Wonder 現在編-25 アリスの隠し事
重傷の麗花は家に着いてすぐに手術室に運ばれ、治療を受けた。
幸い、死には至らなかった。
その知らせを聞き、麗花の声を聞いた時、私は心底ほっとした。
なぜ、声を聞いただけかというとそれは数十分前に遡ることになる。
数十分前
麗花が無事だと知った私達はハイトに、麗花に会わせて欲しいと頼んだ。
ハイト)「申し訳ありません。それは出来ません。」
蘇芳)「何でですか?」
ハイト)「それもお教え出来ません。」
琥珀)「じゃあ、声を聞くことも無理ですか?」
ハイト)「それだけなら、大丈夫です。」
ハイトはそう言って、私達を麗花がいる(と思われる)部屋の前まで連れて行った。
ハイト)「アリス様、碧様方がいらっしゃいました。」
アリス(麗花))「ありがとう。みんな、ごめんね。今は訳あって顔を見せることはできないの。」
部屋の中から麗花の声が聞こえる。
凜紅)「麗花には麗花の事情があるだろうから、深追いはしないよ。」
凜紅がそう言うと私達は頷いた。
私達が、今日はもう帰ろうと門をくぐり、屋敷を出ようとした時、
琥珀だけが止まったまま動かなくなった。
碧)「琥珀?」
琥珀)[そう言えば、昔、アリス姉に聞いたことがある。]
[この屋敷の地下は悪い人が入る場所なんだって………。]
[さっき麗花がいた場所は地下だった。]
[悪い人が入る場所ってことは牢屋だよな………。]
[でもアリス姉は、いや麗花はこの屋敷の長で俺の予想が当たってる可能性の方が少ない。]
[でも、麗花の身に何かが起こっているとしたら………。]
琥珀)「ごめん!みんな、ちょっと行ってくる!」
碧)「えっ、ちょ、琥珀?」
みんなは不思議そうな顔をしていたが、昔から仲のいい蘇芳だけはただ頷いてくれた。
その頃
アリス)「もうみんなは帰った?」
ハイト)「はい、もう今頃は門の外だと思います。」
アリス)「そう、こんな姿は見られたくないから………。」
アリス)「もうすぐ、来るわ。怪我させたくないから下がっててね。」
そして突然アリスは唸り出す。
一方、さっきの部屋の前に着いた琥珀は勝手に部屋を開けた。
琥珀)「麗花っ!」
部屋の中は案の定、牢屋だった。
牢屋の中では、麗花がいた。
麗花の腕と脚は手錠で繋がれていた。
牢屋の前にはハイトが立っていた。
でも、麗花の様子がいつもと違いおかしい。
ハイトは琥珀に気づいていたようで、琥珀のことを見ていた。
琥珀)「……ハイトさん。あれは……?」
ハイト)「………見られてしまったなら仕方ありません。説明しましょう。」
麗花は変わらずに唸っていた。
その麗花の背には真っ白な天使の翼、頭には真っ黒な百鬼のツノが存在していた。
ハイト)「アリス様は、この前の誘拐騒動で、天使の羽根を何枚も引き抜かれました。」
「本来、天使でも百鬼でもそうですが、翼というのは大部分の大事な神経が集まっています。」
「そんな翼を何枚も引き抜かれたアリス様は今、自我が保てず、暴走しています。」
琥珀)「そんなっ!」
ハイト)「ああして、鎖で繋いでいるのは、アリス様の意志です。」
「暴走している時に、誰かを襲ってしまったら立ち直れない、と………。」
「こうして暴走している間にもアリス様の身体は悪いものに蝕まれています。」
「できるだけ早く止めてあげたいのですが………。」
琥珀)「分かりました。俺に任せて下さい。」
琥珀はそう言うと、アリスをじっと見つめて言った。
琥珀)「アリス姉、戻って来て。俺はずっと信じてるから。」
何回も何回もそう繰り返す琥珀の声に、アリスは少しずつ自我を取り戻していった。
アリス)「・・・琥珀?………なんでここに?」
琥珀)「ちょっと気になって来たんだ。アリス姉、いや麗花が誰かを傷つけることなんてないよ!」
「何も恐れなくていいから………。何かあっても俺がどうにかするから………。」
「・・・・麗花、好きだよ。」
そう言った琥珀はただ静かにじっと麗花を見つめていた。
とうとう、この展開に持ち込むことが出来た!




