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短編「中学生版ドキュメンタル」

お正月、年賀状の中に招待状と書かれたハガキを見つけた俺は、面白そうだなと思い、指定された日、書かれていた住所に向かった。

その場所は、クラスメイトの佐々木の家だった。

佐々木は「やっぱ関東とは笑いが違うわ」と、関西出身をいいことに、すべった原因を地域性の違いに責任転嫁するくそつまらないサッカー部のオスだ。

この中学校のメスたちは、ボールを四角い枠の中に入れるオスに興奮する脳みそ空っぽザルばかりなので、佐々木はモテている。

そして、それが佐々木に根拠のない自信を与え、佐々木は死ぬ程調子にのっている。


佐々木の家では、学年で面白いとされている男子が集められ、一番面白いやつを決める中学生版ドキュメンタルが開かれていた。

佐々木は松本人志のポジションらしい。

そして、佐々木の俺に対する態度から察するに、どうやら俺はジミー大西枠で呼ばれているようだった。

参加費は一万円。

明るいことが面白いと勘違いしているバカどもなので、「やべー」とか「聞いてないよ!」とか、芸人の真似ごとをしながら愚かにもテーブルに一万円を出し始めた。

佐々木が「俺からも。」と言い、お年玉袋から一万円を出すと、「佐々木参加してないのにふとっぱらじゃん」とか「かっけー」とかバカどもが佐々木をもてはやした。

俺の財布には、逆襲のシャアにでてきたVガンダムのガンプラを買うための一万円が入っている。

こんなところで一万円を失うわけにいかない。

しかし、俺の立場的にやめるなんて言い出すこともできない。

これは悪夢か。佐々木、お前はフレディか。

「じゃあ、上でモニター観てるから。」と俺から一万円を奪い取った佐々木は階段を上っていった。

このためにカメラとモニターを買ったらしい。どんなお年玉の使い方してんだよ。

「ドーン!」

ブザーが鳴った。

どうやら後には引き返せないみたいだ。

「やってやるよ…」

俺は小さくつぶやくと、佐々木が用意したお笑いグッズがいっぱいそろっているという和室に向かった。

(終わり)

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