第5話「今更知った異世界サッカーのルール」
ミアから聞いた異世界サッカーのルール、簡単にまとめるとこうである。
~異世界サッカーの主な基本ルール~
・8人VS8人で試合を行う。
・サブメンバーは5人までベンチに置くことができる。
・試合中の交代は3人まで可能。
・下記の職業は特別枠となりそれぞれ1人ずつしか試合に起用できない。
☆魔法使い枠
様々な補助効果を敵味方に与えれる。
同時に複数人にかけるのは禁止、攻撃魔法も禁止。
☆盗賊枠
スティールでボールを奪える。
相手のスピードや距離によって奪える確立が上下する。
☆僧侶枠
傷ついた味方を回復できる
☆獣使い枠
味方の魔物を懐かせ命令を出せる。
魔物枠を使うなら必須。
☆魔物枠
手足二本ずつの二足歩行のみ起用可能。
身体能力、フィジカルともに桁外れだが知能が低く怒りっぽい。
・特別枠はそれぞれの職業を証明するユニフォームを着用しなければならない。(魔物枠は不要。)
・スキルを使うにはミサンガが必要である。
・対応した職業以外のユニフォームの選手がそれらのスキルを発動してはならない。
・ラフプレイで倒させても会心の一撃以外は反則を貰えない。
・・・以上である。
もちろん事実を知り俺は衝撃を隠せなかった。
思い描いていたのとは別物のトンデモなサッカーのルールにミアの説明中、何度も「何なんすかこれ!?」と言ってしまったほどだ。
ずっと謎だった、ミアやエドワルド達の特殊なユニフォームは特別枠を証明するためのモノだったのだ。
そして前半終了間際にボールが消えたのは盗賊枠のスキル『スティール』で奪われたものだった。
試合を有利にするには必須と言える特別枠。
果たしてこの試合に出てるスタメン及びベンチに何人いたのか。
メンバー表で各選手の職業を確認したところ、更に驚愕した。
※Cはキャプテン
ウインマージ(ホームチーム)
GK ザルデス(武闘家)
DF デホル (戦士)
DF レアンド(戦士C)
DF ミア (僧侶)
MF ムヒノ (戦士)
MF コウセイ(勇者)
MF ペヤモ (戦士)
FW ゲイル (戦士)
控え
GK ダムゾ(戦士)
DF メポト(戦士)
DF アバゼ(戦士)
MF プエル(戦士)
FW アムグ(戦士)
スカーレッズ(アウェーチーム)
GK エリク (僧侶)
DF ヨハン (戦士)
DF フェレ (戦士)
MF モナ (獣使い)
MF エドアルド(魔法使いC)
MF ハイメ (武闘家)
FW アシル (盗賊)
FW キングオク(魔物)
控え
GK ロッシ (戦士)
DF カレル (戦士)
MF ニコラ (戦士)
FW セルジ (武闘家)
なんと俺達のチームはミア以外は戦士と武闘家という、とんでもない脳筋なメンバーで構成されていたのだ。
それとは逆にスカーレッズは特別枠をフルに活用している。
これでは相手になる筈もない。
ウインマージは何故こんな選手層になってしまったのか。
理由は二つある。
一つはリーグ落ちを繰り返すたびに国の資金がどんどん減っていき、まともに選手を維持できず、他の国に戦力を引き抜かれたのだ。
特別枠の職業の選手に支払う年俸はとても高く、その中でも魔法使いに必要な年俸は破格で、異世界サッカーで一番重宝されてるのがわかる。
当然貧しいウインマージには支払えるだけの余裕がなかった。
では僧侶枠のミアは何故このチームにいるのかというと、ウインマージ国王に代々仕える大賢者の娘であり、健気にも国の為に無償でチームに参加したのだ。
二つ目の理由は仮に資金があったとしても、国内でのスカウトが困難だということである。
ウインマージというのはまるでRPGの最初に訪れる国のように、周辺に雑魚モンスターしかおらず、たいしたギルドの仕事もないから昔から中級者以上の冒険者にとっては不人気国なのだ。
反対に初心者の冒険者には人気なのだが、初心者はスキルの取得や熟練度上げに時間が掛かるために、サッカーの練習も一緒に出来るほどの余裕がないのだ。
もしかしたら初心者なら安い年俸でチームに加えることができるかもしれないが、試合で使えるスキルがない状態では脳筋と変わらないので、それなら屈強な戦士や武闘家を低年俸で使った方がマシという考えになるのだ。
ということで今の悲惨なチームが出来上がった。
不服ではあるがこの試合はこの戦力で戦うしかないのだ。
そして他にも不服なのが、ファールの基準についてだ。
試合中に審判は特殊スキル『アナライズ』を使用して各選手のステータスを把握しているのだ。
そこで選手が受けたダメージを確認し、軽いダメージの時は流して、会心の一撃と表示された時だけ反則を取ることにしているというのだ。
なんとこの世界では普通に倒されただけではシミュレーションと同じ扱いをされるらしい。
一応、ボールを持っていない選手への不必要なチャージや、足の裏を見せたタックルを決められたら本来のファールと同じく取ってくれるらしいが、基本的に試合が荒くなるのは間違いないファールの基準である。
もしこの試合にミアが居なかったらと思うとゾッとする。
相手のスカーレッズにも前半は見せ場がなく空気だったが、僧侶枠をキーパーに置いている。
確かに攻められる場面がなければキーパーを回復役にするのは理にかなってる。
しかしそれは俺達がすこぶる舐められているということだ。
絶対にこのまま終わるわけにはいかない。
戦力差は歴然だし、ルールも滅茶苦茶で、俺が本当にやりたいサッカーではないかもしれない。
だからと言って、一度出た試合を簡単に諦めるほど俺は軟弱ではない。
それに勝機はまだある。
ルールを知って奴らの攻略法を思いついた。
からなず逆転するぞ!
そうチームメイトを鼓舞し、控室を後にした。
「前半より失点を減らす作戦会議は終わったのかい?」
ピッチに戻ると、またもやエドワルドが嫌味ったらしく挑発してきた。
今に見ていろ、お前なんて魔法が使えなければ並の選手だってことを教えてやる。
闘士を燃やす俺を更に盛り立てるように例の角笛が鳴り、後半戦が始まった。