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異世界を鍛えた武術と最強の能力で渡り歩く  作者: アリクイ
第1章 世界は変わり生命は軽く
1/6

*森の中にいる*

初投稿です。

 爽やかな風が頬を撫で、暖かな日差しがまぶたを叩く。


「なんだ…もう朝か?」


 そう言った瞬間違和感に気づいた。

 なぜならそこは森の中だったからだ。


「なんだ?ここはどこだ?俺はどうして…。」


 混乱した頭で記憶を探る。

 今朝は早く起きて工事の現場へ行ったはずだ。

 そして順調に工事が進んでいるのを確認してその日の業務を始めようとしたはず…


「そうか…そうだったな、俺は雨宮を助けて…。」


 そう俺は吊り上げていた鉄骨が部下に向かって落下してきたのを助けて自らが下敷きになり死んだはずなのだ。


「だが、ここはどこだ?もしかして天国か?それとも地獄か…。」


 ガァルルァァァ!!


 そうやって今いる場所を考えているその時、大きな咆哮と共に腰ほどもある不気味な狼が現れた。


「!!で、でかい…!狼か?!これは?」


 そう言っている間にも狼はいつでも飛びかかれるようにしながらも間合いを詰めてきている。そして…


 ガァ!!


 一息でこちらへ飛びかかってきた。その口は俺の頭を丸呑みできるほどに開いている。


「こなくそっ!!」


 いきなりのことで困惑しまくっていたが長年続けた武術は裏切らなかったらしい日本拳法の真髄、波動拳は華麗に狼のこめかみにぶち当たった。しかし…


 ゴパァン!!


 人体からは到底出ようもない爆音を響かせ、狼の頭が弾け飛んだ。


「…は?」


 俺はたっぷりと呆けた。何故なら威力が高すぎるのだ。

 確かに日本拳法の真髄である波動拳は様々な武術の技においてトップクラスの破壊力を有する。


 それは突きを出す時に徐々に指先から丸めて拳を作り、相手に当たる瞬間に力を込め決めを作ることにより手首のスナップを最大限に活かして打撃の破壊力を増しているからである。


 しかし、普通に考えてここまでの破壊力は出ない。

 この技は人が作った、人に当てるための技だ。

 普通の人間の拳ではここまでの破壊力は出せないし、出せる技は作れない。


 よしんば出せたとしても拳が砕けた上で腕が使い物にならなくなるだろう。

 つまり、何かがおかしい。どこかで認識がズレているのだ。


「なんだこれは?おかしい。俺はピンピンしている、なのに狼の頭は砕けて…あれ?」


 またもやおかしいことに気がついた。

 あれだけ派手に粉砕したのに血が一滴も着いていないどころか狼の死体すら無くなっているのだ。


「どこだ?どこにいった?いや、幻か…だが確かに手応えがあった。」


 くまなく死体があったであろう場所を探していると、赤黒い色をした3cm程のゴツゴツした玉が鈍く光を反射しているのを見つけた。


「これは…死体がこれに変わったのか?訳が分からなすぎる。」


 そこまで調べてようやく他に追加がこないことに気がつく。


「あれは一匹狼だったのか?まぁ何にしろ、次々と来ないのは助かるがな。」


 拾った玉を観察する。触った感触はとても固く金属のようだが、重さはないに等しいほど軽く感じるにもかかわらず風船のように弾んだりはしない。


「不思議だ。不思議だが、ここでこうしてる訳にはいかないなじっとしていても謎が解ける訳じゃない。」


 そう思い立ち視線の先へ足を進める。先に進めば何かが分かるかもしれないし分からない上に謎が増えるかもしれないが

 進まなければ何も解決はしないだろう。


 ――――――――――――


 ある程度進んでいくと不可思議なものが増えた。

 見たことも無い植物、遠巻きに見つめたり通ろうとする道無き道の先を我先に逃げていくこれまた見た事のない動物。


 1番ショックなのは見た事ありそうなのに見たこと無かったものを見た事だ。例えば、同じ見た目なのに大きさが段違いに大きいやつとか、ならまだマシだ。


 挙句の果てには動く植物も目に入った。食獣植物とか恐ろしくて森の中を歩けなくなるところだったぞ。まだ混乱が続いているのか、頭が痛くなりそうだった。


「どれもこれも見た事がない。木と空と地面そして太陽ぐらいしかきちんと見た事ある形状を維持していないぞ。」


 そしてどれもこれもを吹き飛ばす衝撃の事実が分かっていた。


「この体の感じ、顔のしわのなさ、どれくらいかはまだ分からねぇが確実に、かなり昔まで若返ってる。」


 そう、若返っていたのだ。しわの存在しないピチピチの肌、

 洗練された抜き身の刃のような肉体、そして衰え知らずの

 無限にも思える体力、全て若返っていないと説明のつかない現象であった。


「かなり調子がいい。最近決めきれてなかった波動拳も記憶にある昔の1番いいの以上にキッチリきまった。」


 今まで以上に絶好調な体の調子を噛み締めながら歩いているとさっきまでいたはずの動物の気配が無くなり、聞き覚えのある咆哮が聞こえてきた。


「またあの狼か?!それともまた別のやつか!」


 咆哮は近づいて来る、そして前方の茂みと左方の茂みが揺れた次の瞬間、連携なぞ知らんとばかりに先程の狼が2匹同時に飛びかかってきた。


「!!ハッ!セイッ!」


 同時に飛びかかってきたことに驚きつつ咄嗟に姿勢を低くしながら左の狼には外打を、その勢いのまま前の狼には揚打をぶちかます。今度もキッチリ波動拳を使い破壊力をあげる。


 ゴパァン!ドパァン!


 聞いたことも無い嫌な音が高らかに響いたと思った瞬間、目の前で狼2匹が靄のように霧散した。


「そうか、これで死体が消えたのか。そして…よし、あの玉もある。これで少し謎が解けたn…」


「なっ!なんと素晴らしいのでございましょう!!」


 大きな声が森に響き渡る。


「あ?誰だ?」


「素晴らしい技でございました!一体その技は何という武術の技でどこでどなたに師事されたのでございましょうか?!あ、秘伝と仰るならば無理に聞き出そうとはしないのでございます!

 しかし!どうか!お教え願えないでございましょうか?!」


 それは女だった。しかし、それは人間のようで人間でなかった。


 触角の生えた頭、眼球全てが黒い眼、四肢と一体化したような甲殻、なまじほとんどが人間と同じように見えるだけに異様に際立ったその違いは1つ間違えれば凄まじい怖気に襲われるだろう。だがその女は何1つ狂いなくごく自然に調和し、その上で際立つ違いが美しく感じてすらいた。


 決定的な違い。

 植物や動物の違いがはるか遠くでばらばらになるほどの衝撃を持って自分と同じ類であると思われる者のそもそもの種族の違いが目に入ってきたのだ。

異種族との邂逅

あなたならならどうする?

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