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番外ストーリー ~その6~

(シアンside)


「――――――!」


 邪神の眷属が両腕部分の触手から種のような物を大量にばらまいた。

 種は発芽するように姿形を変えて魔物になった。

 この国を襲ってるあの気味の悪い魔物はこうやって生み出していたのね。



 あたしとルミネ、そしてランガさんで生み出された魔物を片っ端から倒していった。

 そこそこ強いけどあたし達なら問題ない相手だわ。



「さて、第2ラウンドと行こうか」


 カリオンさんが邪神の眷属の前に立つ。

 そして次の瞬間、目にも止まらぬ攻撃を繰り出した。


「――――――――!」


 邪神の眷属も無数の触手で迎え撃っていた。

 カリオンさんの攻撃で触手がいくつか千切れ飛んだ。

 千切れ飛んだ触手に黒い煙のようなものが纏わり付き魔物へと変化した。

 千切れた触手も元通りに再生してる。



 もしかしてコイツの肉片はすべて魔物に変わるの?

 だとしたら中途半端な攻撃は逆効果ね。


「ダークネス·ギガフレア!」


 あたしは炎の魔法で肉片ごと魔物を焼き払った。

 さすがに燃えカスからは魔物は生まれないわね。


「カリオンさん、そいつは傷つけても魔物を生み出すだけだわ!」

「みてえだな。だが、ならどうする?」


 カリオンさんが武器を構え直す。


「······強力な攻撃で一気に倒せばいい」


 ルミネが言う。まあ確かにそれしかないわね。

 けどあの巨体の相手を一気に倒すとなるとそれこそ中途半端な攻撃じゃ駄目ね。


「――――――――!!」


 また触手を伸ばしてきたわ。

 こんな攻撃なら回避は簡単······あれ?


 触手の先に魔力が集まってきてるわ。

 それもすべての触手の先っぽに。



「―――――――!!!」


 邪神の眷属が触手の先から無差別に魔力を放った。

 まるで激しい豪雨のように周囲に降りそそぐ。

 攻撃が細かすぎて吸収するのも面倒ね。

 あたし達は回避したり相殺したりでなんとかやり過ごす。



 コイツ······気のせいじゃなければだんだん強くなってきているわ。

 魔力を消耗するどころか強くなるって反則じゃない?

 時間をかけるのは悪手ね。


「ランガさん、アイツの動きを止めて!」

「言われずともそのつもりだ!」


 ランガさんが広範囲攻撃の黒雷嵐(デスストーム)を使って邪神の眷属の動きを制限する。

 並の魔物ならこれだけで倒せそうなくらいの威力があるのに邪神の眷属はわずかに動きが鈍る程度だわ。


「―――――――!!」


 無理矢理に黒雷嵐(デスストーム)を抜け出してきたわ。


「······ダークネスプリズン!」


 ルミネが追い打ちの魔法を放つ。

 無数の闇の鎖が邪神の眷属を拘束した。


「カリオンさん、アイツを一気に吹き飛ばせるような攻撃を撃てる?」

「舐めてんのか? できるに決まってんだろ」


 あたしの言葉に不敵な笑みで答えた。

 だったらあたしも本気の一撃を放ってやるわ。

 あたしは()()()()を闇魔法で異形態へと作り変えた。

 部分的な変化もできるようになったのよ。


 それを見たカリオンさんが怪訝な表情をうかべた。


「お前、本当に人間か?」

「失礼ねカリオンさん、人間に決まってるでしょ?」


 ちょっと悪魔に特殊なスキルをもらっただけで人間をやめたつもりはないわ············一応ね。



 あたしは両腕に魔力を集中させる。

 この魔法は威力がありすぎて生身では身体が耐えられないのよね。

 カリオンさんも精神を集中させている。



「――――――!!!」


 邪神の眷属が鎖を引きちぎり拘束を解いた。

 すかさずランガさんが攻撃を加える。


「······ダークネスデスイレイザー!」

「――――――――!!?」


 さらにルミネが魔法を放った。

 すべてを呑み込む次元の穴が開き、邪神の眷属の下半身部分が消滅していく。

 邪神の眷属は上空に跳び、全身の消失を逃れた。

 けど絶好の的よ!


「消えなさい! カオスデッドエンドーーッ!!!」

「もう一度喰らいな! 獣魔粒子咆(ビースト·ロア)!!!」


 あたしとカリオンさんは同時に自身の出せる最強の一撃を上空の邪神の眷属に向けて放った。



「――――――――!!?」


 回避することも出来ずに邪神の眷属は完全に消し飛んだわ。

 上空に飛んだのが間違いだったわね。

 おかげで手加減の必要なく撃てたわ。



―――――――カシャッ


 ん? 足元に何か落ちてきたわ。

 何これ? 手の平サイズの宝石みたいだけど。

 血のように赤い宝石ね············キレイというより見ていて背すじがゾッとする感じがするわ。


 宝石から黒い煙が吹き出し、何かを形作っていく。

 この気配、もしかしてまだ復活するの!?


「······ダークインフェルノ!!」


 ルミネがすかさず闇の業火を放って焼き尽くした。

 黒い煙は完全に霧散して宝石のようなものは消し炭となり、やがて消滅した。

 あれは邪神の眷属の核だったみたい。

 ······今度こそ終わったようね。


「······シアン、油断大敵」

「わかってるわ、ありがとルミネ」


 まさかあれを喰らって復活しかけるとは思わなかったわよ。本当に危なかったわ。

 あたしの両腕は魔法の反動で傷付いていたし、再生に時間がかかるのよね。

 復活を許していたらやばかったかも。



 元凶は消滅し、アイツが生み出した魔物も獣王国の人たちが殲滅し終わったみたい。

 三獣士とかいう人たちがカリオンさんに報告しているわ。

 これで一件落着ね。


「よお、色々助かったぜ。ランガ、それに······」

「あたしはシアンよ」

「······ルミネ」


 あたしとルミネがそれぞれ名乗った。

 それからカリオンさんにお礼の言葉をもらった。




 こうして獣王国の騒ぎは終結した。










少しあっさり終わり過ぎた感はありますが次回で番外ストーリー終了になります。

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