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タックル
『ねぇ、待ってヨ。』
「うわぁ、こっちに来た~!」
強烈なにおいを放ちながら、その汚れた猫は楓に向かって走り出した。
追いかける汚い猫と逃げる楓。
楓はどちらかというと運動は得意な方ではない。だからといって極端に運動音痴でもない。いわゆる普通の女の子だ。
だが、それでも汚い猫の方が早かった。どんどん差が詰められてくる。
「何なのよこいつ!こっちに来ないで~!!」
『こうなったら最後の手段ダ。』
汚い猫は楓の背中に向かって飛んで来た。
楓の背中に衝突する汚い猫。
その衝撃は猫とは思えないような、まるでバットで背中を叩かれたかのような、強烈な一撃だった。
「きゃっ!」
楓は耐えきれずスライディングをするように転倒してしまった。
「あたた・・・」
起き上がろうとする楓。
そのとき、楓の方へ近づいてくる音が聞こえてきた。
楓がその音が聞こえる方を向くと。
「え、えええ~!?」
一台の大型トラックが楓に向かって猛スピードで近づいてきていた。