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2-04


2-04



 「さ、お昼になるから帰るわよ。」

 「え?、もう帰っちゃうんですか?」

 「リリィ、お昼ご飯が合成食品でもいいの?」

 「あのヘンな味のやつですかぁ?、いいですけど…」

 「あたしはイヤよ。ここのは宙域食と違って工夫されてるらしいけれども、

  それでも合成食は合成食だわ。」

 「キャシー、ナツメグの人たちは?」

 「客室にいます。こっちで一緒に戻ってもいいそうです。」

 「そう。なら問題なさそうね。ニキは?」

 「さきほど到着したようです、そこに映ってますよ。」

 「あらほんと。」

 「しかし外が夕方なのに『お昼になるから』ってのも妙ですよね。」

 「しかたないじゃないの、あたしたちはカーディナル標準時で動いてる

  のだもの。」

 「そうなんですけどね、あはは。」


 キャシーの示したモニタには、傾いた恒星アスパラギンの茜色を少し反射した艦載輸送艦の一部が映っていた。染まる荒野に映える黒く巨大な物体というのもなかなかに幻想的だ。

 こうして見ると全長1km以上で直径がその半分ほどあるカプセル状の円筒形というのはかなりなサイズだ。下部のハッチを解放しているので尚更大きく見える。いや、充分大きいのだが。


 コッペパン艦内時間は惑星カーディナルの宇宙軍がある本部地域の時間、カーディナル標準時に合わせている。

 どこかの現地で作戦行動をとる場合には現地時間で行動するが、こういったような少し降陸するだけ、というような場合には艦内時間をそのまま使うものだ。なので現地では真夜中なのに昼食を摂るというようなこともよくある。


 艦艇だって所属する地域があればそこの標準時をもとに生活しているのだから、所属が違えば艦艇にだって時差が発生する。星系が違えば1日の時間や暦まで変わる。幸い、このアスパラギン星系を含め、ほとんどは大昔に厳密に定義された1秒の長さを基準にしているが、辺境の国家によってはそれが不便だからと固有の時間単位を用いているところもある。


 キャシーはずっとカーディナル標準時で過ごしてきたし、こういった事には不慣れなので妙だと感じているが、艦やあちこちの地上世界を渡る者でなくても、地上にだって時差はある。惑星上の地域を渡り歩く者だって同様だろう。そういうものなのだ。



 「カンイチくん、あっちと情報共有はしたの?」

 『とっくに終わってまっせー』

 「そう、ありがとう。んじゃいいわね。でも一応言っておくかな。」


 艦長席のパネルを操作してモニタに艦載輸送艦の操縦席を表示させた。

 なんとニキが艦長席でふんぞり返ってドリンクを飲んでいた。


 「ニキったら…、あとスミスが居ないわね…。

  ちょっとニキ!、スミスはどうしたの?」

 『わっ!、中佐!(どてっ、ベシャー)』

 「あーあ、いきなりじゃびっくりしますよ、中佐。」

 「あーごめんごめん、ニキ大丈夫?」

 『いてて、はい、大丈夫です。』

 「何かベシャーって音がしたけど…?」

 『ドリンク落としてこぼしました…』

 「で、スミスは?」

 『スミスなら外で搭乗手続きしてます。』


 艦載輸送艦のモニタ映像をこちらにも表示させると、確かに並んでいる人たちを捌いているスミスが居た。


 「ニキも手伝ってあげて。そのほうが早く終わるでしょ。」

 『はーい、わかりました。』

 「こっちは先にコッペパンに帰るけど、どこにどうするってわかる?」

 『はい、キャシーさんから聞きましたし、情報もらってますし。』

 「そう。じゃ、あとお願いね。」

 『了解でーす。』

 「じゃ、こっちはいいわね。あれ?、リリィ、ステラさんたちは?」

 「上の部屋で訓練してますよ?」

 「まぁいいか、別に戦闘するわけじゃなし。キャシー、準備いい?」

 「いつでもどうぞー」

 「じゃ、カンイチくん、発進!」


 そうして中佐たちは第四惑星リスーマを後にしたのだった。


 コッペパンに到着してから、「食事にいくけどどうする?」って尋ねられたステラと2人の研修生は、コッペパンに帰還していると知って驚いていた。


 ナツメグ税務会計事務所の人たちは中佐がとりあえず地上までエレベーターで送り、「食堂で一緒に食事でもどう?」と誘うと逡巡していたが、さらに「奢るわよ?」と言ったので恐縮してしまい、帰ってしまった。

 そのことを食堂でキャシーに言ったら、


 「そりゃあの人たち、中佐が居るときものすごく緊張しているもの。」

 「そうだったの?」

 「うん、何か怖がってるみたいな感じがしましたよ?

