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【アイトーカ市、商業区】
艦載機発着ターミナルビルからシャトルバス(のようなもの)に揺られて10分ほどのここは、商業区のアーチ前広場の停留所だ。あまり華美ではないが単純でもない装飾のあるアーチには『アイトーカセンター街』と書かれており、アーチに向かって左手には結構広い公園の緑が見える。
――へー、いいじゃない。ちゃんと『街』になってる。
いい仕事するわねーあの建設会社。
ってことは公園にも市街端末がいくつかあるはずだけど、
どうしようかなー、目立つし、商店街の雑居ビルのほうがいいかなー?
悪いことする気満々なのが困ったものなのだが、彼女の現在の状況からすると仕方のないところかもしれない。
とはいえ、ヴィクス中尉を探すべく戻る、という穏便な方法を選ばないというのはもう言い訳のしようなどないほど、彼女が全面的に悪いのである。
ぼーっと案内嬢のヴィクス中尉について行ったはずが、いつの間にか違う人の波に流され、そのままターミナルビルから商業区へのシャトルバスに押し込まれ、そして降りる人波にもみくちゃになりつつ、やっと周囲が見えたらここだったのだ。
――しょうがないじゃないの。気づいたらバスに押し込まれてたんだから。
外なんてほとんど見えないし周囲もわからないし、
いやー久々に自分の背丈を再認識だわ。
などと暢気としかいいようのない彼女は、そのまま適度に人の出入りのある幅8m高さ4mほどのアーチをくぐり、センター街のアーケードの下、幾何学模様に配置された大きい薄緑色のタイルの斑の上を流れに逆らわず歩いていく。
――お店もちゃんとしてるわねー、そういえば商店の配置がどうのって、
揉めてたっけ。そんなもんあたしに言われても知らんがな、
って感じで「好きにしたら?」って丸投げしちゃったけど、
なんとかなったようね。
さて、と、そんなことより市街端末の親玉が確かあのへんにー?
市街端末の親玉、というのは街区に1つか2つある、その街区を統括する思考結晶のメイン端末である。見かけはそこらにある市街端末とは変わらないが、上位権限を持つ者が操作しやすいようなインターフェイスがある。当然だが一般の市街端末よりもワンランク上の装置による監視がされている。
――あったあった。よかったーほぼ図面通りみたいね。
違ってたらホントに悪いことしなくちゃいけないところだったわ。
中身も図面通りかなー?
悪いこと、の内容はさておき、あちこちに迷惑がかからずに済んで、彼女だけでなく多くの人たちにとっても幸運だったようだ。
――さーて、憶えててくれてるかなー?
思考結晶相手に何を言っているのやら。
彼女は端末が並んでいるコーナーを素通りし、脇にあるのっぺりとした、一見ではただの壁のようにみえる扉に左手を軽くあげた。
何ほどのこともなく扉が開き、その中へと進む。
彼女の腕には長袖に隠されているので見えないが、手首に装着した端末がある。
もちろん軍の支給品などではなく、彼女が42局と共同開発したときについでに造った――というか造らせた――端末の試作品第一号なのだ。
「えー、D8608搭載思考結晶コッペパン?、あたしを憶えているかしら?」
『はい、アルミナ博士。当艦へのご乗艦を歓迎いたします。』
「よろしい。では情報連結を。」
『了解です。』
小部屋に設置されている、他のと変わらない市街端末の壁の脇が四角くすぅっと開き、奥からその開いた部分とほとんど変わらないブロック状の黒っぽい物体が少しせり出してきた。これは思考結晶ネットワークに接続するための多重積層光信号端子と呼ばれる装置なのだが、こんなものが設置されているということを知る者はかなり少ない。
彼女は両腕の袖をまくると、肘から手の小指側を合わせるようにして、手の甲側にある端末の表示部をそれに向け、その物体に近づけ……ようとした。
「う、ちょっと、高さが合わないじゃないの。」
低いのだ。
仕方がないと、若干しゃがむようにして高さをあわせるようにしてその体勢で物体に腕の端末の表示部を近づけた。
――とても他人には見せられない恰好ね、これ。
確かに、すごく、恰好悪い。しかもあまり持たない。
端末を腕から外せばいいと思われるかもしれないが、この端末は内側で彼女のバイタルデータなどを検出しており、外した状態では機能制限がかかってしまうので、情報連結するためには装着したままでないと都合が悪い。
距離など、認識範囲も限られていて、さらに向きも固定である。これもセキュリティのひとつなのだから仕方がない。
「ちょっと!、まだなの!?」
『申し訳ありません博士。もう終わります。』
――脚がプルプルしてきたわ。
あまり使うことはないとはいえ、時間もかかるし。
暗号強度の問題?、いえ、そんなことより!
