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心眼  作者: 土竜 潜
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序章

プロローグ


 ガチャガチャわいわい

 「あいつまじキモいわ。」

 授業と授業の間の休息、机と椅子と他人の音

 パタパタきゃいきゃい

 「うわ…今の超ウザい。」

 廊下に響く、他人が駆けていく音

 キーンコーンカーンコーン…

 「ほら席つけ~5分前行動~。」


 嗚呼、反吐が出る。


雪が溶け、心地よい風が通るのを感じると春が来たんだなとわかる。大学への道も雪がない分、足取りが軽い。

 待ち合わせである、通りのコンビニに立ち寄り喫煙スペースでタバコを取り出す。こいつとももうすぐ1年の付き合いになる。早生まれの友達が誕生日を迎えたその日に便乗して、自分の分も一緒に買ってもらい喫煙デビューをした。初めてのタバコは、びっくりするほど馴染んだのを覚えている。

 火を着けてまもなく、友達の姿が見え、手を上げると笑みを浮かべてこちらに歩いてくる。

「おはよ。すっかり違和感なくなったな。」

「おはよう。今さらだろ。」

 それもそうだな、と彼もまた隣に立ちタバコを取り出した。

「今日俺昼までしか入ってないけど、お前は?」

「こっちは2限と、時間あいて午後に1つ。」

「待ちかぁ…ダルいな。昼飯一緒食おうぜ。」

「おう。」

 その後、タバコを吸い終えた俺たちは大学へ向かった。

 俺たちが通っている大学はごく普通の偏差値の普通の大学。ちなみに俺は心理学部で、こいつは工学部。決め手は俺が心理学に興味があると話したら、自分が行きたい大学にもあるからと誘われたのだ。実家からも通えなくはないが、親元を離れて暮らしてみたいからとアパートで一人暮らし。

 ここまででなんとなくわかってくれたと思うが、自分に大した理念はない。全部、なんとなく。

 大学敷地内に入れば、嫌でも騒がしい。春には新入生が増え、妙に浮き足立っている奴が目につく。

「ね、あの人ちょっとよくない?」

「先輩かな?」

 新入生らしき女子二人が、隣の友達を見てなにやら話している。俺に聞こえているのに、こいつには聞こえていない様子でのんきに鼻歌なんか歌っている。その女子二人を盗み見れば、いかにも花の大学生活に夢を見てこれからの未来になんて全く興味のない脳天気そうな印象の奴らだ。そのうちの一人と、目が、あってしまった。

『隣に聞こえたかな。気づいて欲しいのあんたじゃないけど。』

 口は動いてない。聞こえるのは、心の声。


 小学5年生の夏。それは特に前触れもなく。

勇助(ゆうすけ)!ボール取って!」

 そのとき、たまたま少しぼーっとしていた。声は聞こえてたけど、脳の中で処理することなくどこか他人事みたいになっていて、でもそんなの昔からたまにあって。

 そいつの目をみて何もしなかったら、急に聞こえた。

『は?取ってって言ってんじゃん。無視すんなよ。』 

 それが聞こえたときは、心臓が冷えるのを感じた。今まで感じたことのない感覚。それが怖くて、動けなくてまた違う奴の目を見た。

『何してんの?』

『いやこっち見るだけって何、きもい。』


「勇助さ、今日授業終わったら暇?」

「予定ないけど...なんで。」

 昼休みの食堂で、いきなり話題を振られる。眠かったのも相まって、適当に返事を返す。

「いや、陸上部のやつに飲み誘われたんだけど、暇そうないいやついたら声かけてって言われてさ。誘うのお前くらいだし。どう?」

 嘘つくなよ。誘う奴くらい他にいくらでもいるだろ、お前。

 そんな自分の心の声は表に出ることはなく。それでも、誘われたことに少し嬉しさを感じている俺も大概単純だ。特に断る理由もなく、なんとなく気分で行ってもいいかと思った。

「わかった。行くよ。」

「オッケ。二人参加って言っとく。」

 このときは、深く考えることなく頭の中はすぐに次の話題へ移り変わった。

 もっとちゃんと考えて返事すればよかったと後悔するのは、飲み会に行ってからだった。


3.

 今日の授業も終わり、中庭に向かう。そこには友達ともう1人、明るい茶髪で髪を遊ばせているチャラい印象の男がいた。

「お、お疲れ。」

「おぉ。悪いな待たせて。」

「急に誘ったのこっちだし平気平気。あ、こいつが今日の幹事な。」

「うぃーっす。こいつと同じ陸上部の山下(しょう)でーす。よろしくな!」

「ん…心理学部の佐藤勇助。よろしく。」

 第一印象と違いないチャラさに少し苦手意識を持つ。こういう日頃何も考えていなそうな、幸せそうな人種はどうにも慣れない。

 そんな自分の心の内はバレていない様子で、山下は先に歩き出した。

 どうやら今日の飲み会はそれなりの人数がいるらしく、あまり大人数での飲み会に慣れていない俺は既にちょっと帰りたい気持ちがあった。


「かんぱーーい!!」

 帰りたい。

 あのあと、1番に居酒屋に着いた俺達は奥の座敷に通された。その広さに少し…いや、山下に会ってから何となく嫌な予感はしていたのだが、その嫌な予感は的中し続々と人が集まる。結果的に集まったのは、俺達3人と男がもう1人と女が4人。大学生男女が同じ人数集まるなんてあれしかないだろう。

「おい…俺、合コンとか聞いてねえんだけど。」

「そんな飲み会じゃねえって。他の学部とか部活の人との交流なんてないし、楽しく喋ってればいいんだって。」

 いやそれを合コンって言うんだよ。

 昔から男女共に仲がいい友達はなんとも思っていない。普段はこいつに不満なんてないが、昔から説明不足なところとかなぜか俺を捲き込んでこういう交流をさせたがるところは嫌いだ。

「初メンツってことで、一応自己紹介しまーっす!」

 幹事の山下は手慣れた様子で進行を続ける。

「工学部の中本(かける)です!」

「…心理学部の佐藤勇助です。」

 友達に続いて自己紹介をするが、目の前に並んだ女子たちは隣の翔と山下に興味津々の様子だ。

 なるほど大体わかった。ようは本当に人数合わせの為に俺を呼んだわけだ。こんなアウェーな空気に耐えられず、机の上に置いていた煙草に手を伸ばした。先に来ていた時に吸っていたので、相手の許可はいらないと考えて構わず火をつけた。

「あ、女の子も気にしないで吸う人吸っていいからねー!」

 山下の間延びした語尾にすらイラつきを感じる。

 だが、それを悟られたくなくてビールを一口飲んだ。正直、あまりビールは好きではないが好きでない分、正気を保っていられるのでこういうときは大概ビールだ。そもそも、とりあえずビールなんて風習を作ったやつは誰なんだ。

 楽しそうに会話をしている皆とは裏腹に、話を聞いているふりをして違うことを考える。


 本当に帰りたい。

 なんとなく読んでみようと少しの興味を持って覗いてくれた方、ありがとうございます。

 昔から頭の中でストーリーを作る癖があって、暇なときノートに書き記していたりしたのですが、いつかどんな形でも誰かに見て欲しいと思っていて、今回こんな形で実行することにしました。公表するのはこれが初めてです。なので、文章とか設定とか拙い部分がたくさんあるのですが、そこは大目に見て下さい。笑

 続きを書く、または投稿するかはまだ未定です。一人でもご要望の声があったら遅くなるかもしれませんが、必ず投稿いたします。

 それでは、今回は挨拶としてこのくらいにしておきます。また、お目にかかれますよう。

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