  中佐一体ナツメグの人たちに何したんです?」

 「おかしいわね、お父様の代からお世話になってるし、そんなに

  怖がられるようなことをした憶えはないのだけれども…。」

 「何かあるんですよ、絶対。あたしには普通に会話してたもん。」

 「何なのかしら、まぁお仕事ちゃんとやってくれてるからいいけれども。」

 「ふぅん、ところで研修生のお二人はこそこそ何を話してるんです?」

 「あ、いえその、一般食堂は初めてなので…」

 「え?、じゃあ今までどうしてたんです?」

 「士官食堂のほうで…、他の2人も一緒だったんです。」

 「そういえば昨日、士官食堂で初めて食べましたよ、あっちは静かでした。」

 「ああ、利用者少ないものね。」

 「で、他の2人は?」

 「今日は地上に降りるから先に食べてくれって連絡しておいたんです。

  でもまさか昼前に戻って来れるとは思ってなくてですね、

  それでどうしようかって今2人で話してたんです。」

 「どうしようかも何も、もう定食が目の前にあるじゃないの。

  持って移動しちゃダメよ?」

 「はい、そうですよね…」

 「もう連絡したんなら、今はそのまま食べましょうよ。」

 「そうですね。」


 なんとも居心地が悪そうな2人だった。ステラは黙っていたが、リリィとキャシーが話しかけたりして、気を遣っていた。

 トオル研修生はキャシーの話を熱心にきいて会話をし、マイコ研修生はリリィの話をよく聞いて質問したりしていた。

 中佐とステラは向かい合っていて、彼等からはリリィやキャシーを挟んでいるのであまり会話に参加したりせず、それらの様子を見て微笑んでいた。



   *  *  *



 「隊長、あんなガ…アルミナ中佐に好き勝手されちゃたまりませんよ!」


 第四惑星リスーマ地上基地にいるヘルマン大尉からの基地間通信でひと通りの報告を聞いたアルマローズ中佐は、地上基地司令マイネル大尉が報告の終わりに付け加えたこの一言に、渋い顔を地上基地のモニタに映した。


 副長であるヘルマン大尉は同席していたので知っているが、階級を盾に『声が小さい!』などと娘ぐらいの年齢としのアルミナ中佐に怒鳴られたのだ。それは相当悔しかっただろう。おそらく人から怒鳴られるなんていつ以来か考えるぐらいの事なのではないか。マイネル大尉もまれな経験をしたものだ。そうヘルマン大尉は無表情を張りつけたその精悍で小皺こじわの刻まれた顔の下で考えた。


 『私も同行すれば良かったな…。』


 渋い顔から諦めめいた表情に変化しながら、隊長と呼ばれたアルマローズ中佐はそう零した。


 アルマローズ中佐が司令と呼ばれるのは第一辺境防衛基地を基準としたものだ。地上軍の者らからは、『隊長』と呼ばれている。これは第147辺境警備隊いちよんななの隊長だからだ。同様にヘルマン大尉は『副長』と呼ばれている。

 こういった呼称はその隊の内部同士の通信や会話ではよくあることで、基地間通信で『司令』という呼称はあまり使われず階級を付けて呼ぶのが通例とされている。しかしあくまで通例であり、まぎらわしかろうが何だろうが呼ぶ側の趣味のようなものなのだ。

 コッペパン艦でアルミナ中佐が『副艦長』や『室長』や『(戦技)情報室長』などとめったに呼ばれないのも似たような理由だろう。


 アルマローズ中佐がアルミナ中佐の降陸に伴わなかったのは、現在彼女は第一辺境防衛基地の新設備に関する管理運用訓練の真っ最中であり、それとまさか半日と掛からずに行って戻って来れるとは思っていなかった、という理由からだ。

