんまり遠すぎるから
無くなった姿がここへこの網膜へ送り届けられるまで
何百何千年という途方もない時を必要とするからですよ
あすこへはもう無いのだと知るのは随分後になることでしょう
それ今消えたかもしれない瞬きさ
いや今かもしれないよ
夜中にとほとほと日用品などを買いに出て
変に温かい風に吹かれている
肌を撫ぜてそれからしばらくそこへ留まっている
12月というにはやけに水っぽい風を
手のひらで握っては返し握っては返ししていると
風は指の股をすり抜けて
真っ黒い夜の空へ昇っていった
まだ春じゃぁない
春じゃぁないけどもその頃のものによく似ている
あの水っぽいやけに生き物くさいにおいだよ
それでいて12月らしい燃えカスの
乾いたからっ風のにおいもちゃんと混じっている
あの家やこの家で燃やしたガスの残りっカスのにおいだよ
きっと終わるときというのはこんな感じがするんだよ
今降って湧いた考えだよ
いいかげんじゃない
こうやって湧いた考えはよく当たるんだよ
覚えときなよ
おまえか私がそのときになったら
ほらね私が言った通りだっただろって
きっと言ってやるよ