つらすぎる。設計ミスね!!
なんとも恰好のつかない博士だ。
『完了しました。おつかれさまです博士。』
彼女は袖を元に戻しながら、
「ふぅ……、ありがとう。まさかこんなだとは思わなかったわ。改良の必要を感じるわね。」
『手配いたしますか?、博士。』
「いいわよ、ここを使うのなんてめったにないのだから。あ、手配するなら高さが変更できるスツール(椅子)でも用意して。そのほうがいいわ。」
『ではそのように。』
返答に頷くと、肩をほぐすように軽くストレッチのような動きをしながら、
「あ、それと、」
『はい博士。』
「博士ではなく軍の階級で呼ぶように。」
『はい少佐。』
「よろしい。」
さらに膝に手を当て脚をひらき左右交互にに脚を曲げ伸ばしし、
「あ、そうだ、この部屋の映像を記録から抹消しなさい。」
『映像のみでよろしいですか?』
「そうよ。音声は残しておいて。どうせランクが高すぎて見れる人なんていないでしょうけど。」
『了解しました。』
――さーてと、そろそろ真面目に着任しないと騒ぎになりそうね。
迷子なんだから保護してもらわなくっちゃね。ふふっ。
「コッペパン?、公園の監視状況と巡回警備員の位置を教えなさい。
それとね……」
一体何をしようというのか。
* * *
【アイトーカ市中央公園、噴水ちかくの市街端末そば】
「お嬢さん、どうかしましたか?」
「え?あ、いえ、ちょっと」
夕刻の、やや琥珀色に照らされる公園には、散歩する人や噴水の縁に座る人、それに遊んでいる子供らが三々五々、いや、三々一二というべきか、ちらほらと見える。
もちろんコロニー艦であるので、空は投影されたホロ映像である。艦内時間によって人々の生活リズムを調整する意味でもあるこの仕組みは、地上基地や空間基地、コロニーや収容施設などで今や当たり前のように使われている。
噴水のある広場の通路脇にぽつんと設置されているごく普通の市街端末の前に、とまどったような様子が窺える軍服の少女が居る。そこへちょうど通りかかった巡回中の警備員が声をかけたのだった。
市街端末を使用する場合、個人端末を市街端末の前面の台にある窪みに乗せるのが普通だ。むしろそうしないと市街端末は使えない。
不審に思った警備員が、
「む、君、個人端末は?」
「あー、えっと、忘れました。てへへ」
「じゃあ市街端末は使えないよ?、ところでその恰好は?」
「えーっと、軍人さん、ですよ?、えへへ」
「コスプレかい?、あまり感心しないなぁ…、
今は寄港しているから本物の軍人さんが多いんだよ、バレたら大変だよ?」
「はぁい」
「君、忘れたってどこに忘れたの?」
「えっと、ターミナルビル?」
巡回している警備員の2人組に質問攻めにされているのは、もちろんアルミナ少佐だ。
なぜかカワイコぶっているのだが、演技のレパートリーが少ないのは勘弁してあげてほしい。当人はおそらく気にしないだろうが、こういった場合にはたいてい、結果的には関係者たちにとっての頭痛の種になる。演技が上手すぎるとそれはそれでその種が増えるのだから。
警備員たちがすぐに『コスプレ』と断定したのも無理はない。
彼女が着用している軍服は、靴以外はであるが、もちろん正規品でありちゃんとした実績や正規の手続きの、歴とした本物の軍服正装なのだが、この警備員たちはそれほど詳しくないとはいえ、階級が高そうな襟章に肩章だし、胸元にはカラフルな縫い付け(※)もある。肩から胸元へは飾紐がついているし、誰が見ても高級士官っぽい上着なのだ。
(※:功績や資格のあるものがつける帯状の徽章のこと。)
さらに言うと膝上のスカートであり、一般的な運動靴に白のハイソックスである。
そのせいもあってどうみても中学生か高校生にしか見えない少女が、そんなゴテゴテと飾りのついた軍服を、正規に着用できる階級や資格をもっているとは常識的に考えてみても、とても思えないだろう。