 訓練のほうはわずか30日足らずでこの新設備に慣れた教導官らと訓練員らがカーディナル星系へと帰還してしまうため、通常ならもっと期間が必要な訓練をある程度のレベルにまで進めておかなければならない。後で自分も困るし基地要員たちも困る、場合によっては星系に住む人々が困ることになる。

 そういったこともあって、降陸には副長のヘルマン大尉をつけたのだ。

 正直なところ、予め地上基地には説明をしておくべきだった。多忙にかまけて怠ったと思うのもしゃくだが、ある意味では自分の手落ちだと思うぐらいのまともさは持ち合わせている。



 「何とかならないんですか!、隊長!」

 『すまん。私にはどうすることもできないんだ。中央カーディナルからも

  アルミナ中佐に従うようにとの指令がでている。』

 「そんな…。」

 『それに報告を聞く限りではそちらにとってもむしろ歓迎すべきこと

  ばかりではないか。マイネル大尉の気持ちもわからなくはないが、

  こらえて協力した方が後の為にもなる。』

 「…ちくしょう、あんなガキに…。」

 『ガキとは穏やかではないな。あんなだが私など足元にも及ばないほど、

  功績もあるし中央とのパイプも太い。彼女の胸の徽章きしょう

  見なかったのか?、辺境の我々がどうにかできる相手ではないよ。』

 「……。」

 『何にせよ彼女らがアスパラギン星系(ここ)を去れば我々の天下

  なんだ。今は黙って従い、協力する他はなかろう。』

 「わかり…ました。」

 『差しあたっては工事の人員には進んで協力してやってくれ。

  副長と一緒にプラント側へそれらの指示と説明を頼む。』

 「「はい。」」

 『頼りない隊長ですまんな。二人とも。』

 「そんな、隊長が頭を下げることじゃないですよ!」

 『ところでさっきの、ラゴニアの連中の輸送っていうのは何なんだ?』

 「はい、いま外でやってるあれですか、よくわかりませんが、

  ラゴニアの連中を上に連れていくようです。」

 『200人程いたはずだが?』

 「はい、見た感じそのほとんどですね。」

 『一体何をするつもりなんだ…。』

 「すんません。きけば良かったんですが、その前に工事やらの件で

  頭に来ちまって…」

 『そうか、聞いてないならいい。いや、謝ることはない。』

 「はい。」

 『宙域の次はリスーマか。……その次はラスタラ…?、まさか…?、いや…』


 リスーマとは違い、第三惑星ラスタラ地上基地とは連絡がつかなくなっている。

 大半が海賊スネアの者だというのは周知の事実であったし、宙域スネア残党がラスタラに降りたというのも観測されている。

 なのでそれらの仕業だろうと思うしそれ以外には考えられないのだが、ラスタラ地上基地要員らにはスネアの息のかかっていない士官や兵士たちもいるのだ。できれば皆無事であって欲しいと思う。


 一応調査させようと5名を派遣した。そろそろ何かの連絡があっても良いはずなのだが、何せラスタラはスネアだらけなのだ、最悪を想定すれば彼等をうしなってしまうかも知れないとも考える。


 まさかアルミナ中佐はラゴニアの連中を使って地上基地奪還作戦などを考えているのではないか?、いや、いくらなんでもそれは無謀だろう、たかだか200人程度の素人を集めてそんなことをしても犬死いぬじにさせるようなものだ。辺境の設備とは言え、軍の地上基地なのだ、それなりにだが軍備もあるし武器弾薬だって揃っているはずだ。

 それに宙域にいたスネア残党も合流したようだし、だとすると正規兵・非正規兵合わせて1000人は居るだろう。200名程度でどうにかなるものではない。


 第一辺境防衛基地要員の一部スネアだった部下らが隣接宇宙港管制室を占拠した件では世話になったし、基地設備増設の件で通信をしたときにはあれこれ驚きつつも、あれこれ良くなるのであればと頭も下げたが、地上で戦争を起こして欲しいとは思っていないのだ。部下らも心配だし地上基地も惜しいがあまり無茶なことをされるのも困る。

