Wonder過去編-3 アリスの罪
婚約事件の起こった丁度三週間後、私はまたいつものように森へレオンを探しに来ていた。
アリス)「レオン~?いるんでしょう?」
ガサガサガサガサ
アリス)「レオン?」
ガサガサガサガサ
私を誘うようにして、木の葉を揺らす音が聞こえてきた。
私は、その音につられて森の奥へ奥へと進んでいった。
すると、フードをかぶった人が立っていた。
アリス)「レオン?ではないわね。あなたは誰?ここの敷地には一般人は入れないはずだけど……」
その時、フードの中の顔がニヤリと笑った‥気がした。
背筋がゾクゾクとした。
何か、やばい気がする。
すぐさま逃げよう、と思った、ところでまたガサガサと音がした。
姿を現したのはレオンだった。
アリス)「レオン!良かった、無事で…」
レオン)「え?どういうこと?」
アリス)「説明は後よ。たぶんだけど、ここにいたら危険よ!逃げましょう!」
レオン)「え、う、うん。」
レオンは納得できない様子でありながらも、私のいうとおりにしてくれた。
そこへ、身体つきのいい男達が姿を現した。
フードをかぶった男)「すみませんが、逃がすわけにはいかないのです。やってしまいなさい!」
フードの男が声を張り上げて言った。
なんだか、この声には聞き覚えがある。
男達がジリジリと近づいてくる。
急いだ方がよさそうだ。
アリス)「じゃあ、3.2.1で走りましょう。 3.2.‥‥いt‥‥」
1と言い終わらないうちに私の視界は赤い鮮血で塗りつぶされた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・。
辺りが一瞬静まり返った。
何が起きたのかわからず、その場で立ち尽くしていた。
ただ、さっきまで繋いでいたレオンの手が離されている。
思考を取り戻して、レオンの方に振り返った。
アリス)「!?!?!?」
レオンは男の持った剣で腹を貫かれていた。
大量の血が傷口から溢れ出す。
アリス)「レオンっっ!!!」
私は急いでレオンの所へ駆け寄った。
レオン)「ハァハァ。」
レオン)「麗花、聞いてくれ。 とても重要なことだ。」
アリス(麗花))「!? 今じゃなければ駄目なの?早く逃げて、止血しないと……」
めずらしく、レオンは私の言うことを聞かずに話し出した。
レオン)「麗花、いやアリスの家、エクリローメル家はこの世界で最もと言っても過言ではないくらいの大財閥だろ? それはアリスの家の財産が溢れているからって言われてる。」
アリス)「で、でも実際そうでしょ?」
レオン)「いや、それが違うんだ。だから、不思議に思って、アリスのお父様、
エクリローメル家のご頭首様に聞いてみたんだ。」
レオン)「今から言うことは信じられないだろうと思って、アリスにも世間にも隠されてきたことなんだ。」
レオン)「アリス、この世界有数の大財閥は魔力が多いほど、大きなものなんだ。」
アリス)「えっ?魔力?それは神話の中の話でしょ?」
レオン)「それが、本当なんだ。その中でもエクリローメル家は魔力が多く、力が強い。
そして、アリスはとてつもない魔力を秘めている。」
アリス)「そ、そんなこと急に言われたって分からないわ。」
レオン)「でも、本当なんだ。そして、ご頭首様は百鬼の血を受け継いでいる。
もう亡くなってしまわれたが、アリスのお母様、セーラ様は世界最後の天使の生き残りだった。
これがどういうことか分かる?」
アリス)「???」
レオン)「だから、アリスは世界でただ一人の百鬼と天使の血が混ざった者なんだ。
だから、アリスは小さな頃からその身を狙われてきたんだ。」
レオン)「・・・・だかr...」
レオンが何かを言いかけたところでずっと黙っていたフードの男が話し出した。
フードをかぶった男)「……さっきから何をコソコソと…」
フードの男は突然、腕を振り上げた。
その動きを合図に、男が剣を突き出してきた。
一回目はなんとかかわしたが、動けないレオンを狙ってきたので、私はレオンの前でレオンをかばった。
レオン)「麗花っっ!!!」
刺された時、とてつもない痛みが私を襲った。
剣は私の腹を貫通している。
剣が引き抜かれたと同時に私はその場に倒れこんだ。
辺りが真っ赤に染まっていく。
レオン)「麗花!」
アリス)「…ねぇ、レオン。私このまま死ぬのかなぁ。」
レオン)「何、馬鹿なこと言ってるんだ!そんなこと僕がさせるわけないだろ!!」
アリス)「あはは、ありがとう。」
レオン)「とはいえ、この状況はまずいな… 麗花、僕が囮になるから、麗花は助けを呼んでくれ。」
アリス)「い、いやよ。だったら私が囮になるわ。」
レオン)「いいから、いうとおりにして。 そうだ!麗花、傷が治るように強く願ってみて」
アリス)「えっ、どうして?」
レオン)「もしかしたら、麗花の魔力で傷が治るかもしれない!」
アリス)「わかったわ。」
私は立ち上がり、傷が治るよう願った。
アリス)《世界の燭よ。傷を、治して!!》
すると、辺りに光が溢れ、私の傷が跡形もなく消えた。
安心したところで私はガクリと膝をついた。
どうやら、魔力を消耗するととてつもない疲労感が襲ってくるらしい。
アリス)「じゃあ、レオンの傷も治すわね。」
レオン)「ああ、頼む。」
アリス)《世界の燭よ。レオンの傷を治して!!》
また、辺りに光が溢れ、レオンの傷が跡形もなく消えた。
さっきよりも大きな疲労感が私を襲った。
レオン)「じゃあ、いくよっ。3…2……1!」
と、レオンが言ったところで走り出そうとしたレオンの胸を男の剣が貫いた。
よく見ると、男の人数がさっきより増えている。
レオン)「ガハッ、ゲホッッ」
アリス)「レオンッッッ!!!」
レオン)「は‥はや..く、逃げて、麗…花」
アリス)「レオンッッッ!!!いやっっ、死なないでぇぇ。一人にしないでぇぇ!」
気付けば、私は泣いていた。
涙をこらえようとしても溢れて止まない。
[そうだ!さっきのようにレオンの傷を治そう!]
アリス)《世界の燭よ!レオンの傷を治して!!》
さっきよりも強く強く、願った。
辺りに光が溢れる。
しかし、出かかっていた光はすぐに消えてしまった。
アリス)「なんでぇぇ。なんでなの!?」
レオンの傷は治っていなかった。
レオンは最後の力を振り絞るようにして、私の背中を押した。
レオン)「麗…花、に、げて…… 僕は‥…大…丈夫…だから…」
私は迫り来る恐怖と、目の前の現実に怖くなり、泣きながら逃げ出していた。
後ろから追いかけてきているであろう男達も気にせずに、ただがむしゃらに走っていた。
心の中でレオンに謝りながら......
とうとう、事件が起きてしまいました。。。
思ってた以上に早くて予想外です。(笑)
読んで下さり、ありがとうございました。