「(ちょっと連絡とってみるか)」
「(そうだな、市街端末からの通報でもあるし、
個人端末がないと使えないって知らないはずもないし、どうも妙だし。)」
と、ひそひそ言ってからターミナルビル(の警備室)へと連絡する警備員。
ややあって、
「ターミナルビルのほうに連絡してみたんだけどね、
忘れ物や置き引きなどの連絡はきていないそうだよ?」
「あ、そうなんですか…」
「それに君、ターミナルビルからここまで、個人端末なしでどうやって来たんだい?」
「んーっと、バスに乗って……」
もうお分かりだと思うが、彼女はこの艦の思考結晶に最上位権限をもつアルミナ博士として事前に登録されている。
だから彼女は艦内どこでも、それこそ禁止区域だろうが機密区域だろうがフリーパスである。特に支給品の個人端末などなくても、思考結晶が彼女を識別しているからこそ、端末なしにあちこち彼女が動き回っていても通報されたり警戒されたりしない理由なのだ。もちろん彼女以外でそんな動きをすれば警備員が、場合によっては駐留軍がすっ飛んでくる。
ところがそんなことなど知らないこの警備員たちが不審に思うのも当然で、見かけが中学生か高校生ぐらいにしか見えないこの軍服コスプレ少女を、保護する方向で考えるのも至極当然の流れなのだ。
「そうか、君、個人端末なしじゃあ不便でしょう?、
調書とる都合もあるので、一緒に詰所まできてもらえるかな?」
「はぁい、わかりましたー」
「じゃ、ついてきてくれるかな?」
「はーい」
今度はちゃんと公園の外まで付いて行き、地上車にのせられぐるーっと公園を迂回し、センター街アーチと反対側にある警備本部まで連行されたのだった。
アイトーカ市に空行車は存在しない。
一部星系の地上世界において、範囲を限定して空行車の使用を解放しているところもあるが、基本的には自動操縦であり、空行車を自由に操縦することは一般的にはない。
拠点から拠点以外を動かせる資格を持つものは限られており、厳しい試験を通過したもののみの特権とも言えるが、緊急的と認められない場合は拠点以外を離着陸することができないように制限されているので、資格を持っていても自由に飛べるわけではない。
駐留軍には数機の空行機が配備されているが、これは空行車という扱いではない。
そもそもコロニー内では交通制御が行き届いているので、地上車の移動だけで充分なのだ。層をまたぐ移動は空行機であれ地上車であれリフトを介することになるし、層と層は数十~数百mの距離がある。一部の層間にはリフトではなくトンネルで結ばれている箇所もあるが、居住区からは全てリフトなのだから、空行機より地上車のほうが都合がよい面が多い。
駐留軍に配備されているのはどのみち緊急時にしか使えないが、駐留軍の体面的なモノで配備されているに過ぎない。
そして地上車は各家庭に貸与されている。貸与はそのうち購入という形に移行する予定になっている。
もちろん免許は必要なので、免許を持っている者がいない家庭には、工業区にある教習所で運転を学んでもらうように案内が行きわたっている。
これは基本は経路入力での自動運転だが、何かあれば手動に切り替えられることと、自動運転時に緊急的なことで停止させたりする必要があるためである。
* * *
【アイトーカ市警備隊本部、応接室】
「じゃ、ちょっとこの部屋で待っててくれるかな?」
「はーい」
「ノド、乾いてない?、なんなら何かオレンジジュースでも用意するけど。」
「あ、ありがとうございますぅ、助かります~」
カワイコぶりっ子継続中である。しかし内心では、
――詰所って言ってたのに、警備本部じゃないの。
それにノドが乾いてるか尋ねたのにオレンジジュースって。