 一応は第147辺境警備隊の管理星系なのだから、責任というものもある。


 もう流れに任せるしかないと諦めの境地にあるアルマローズ中佐は、それでもこの星系でこれから何が起こるのか、心配しないわけには行かないのだった。



   *  *  *



 アルミナ中佐が戦技情報室に戻ると、ロックが自席で小さく手招きしたのが見えた。歩み寄って話を聞く。

 「ムツミネがラスタラの市場調査を行いたいって司令部へ申請した

  みてーだが、いま許可が下りたらまずいんじゃねーか?」

 「許可はいいけど下へ行かれるのはまずいわね。」

 「どっちに手ぇ打つ?」

 「こっちでやるわ。すぐ動かないようにすればいいんでしょ?、

  ついでもあるしあたしが行ってくるわ。」

 「らじゃ。」

 「あ、テーマパークやイベントだけど、どんな感じ?」

 「ああ、もういつ公開しても行けそうだぜ。ネットのほうも準備は

  できてる。そう訊くってことはそろそろなのか?」

 「スネアの残党がもしあちこちで騒ぎを起こしたりした場合に、

  アイトーカ市でもやられちゃうと手が足りなくなるでしょ?」

 「それで市民の目をそらす手に使おうってのか…」

 「一応マークはしているけれど、市長らの動きもなんだか怪しいでしょ、

  この間はへんな演説をして軍を非難していたみたいだし。」

 「あれなー、駐留軍がターミナルビルを閉鎖したってのが引き金っ

  ぽいぜ?、艦長らも余計な事してくれたもんだぜ。」

 「それについては人命は残念だったけれどもメリットはあったもの。

  いまさら言ってもしょうがないわ。問題は今後のことでしょ?」

 「そうだな。で、いつなのか分かるのか?」

 「ううん?、メイやキャシーが網を張ってるのだけれども、

  なかなかつかめないわね。スネア残党はほとんど通信していない

  みたいなのよ。まるで通信を警戒しているのを知ってるみたいに。」

 「そりゃまあ、あっちにも頭の回るやつがいるんだろうさ。」

 「そういうことね。なら、騒ぎを起こすならどうするかを考えたら、」

 「複数個所で同時に、か。」

 「そう。そしてアイトーカ市でも騒ぎが起こらないとは思えない。」

 「なるほど。市民を煽動されちゃ堪んねぇからな。それでこれか。」

 「そういうこと。ガルさんやテリーの担当分も使えると思うのよ。」

 「ああ、わかった。手札を用意しとけってことだな。」

 「うん。お願いね。」

 「了解。」


 ロックの席を離れ室長室へと入っていった中佐は、ムツミネ宙域開発のマルハス・テンマ代表に連絡をとった。事情を尋ねてみると、どうやらムツミネホールディングス代表のタカハラ・ジョーンズ・トーシォさんの指示らしい。コッペパン艦での食糧生産・加工・流通を一部委託しているムツミネ食品・ムツミネ流通への指示のようだ。

 丁度その件の打ち合わせをムツミネ宙域開発で関係者を集めて行っているということで、ならば今から伺うと伝えて通話を切った。


 そしてシミュレータールームへ連絡をとりステラに「出かけるから運転してくれる?」と言って室長室をでた。



   *  *  *



 駐車場でお待ちします、と言ったステラ中尉に軽く頷いて会議室のある棟の前で車を降りたアルミナ中佐は、そのまま建物に入って行った。

 受付らしきカウンターで場所を聞いて進み、会議室前に居た人に挨拶すると待っていたのかお辞儀されて扉を開けてくれた。


 中にはずらりと人が並び座っていた。皆それぞれ緊張感のある面持ちで中佐を見ている。一番奥にはいつものようにマルハス・テンマ代表がいつもの作業着ではなく威圧感のある高級生地のスーツ姿で座っていた。

