異世界を生き抜く決意
やっと能力判明したので初投稿です。
その後ギルドに着いた俺達は、早速買取り受付で買取りをしてもらうことにした。
「魔核の買取りをお願いしたいんだが…。」
「ん?新顔か。じゃあ、そこの籠に魔核を置いてくれ。魔核の査定の説明をしよう。」
そう言いながら奥から出てきたのは、スマートで長い手足になかなかの胸囲の美人さん…に4本の蜘蛛の足と、額に6つの複眼をつけた蜘蛛の蟲人族だった。
「ん?どうした?蟲人族なんてこの国じゃあ珍しくもないだろう?」
「あ、ああいや登録の受付の子が普通の子だったからちょっと驚いただけさ。」
少したじろぎながら、言われた籠の中のに魔核を置いてゆく。
「ああそう?ま、いいや私はサジン・クモ、見ての通り蜘蛛の蟲人族さ。ここの査定部門長をしている。
じゃあ早速説明をしていこうじゃないか。
まず魔核の査定についてだが、2つの評価点がある。1つは魔核の魔力強度、1つは魔核の瘴気保有量だ。
魔力強度は色の濃さで判別され、魔力強度が強くなればなるほど明るい紫から黒に近づいていく。
瘴気保有量は大きさで判別され、保有量が多ければ多いほど大きくなっていく。
そして大きさや色の濃さによって魔核はランク分けされていて、雑霊級、幽霊級、狂霊級、凶霊級、 幻霊級に分けられる。
魔核の大体の価格は下から順に、雑霊級 500ジニ~2000ジニ、幽霊級5000ジニ~2万ジニ、狂霊級5万ジニ~20万ジニ、凶霊級100万ジニ以上、 幻霊級は市場に出たら国際的なオークションが開かれるほどだ。
これらの基準は魔核のみを持ちいくら生物を殺そうと、長く存在しようと、討伐されても素材を残さない霊系統の魔物の大まかな種類の名前を元にして脅威度順に決められている。
そして魔物の脅威度もこの基準によってランク分けされる。よく覚えておくことだ。
で、今回君が持ち込んでくれた物は色と大きさから大体幽霊級と言ったところだが、普通なら訓練してない一般人や戦いに向かない祝福持ちであれば無惨に殺されるか大怪我をしながら討伐できるくらいと考えてくれればいいさ。」
「はぁ、でいくら位になるんだ?」
「正確な査定は少々時間がかかるのでね。なにか暇つぶしでもしながら、待っていてくれたまえ。」
「であれば、祝福の鑑定に行くのでございますよ。ギルドの鑑定室はギルド員なら誰でも自由に使えるのでございます」
「ああ、そうなのか?いやぁ楽しみだぜ。」
「ん?祝福に何か変化が起きたのかい?大変だね。また1から習熟のやり直しか。頑張ってね、では私はこれで。」
何か勘違いをしてくれたらしい。異世界人とばれるとなんか不味そうだが、まぁバレてもいいや程度に隠しておくか。そんなことより鑑定だ。創造神とやらはどんな祝福をくれたのやら。
「ここがギルドの鑑定室でございます。中に入ったら部屋の真ん中にある水晶に魔力を込めるのでございます。そうしたら能力の一部が擬似的に発現することで、能力の詳細が記憶に刻まれるのでございます。」
「能力を擬似的に使わせることで、能力が開放されるってことか?」
「祝福は本来与えられた時から詳細は本人に記憶されているのでございますよ。その記憶が5歳頃になるまでに消えていくので5歳になった時に鑑定の儀をし、擬似的に能力を発現させて詳細の記憶を思い出させ刻むことによって習熟を積むことが出来るようになるのでございます。」
「んーなんだかよく分からんが、それをすれば分かるってことだろ?ならやってみるわ」
目の前には扉がありその扉には鑑定室と書かれたプレートが貼られている。その中は真ん中に人の顔ほどもある丸い水晶が置かれているだけの小さな個室だった。
その水晶に魔法石にやったように、力を込めると…激しい光とともに体を炎が包んだ。
その祝福、名を鬼装天鎧
常に病や毒、魔法による力を減衰する目に見えぬ、触れることも出来ぬ天衣無縫の鎧を纏い、鬼の力を呼び起こす火炎で身を包む怪力無双を発現する。瘴気を滅せよ、さすれば新たなる装いが発現することだろう。
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なるほど、確かに詳細は理解出来た。俺の祝福の名前は鬼装天鎧。
今は状態異常と魔法をある程度防ぐ目に見えない触れない鎧を常に身につけて、馬鹿力を手に入れる怪力無双って技と炎を操る技が使えるってこと。
後は魔物を討伐すれば新しい力がゲットできるって感じか。
「強くね?いやかなり強い。脳裏に浮かんだ感じだと、力の上昇率は2倍や3倍って感じじゃねーぞ。
鎧の方も物理攻撃は防げないけど、そもそも何も分からん魔法とかどんだけ防具固めても脅威な毒や病気をある程度であるけど防ぐってだけで破格性能だろ。
しかも見えない触れないってことは相手に対策されにくいって事じゃねーか」
結論、チートやん?