余計にノドが乾くとか考えないのかな……。
と、こんなずうずうしいことを考えていたりする。
この部屋は、いわゆる取調室のような殺風景な部屋ではなく、応接室のようだ。
ソファーに座り、なんとなく壁に掛けられているでっかい風景画や、部屋の隅に置かれているでっかい葉のついた観葉植物、テーブルの上の無骨な岩の灰皿などを眺めていると、連れてきた警備員とは違う別の2人の警備員が入ってきた。
「アルミナ・アユさん、私はこの警備本部の責任者、ガトー・バンバラです。
こちらは第一警備隊長のホニカ・ヤスといいます。」
「こんにちわ。」
――軍とは連絡がとれたようね。
あとは迎えを待たせてもらうだけで、あたしからは特に用事はないのだけれど、
この人たちは何か用事がありそうな雰囲気ね。
地上車でこそこそ連絡を取っていたのは見ていたので、おそらくそのときに警備本部から軍に確認の連絡が入ったのだろう。詰所じゃなく警備本部に連れてこられたのもそういう理由からかもしれない。
「早速ですが、あなたの証言が本当なのか、正直こちらでは判断しかねまして…、
軍のほうでは確認のために迎えを寄越す、と、こう言われてしまい、
そのお迎えが来られるまでこうしてお待ちいただくしかないのですよ。」
「はい」
「こちらと致しましても、あの有名なアルミナ博士が……と、半信半疑なのでして…」
「はい」
――あんまり有名なのも困ったものね。変装、とか考えたほうがいいのかしら。
いっそのこと認識阻害とか光学迷彩とか、そういうのでもあればねー
研究してみるのも手かな?
長年研究されているが実現できていないテーマを、簡単に言うものである。
ちなみに認識阻害は実現されてはいないが、光学迷彩なら多少は不完全ではあるが、一部実用化されてはいる。この艦の外壁にもついていたりする。実用化といっても一般的に普及しているわけではもちろん、ない。
「それで申し訳ありませんが、しばらくこちらでお待ちいただけないか…と。」
「はい、お待ちします。」
と言うとガトーとホニカは目に見えて安堵の溜息をついた。
ガトーに至っては、額の汗をハンカチでぬぐうおまけつきでだ。
――そんなにビクビクしなくったって、何もとって食べたりしないのに…。
こんな無害で可愛らしい女の子を捕まえて、
一体なにをそんなに緊張するんだか。
もちろん本当だったときの、そのゴテゴテと装飾のついた軍服や肩書にである。
アイトーカ市では少佐など、上から数えたほうが早いというより、
もろにトップクラスの階級なのだ。
カーディナル以外の、大半の地上世界出身者にとっては、軍というのは自分たちを守る盾であるとともに、その矛や盾がいつ自分たちに向いてもおかしくない、という、まさに矛盾を孕んだ畏怖の対象である。
過去に暴動や反乱などの鎮圧があったような星系の地上世界が出身であれば、現地の基地司令官などはたいてい佐官クラスであり、機嫌を損ねるとろくなことがない、下手をするとその地上世界では死を意味したりする。
一般軍人にならそこまで緊張することもないのであろうが、少佐、という肩書に、怖がるな、というほうがそんな彼らの経歴からすれば無理というものだろう。
彼等にとっては『触らぬ軍に祟りなし』、なのだ。
とくに何を話すわけでもなく、しばらくしてさきほどの警備員がトレイにのせたグラスに注いであるオレンジジュースを持ってきてくれた。
警備本部長と警備隊長が緊張した愛想笑いを貼りつけた顔をして黙って座っているのをみて、目を丸くして言葉が出なかったのか、無言で目の前に置かれたそれに、軽く会釈して「ありがとうございますぅ」ってにっこり笑いかけたのだが、愛想笑いを貼りつけた顔をしてそそくさと退出していった。
――この不思議な愛想笑いって伝染るのかしら?