 中佐が室内に足を踏み出す。入口に居た男性のひとりが先導し「こちらへ」と手のひらで示した席の前に、座らずに立ったままテンマ代表を正面に見据えた。


 「ようこそアルミナ中佐。緊急を要するとのお話でしたので、

  当方も重要な会議中でしたが、先に中佐のご用をお伺いすることに

  した次第です。さて、緊急のご用件とは何ですかな?」

 「重要な会議中に割り込んで恐縮だわテンマ代表。では手短に尋ねるわね。

  宙域の騒ぎも落ち着いてきて、これから地上もという所なのだけれど、

  ムツミネとしては今後どうするの?」

 「どうするの、ってーとどういう意味だい?、アルミナの嬢ちゃん。」

 「ムツミネが過去どうやってのし上がったかなんてことは今は訊かないし、

  どうでもいいわ、でもね…?」


 と中佐はここで口をきゅっと一文字に引き締めてじっとテンマらを見、そして、


 「アスパラギン星系(ここ)であたしの邪魔をしたら許さないわよ。」

 「そりゃまた穏やかじゃねぇな。長ぇことこの商売やってるが、

  直接聞いたのは初めてだ。嬢ちゃんとは10年来の付き合いになるが、

  それに免じてもう少し話を聞こうじゃねぇか。どういうことだい?」

 「たぶんもう分かってると思うけれども、ムツミネが他を駆逐する

  勢いで地上を荒らすと余計な問題が起きてしまわないかどうかを

  懸念しているの。」

 「なるほど、それで過去…か。一応営利企業だからなぁ、地元の連中と

  うまいことやらねぇと後々響く。見かけ上は他を駆逐したように

  見えてても、そういうのばかりじゃねぇ事もある。困ったことだが

  しこりが残ることもある。こういう『金の匂い』に釣られて妙なのが

  寄ってくることもある。」

 「その、『妙なのが寄ってくる』例なのよ、今回は特に。」

 「そりゃもちろん考えてるさ。儂ら建設もだが商業系なんざそれがまず

  最初の障害みたいなもんだからなぁ。そこはもう交渉から始まるって

  もんだ。だがよ?嬢ちゃん。

  他を駆逐って言うがそれで何が嬢ちゃんの邪魔になるってんだ?、

  金の匂いに敏感な連中の事ってなぁ海賊の残党連中の事だろう?