部屋から出ると目をキラキラさせながらマヤが待っていた。
「どうでございました?戦闘に関わる祝福でございましたか?!」
「ああ、バッチリ戦闘に関わるやつだったわ。しかも強い。」
そうして、俺の祝福の内容をマヤに話しつつ時間を潰し、買取り受付へ行く。
「やあ、祝福の調子はどうだったかな?査定はもう終わっているよ。」
「ああ、上々さ。査定はいくらになったかな?」
「査定結果は3つとも推測通り幽霊級。その中でも中位のもので恐らくブラックハウンド辺りかな?価格は8000ジニが3つで合計2万4000ジニ。ふふ、高めの宿でも素泊まりなら1週は泊まれる額だ。新人にしてはとても優秀だね。はいどうぞ、確認してくれ。」
渡された小袋の中には銀貨がひいふうみい…よし、24枚あるな。
「確認した。じゃあまた手に入れたら売りに来る。」
「ああ、死なない程度に頑張ってくれたまえ。」
受付から離れつつマヤに気になっていたことを話す。
「なぁ、あの人クモって言ってたよな。」
「はい、あのお方はクモ大氏族の分家のご令嬢でございます。外の世界が見たいと、討伐者ギルドにて仕事をしていると聞いているのでございます。」
「へぇーそれで部門長ってことは相当優秀なんだな。それで、この後どうする?」
「もう暗くなるでございますから、宿を取るのでございます。私が定宿としている蜂の巣亭という宿がございますので、どうでございましょう。」
「いやぁ、何から何まですまんな。宿まで紹介して貰えるとは感謝の言葉が足りねぇぜ。」
「いえいえ、素晴らしい武術を見せてもらったことに比べれば、私のしていることなど些事に過ぎないのでございますよ。」
「ま、感謝はこれから行動で示すとしてその蜂の巣亭に行ってから飯食いに行こうぜ!金も入った事だし奢るよ。」
「そう言ってもらえるなら、嬉しいのでございます。蜂の巣亭は食堂も兼ねてございますので、そこで夕餉といたすのでございますよ。」
「そうか、ならそうするか!」
そして、早足に蜂の巣亭に向かう俺達。
カランコローン
中は宿泊客か食事しに来たのかは分からないがかなり賑わっている。定員さんは忙しそうだ。
「いらっしゃいませー!ご宿泊ですか?お食事ですか?」
そう元気な声が聞こえる先は恐らく蜜蜂の蟲人族であろう女の子がいた
「ああ、とりあえず宿泊でお願いしたい。」
「はい!ちょっとお待ちください。お母さーん、お泊まりのお客さんだよー!」
蜜蜂の女の子に呼ばれて妙齢の美人さんのこちらも恐らく蜜蜂の蟲人族であろう女性が奥から出てくる。
「いらっしゃいませ。私はここの女将のイルナと申します。宿泊は素泊まりか朝食付き、どちらになさいますか?素泊まりは1800ジニで朝食付きなら2500ジニとなっております。1週以上の連泊なら多少お安くなりますがいかがでしょう。」
「じゃあ、1週朝食付きで。」
「はい、承りました。それでは料金は1万7000ジニとなります、御手数ですがこちらにお名前をお書き下さい。代筆も出来ますがどうされますか?」
「ああ、代筆は結構。それとお代はこれね。」
袋から、銀貨を取り出して渡す
「はい、ちょうど頂戴致します。こちらは鍵でお部屋は2階の7のお部屋でございます。3刻の鐘の音がなる頃に朝食をお出しします。遅れた場合、お弁当という形になりますのでご了承ください。今日はお食事はどうなさいますか?」
「はい、了解しました。じゃあ、食事は2人でお願いしますす。」
「分かりました。ミツバ、お客さん達を席に案内してあげて。」
「はーい!私の名前はミツバです!よろしくね!お席はこちらになります!」
「ああ、よろしく。」
案内された席に座り、一息つく。
「本日は瘤猪の蜂蜜焼きがオススメです!」
「じゃあそれにしようかな」
「宗一殿、ここの食堂は蜂蜜酒が有名なのでございますよ。あ、私は瘤猪の蜂蜜焼きとパンを2つそして蜂蜜酒をお願いするでございます。」