添えてくれたストローを挿し、ちゅーちゅー飲んでいるとばたばたと足音が聞こえ、すぐに扉が勢いよく開かれ、ヴィクス中尉が息を切らしながら飛び込んできた。涙目で。
「しょ、少佐ぁ…」
「早かったわね、ヴィクス中尉。」
面白いのでマネをした、緊張して愛想笑いを貼りつけた表情、で言ってみたのに、あまりウケなかったようだ。残念。
「お、お渡しした、はぁ、個人端末、せっかく仮発行してあるのですから、はぁ、ちゃんと持ってていただかないと困ります!」
「ちゃんと受け取ってショルダーバッグに入れたじゃないの。」(ちゅーー)
「少佐っ!」
涙目で叱られた。
「そ、その…、こちらの方は本当にアルミナ少佐なんですか?」
「(キッ!)」
恐る恐るといったガトー警備本部長をひと睨みで黙らせた。
――怖っ。
「さぁ!、少佐、司令部へ行きますよ!」
「はぁい…」 (ズコー)
――あ、オレンジジュース飲み終わってしまった。
「ほらそんなの置いて!」
「あっ」
「あじゃないですよ!、もう!」
――痛いって!まだ氷がっ…!痛い痛い!
オレンジジュースの入っていた氷入りグラスを取り上げられ、二の腕をすごい握力で捕まれて強引に立たされ引っ張られた。
「あ、オレンジジュース、ごちそうさまでしたとお伝えくださいね、いたたた、腕痛いです中尉!」
「そんなこと言っても放しませんから!」
「大人しくついてくから放してー;」
「本当に?」
「(コクコク)」
――あー痛かった、スゲー握力だわこのひと。なんかやってんのかな、武術とか。
身体は鉄でできている、だったりして。ふふ。
「何か言いました?」
「(フルフル)」
「じゃ、行きますよ!」
呆気にとられる警備本部長と警備隊長を尻目に、開けっ放しだった応接室から廊下をズカズカと、こんどは少佐の手をしっかりにぎって引っ張っていくヴィクス中尉。
「司令部から連絡が入って、少佐が公園のところで保護されたから
迎えに行ってくれ、と言われたときには卒倒しそうになりましたよ!」
「ごめんねー」
「一体どうやってあんなところまで行けたんです!?」
「気づいたらバスに乗ってたのよ。人の流れってコワイよねー?」
「(はぁ……)とにかく、しっかりして頂かないと困ります!」
「はぁい」
――そんな大きな溜息つかなくたっていいじゃないの…。
廊下ですれ違う警備員に奇異の目で見られながら、迷子にならないように手を引かれる少佐というのも情けないものだ。
手を引かれるまま正面玄関から出て、ヴィクス中尉の乗ってきた地上車に押し込まれ、そのまま押されるように後部座席の奥にずらされた。中尉は横にのってドアを閉めると、
「行ってちょうだい。」
「はい」
と、運転席の軍人さんが返事をして車を走らせた。
ちらほらと車が走る大通りに出て、少し走った頃、
「ね、何か食べてから行かない?」
「(キッ!)」
すごい睨まれた。ちょっとした冗談なのに。
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20150211---- 一部の語尾を修正しました。