  海賊だろうがその筋の者だろうが似たようなもんだ、それが嬢ちゃんに

  関わりがあるってもんじゃねぇだろう。

  なら嬢ちゃんの事だ、最初にガツンと言って釘刺すようにしたって事ぁ、

  何か提案なり要求なりもってんだろ?、そろそろそいつを聞きてぇな。」


 中佐は少し苦笑いをした。テンマもニヤっと笑った。


 「テンマさん相手だとやりづらいわね、トーシォさんの影響あるんじゃない?」

 「あまり嬉しかねぇが、褒められたんだと思っとく。で?」

 「海賊スネア残党はこの際無視していいわ。基地を占拠してるのがその連中

  ってのはもう分かってるし。」

 「ほう」

 「問題は、スネア派に染まっている第三惑星ラスタラの企業連中なのよ。」

 「ああ、地場企業が癒着してたってやつかい、そりゃ確かに面倒臭そうだな。」

 「悪いことしてるのはもう分かってるの。だからこちらできっちり

  押さえてきっちり整理するわ。それまではムツミネもラップライフも

  大人しくしていて欲しいのよ。」

 「なるほど…」

 「整理した後はまるごとムツミネとラップライフに任せてもいいと

  思ってるの。経営関係でおそらく手が足りないでしょうから、

  そっちの人材で用意してくれると助かるわ。しばらくすれば

  こちらで計画してる地元の人材が配置されるから、彼らが慣れるまでは

  居てもらってその後、そちらの人材たちは引き上げる予定で。

  基本的に『地元のことは地元の人で回す』、このほうがいいでしょう?」

 「ふーむ…、そこまで考えてくれてるなら、こちらとしては素直に従うっ

  きゃねぇな。そういうことなら邪魔はしねぇさ。

  ところで正式な書類なんざ出るわきゃねぇだろうが…」

 「そうね、軍事行動が絡むところを省けば、概略項目ぐらいなら出しても

  構わないわ。もちろん機密書類として扱ってもらわなければ困るけれど。」

 「そりゃぁもちろん。(ぴ)おお、すまんな。ふーむ…、時期は未定か、

  そりゃそうだよなぁ…」

 「とにかくそういうことなの。また連絡するわ。じゃ、よろしくね。」

 「おう。ところでよ。」

 「なぁに?」

 「後学のために聞いておきてぇんだが、嬢ちゃんが『許さない』っていう

  のを守らなかった企業は?」

 「そんなの気になるの?、後学ってことは心構えしたいから?」

 「い、いやそれは言葉のあやってもんでだな…」

 「ふぅん。ちょっと調べればわかるわよ。なんならトーシォさんにでも軽く

  聞いてみるといいわ。じゃ、今朝伝えたリスーマの件、よろしくね。」



   *  *  *



 後日。


 『久しぶりじゃな、テンマ。そっちはアルミナ嬢と楽しかろう?』

 「はい、ご無沙汰しております御大。おかげで新鮮な驚きと前代未聞と

  記録更新のパレード状態です。」

 『おぅおー、そりゃ羨ましいのー、ええのー儂もそっちいきゃよかったわ。

  ところでテンマよ、通信じゃし普通に喋ってええ。』

 「で、御大、急にどうしたんで?」

 『こちらから連絡するようにそそのかしたくせに、しらじらしいのぅ、

  儂んとこに義肢の件、回したじゃろ?、あれはええ。

  なかなかよう出来とった。じゃがすぐ許可は出せん。

  すまんがもう少し待ってくれんかの。』

 「え?、どういうこってすか?」

 『他にもいくつか、医療関係や学校それから研究機関を持っとる企業

  なんかがの、うちにも噛ませてくれっちゅーて来とるんじゃよ。

  その調整を加えたいんでの。』

 「なるほど、そういう事ならそれでよろしくお願いします。

  どっちみち今はアスパラギン星系(こっち)でコッペパンですからね、

  許可もらってもすぐには動けやしません。指示は出せますがね。」

 『コッペパン?、ああ、コロニー艦のことをアルミナ嬢がそう言うとったな…』

 「ええ。あれだけいつも聞かされてりゃうつりますぜ。ははは」

 『ええのぅ…、仲良うやれておるようで…』

 「あ、それがこないだちょっと怖い顔して邪魔したら許さない、って

  釘刺されちまいましてね。」

 『なんじゃと!?』

 「御大が例の、第三惑星ラスタラの市場調査して開拓しようって指示、

  食品と流通に出した件ですよ。」

 『あちゃー、早すぎたかの…、怒っとったか?』


 ――何だ?、御大にしては気弱な言い方だな…?