「へぇーそうなのか、じゃあ俺も同じものを頼む。」
「はーい!蜂蜜焼きが2つとパン4つ、蜂蜜酒が2杯ですね!ありがとうございます!」
「ふぅ、やっと一息つけるでございますね。」
「ああ、本当だな。かなり混乱してたが、やっと落ち着いてきたよ。」
「お待たせしましたー!こちら蜂蜜酒が2杯です!」
そんな話をしていると、酒が来たようだ。
「俺の門出に乾杯だ!」
「乾杯!でございます!」
木のジョッキに注がれた蜂蜜酒は甘く、蜂蜜の濃厚な風味に溢れた心温まる味だった。
「美味いな、さすが有名なだけはある味だ」
「そうでございましょうとも、私がこの宿を定宿としているのはこの蜂蜜酒も要因の一つなのでございます。」
「お待たせしましたー!こちら瘤猪の蜂蜜焼きがおふたつと、パンが4つになります!」
そうこうしている間に飯が出来たようだ。
「はい、ありがとう。あ、あとミツバちゃん。蜂蜜酒追加で。」
「私も追加でお願いするでございます。」
「はーい!蜂蜜酒、2杯追加ありがとうございます!」
「さて、食べるか!」
目の前には黄金のソースが満遍なくかけられた芳醇な蜂蜜の香り漂う美味そうな分厚く切られた肉の塊。思わず喉を鳴らしながらナイフで切り分ける。
期待を高めながらまずは一口。
っっ美味い!筋は一切なくそれでいて猪のしっかりとした肉質が堪能できる。蜂蜜の柔らかな甘みが猪の野性味溢れる脂を包み込んでいて、蜂蜜の深いコクと猪の強い旨みが一体化している。そしてあとにはハーブのスッキリとした香りが鼻をぬけることで舌をサッパリとさせる。それにより次へ、次へと手が進む。
お次はパンだ。しっとり柔らかな白パンは、バターの香りと小麦の味を邪魔しない程度の仄かな蜂蜜の甘みがマッチしていて無限に食えそうだ。
蜂蜜づくしだが、飽きないぞこれは。
もう1つのパンに、猪の溢れた脂が混じった黄金のソースを付けて食べる。
完璧だ。パンが蜂蜜のコク、脂の旨みを存分に吸収して美味さを何倍にも引き上げている。
「美味い。」
それしか言うことが出来ない。そしていつの間にか、完食していたのだった。
「はぁ、美味かった。最高だったぜ。」
「そうでございましょう。ここは安さの割に食事がとても美味しいのが魅力なのでございますよ。ここに泊まって良かったでございましょう?」
「ああ、そうだな。おーい、ミツバちゃん。お会計お願い!」
「はいはいただいまー!はい!お客さんはおひとり様合計2000ジニちょうどです!」
「じゃあはい、これ4000ジニね。」
「はい!ちょうど頂きました!おやすみなさい!」
「奢っていただいて感謝するでございます。では私は部屋へ戻りますので、また明日。」
「ああ、俺も部屋へ行くとするよ。あ、忘れてたな。これ、魔法石代な。」
そう言いつつ銀貨1枚を手渡す。
「はい、ありがとうございます。ではお釣りを…。」
「いやいいよ。釣りはとっといてくれ、感謝の気持ちってやつさ。また明日な。」
「いやそれは!ああ、行ってしまわれたのでございます。」
そして上機嫌で階段を上り、自分の指定された7の部屋へ入った。部屋は結構広く、ベッドに小さい丸机、窓の横にはクローゼットが置いてあった。
「ああ、今日は色々ありすぎた」
ベッドへ体を投げ出して、瞼を閉じる。
鉄骨が落ちてくる光景、遅い来る狼たちの光景、マヤと出会った時の光景、ラーニングの魔法石を使った時の光景、祝福を鑑定した時の光景。今日あった衝撃的な出来事の光景が繰り返される。
「俺はこの世界で、この体で、この力で、生き抜いてみせる。必ず、必ずだ。」
怪力無双と念じつつ手を強く握れば、肘から先を炎が包む。いや纏っているのだ、炎の鎧を。
この祝福をくれたらしい創造神に、感謝しながら気を失うように眠りについた。
強力な祝福を手に決意を示す。
次回から冒険&主人公の武術無双(チート付き)