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とあるパーティーの冒険譚  作者: 狗山犬壱
とある冒険者の受難
5/11

第5話 森の中で

鬱蒼とした森の中、俺達は目的地である蒼歌の遺跡へと向かっていた。……のだが


「にゃ? ここ、さっきも通った気がするにゃ」


「前、別のクエストで来たときは普通に着いたんだが……明らかにおかしいよな? 」


「多分ですけど、サフィール様の試練の影響だと思います。見習いの吟遊詩人が加護を得ようとする時、こうした現象が起こるって他の先輩から聞いた覚えがあります。」


 本当に神様ってのは人間の動向を見ているんだな。たかが見習いの試練にわざわざ付き合うんだから、案外暇なんじゃねぇか?


「そうなると、俺はサポートに回った方がいいな。レナ、ここからはお前を中心に動くぞ。」


「え!? で、でも、私……」


「心配すんな、何も全部仕切ってもらう訳じゃない。この森を抜けるまでの間、どう動くか決めて貰うだけだ。」


 今起きている現象が女神による試練の一環であるなら、レナ自身が乗り越えなければ意味がない。女神が今も俺らを見ているのなら尚更だ


「戦闘や森の中での探索なんかは俺らがやる。調べる場所やどこで何をするかはレナが決めるんだ。いいな? 」


 俺がそう締め括ると、レナは顔をうつむかせ考え込む。まぁ、いきなり自分よりもランクの高い冒険者に仕切れとか言われりゃ、不安になるよな。


「レナ、大丈夫にゃ! アタシがついてるんだから、なんでもドンと来いにゃ! 」


「シーナさん」


「ふふん! アタシはサイキョーだから、誰にも負けないにゃ! だから、安心して良いのにゃ♪ 」


 このお気楽猫め。いつも無意味に自信たっぷりだな、こいつは。


「……はい! お願いします!」


「うんうん、その意気にゃ! 」


「おし、話はまとまったな。それじゃ、まずはどうする? リーダー」


「あ、はい! まずはこの周辺に碑石がないか探して下さい。」


「碑石?」


「はい。碑石にはサフィール様の詩が記されていたはずです。それを詠えば何か変化があるかもしれません。」


 こうした結界系統の封鎖領域にはよくあるパターンだな。もはやお約束レベルの。確か女神サフィールの姿を象った石像の横に一つあったはず。


「レナ、一つはサフィールの女神像の所にあったはずだ。場所は覚えているか?」


「えっと……すみません。」


「謝る必要はないさ。こうした状況の時は木に目印をつけたり、魔力でマーキングしておいた方がいい。覚えておけば冒険の役に立つはずだ」


「はい。ありがとうございます! 」


「さて、それじゃあ早速」


 さっきマーキングしておいた女神像に意識を向ける。すると、うなじの辺りがチリチリとし始めてきた。次第にそのチリチリとした感覚が抜け、俺の額から一筋の光が森の中に向けて放たれた。


「よし、こっちだ。着いてきてくれ」


「ぷぷ!おでこからビームが出てるにゃ! 変な奴にゃー♪ 」


「うっせ! この魔法はこう言う仕様なんだよ! 俺が意識してやってる訳じゃねぇ」


 くそ、久々だったから忘れてた。こいつを使うと微妙に他の連中が微笑ましそうに見やがるからあんまり使いたくなかったんだよ! くそ!


「え、えっと! その、か、カッコいいですよ! その何て言うか、ユニコーンみたいで! 」

 

意味がわからん。慰めようとしてくれてんのか、おちょくってるのかどっちだよ!? 


「あー! もういいから、行くぞ!」

挿絵(By みてみん)

くそ!もう二度と使わねーからな!?

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