 「いえ、いつもの最初にガツンと言って主導権を握ろうってので、

  大したことじゃねぇんですけどね。」

 『それならええが…、アルミナ嬢を本気で怒らせたら儂でも危ないんじゃ』

 「え?、御大でも?」

 『(頷くトーシォ)』

 「それで打ち合わせ後に、嬢ちゃんに『許さない』って脅されても

  守らなかったらどうなるのかちょっと聞いてみたんですがね。」

 『儂ならそんな怖い事は尋ねんがな…、答えてもらえんかったじゃろ?』

 「ええ。トーシォさんにでも聞いてみろって言われちまいましてね。」

 『ふむ…、テンマおぬし『アルミナ財団』は知っとるな?』

 「はい、いつも支払はそこからって聞いてますね。」

 『そこはあの父娘おやこを入れて5人しか居らんが、毎月方々から

  莫大な金額が入金されとる。全てあの父娘が創った理論と研究成果に

  対する使用料や許可料といったものじゃ。

  軍は名目上占有させて貰っとる代わりにそりゃもう莫大な金額を毎月

  支払っとる。新素材に関してならカーディナル政府もじゃ。

  もちろん儂らムツミネもじゃ。あの父親が軍の要職に就いとるのも

  そこらへんが大きいと儂は思う。』

 「……。」

 『今回、テンマんとこは新技術や新素材で工期短縮で旧来より安全な

  施工ができたろうて。そりゃもうコロニーやテーマパークや基地設備と

  前途洋洋という報告じゃったが、その新素材や技術の価値が分からん

  おぬしじゃなかろう?、軍以外じゃうちが独占しとるようなもんじゃから、

  アルミナ嬢を怒らせても損ばかりで得することなんぞ無い。』

 「そ、それは重々…」

 『幸いというか何というか、アルミナ家は至極真っ当じゃ、その上で

  儂に訊けと言うんじゃから答えておく。』

 「はい」


 そう言うと御大は秘匿モードで音声ではなくさらに念を入れて文字通信に切り替えた。

 送られた文面をみてテンマは絶句した。絶句、としか表現できないぐらい衝撃的だった。近年、経営陣が失脚してごっそり入れ替わったり、問題が発覚してよそに引き取られたりした、テンマも知っている企業名がその情報にはあったのだ。中にはそれまで順調だった企業もある。ムツミネが引き受けた企業もあった。

 彼女がその場で答えなかったのもわかる。知らない方が良かったかもしれない。


 「そこまでですか…、想像が足りませなんだ。」

 『しかも毎月どんどん増えとるんじゃ、ムツミネなんぞじゃ歯が立たんわい。』

 「ウチなんぞ…ですか。いやはや…恐ろしいこってすね…。」

 『じゃが分かっとるじゃろうが、これで態度を変えたらアルミナ嬢は悲しむ。』

 「はい、もちろん今まで通りで。」

 『うむ。とにかくそっちは頼んだぞ、義肢の件はこっち主導でやってもええ。

  そのほうがそっちも助かることもあるじゃろう。』

 「それはこっちも願ったりで、恥ずかしながら風呂敷広げすぎちまってる面も

  あるんで、やれなくはないんですがね、手に余る部分もいくつかあって…」

 『分かっとる分かっとる、じゃからそういう面での『主導』じゃよ、

  なんも手柄横取りしようってことじゃないわい。』

 「ははは、正直助かります。」

 『ところでこの件、アルミナ嬢に相談したりせんかったかの?』

 「う……、分かりますかやっぱり。」

 『なんじゃやっぱりそうだったか。』

 「…、人が悪いですぜ御大。」

 『うすうすそんな気がしたんでな。悪気があるわけじゃないわい。

  全く、相談料を請求してもバチはあたらんじゃろうに、そんなことは

  せんかったじゃろ?』

 「はい、打ち合わせの直前に、数分だけ、こちらの計画書をぱらぱらっと見て、

  考え方をこう変えろ、こう展開しろと、それやってからまとめて御大んとこ

  持ってけ、って。そんだけでした。」

 『世の中にはその『そんだけ』のことに何日もかけて、大金を請求して

  くるのが居るのにのぅ…』

 「全くですね。」

 『どうせ、『たった数分雑談に付き合っただけなのにお金なんてとれないわよ』

  とでも言うとったんじゃろう?、ほっほほ』

 「一言一句その通りでした。よく分かりますね。はっはは。」

 『おぬしよりは付き合いが幾分短いがの、これぐらいはわかるわい。

  それではの、頼んだぞぃ。』

 「はいっ、こちらこそよろしくお願いします。」


 冷えた汗を拭きつつ通信を切って、なるほど御大はあの嬢ちゃんを縁者にしたがる訳だと改めて思ったテンマだった。

 最後に何やら義肢の件で恩を着せられたようにまとめられたが、よくよく思えば余計なことに巻き込まれたのは全部……、

 

 ――全部御大のせいじゃねぇか、あのタヌキじじぃめ…。



   *  *  *



 会議室を出た中佐は1階の経理部の奥にある応接室で契約手続きや支払手続きをしたあと、ステラ中尉の待つ駐車場へとことこと歩いて行った。


 「待たせたわね。次はラップライフよ。悪いけどよろしく。」

 「はい。中佐、ひとつお聞きしてもいいですか?」

 「なぁに?」

 「ムツミネやそのラップライフへの注文って軍がやってるんですよね?」

 「結果的にはそういうことになるわ。」

 「えっ?、結果的ですか、お金のことなのに総務部や経理部を通してない

  ように思えたので戦技情報室でお支払いしているのですかとお尋ね

  しようと思っていたんですが…」

 「そのへん、こっちであれこれやると手続きが面倒なのよ。」

 「はあ…」

 「だからあたしがとりあえず肩代わりしてるの。」

 「えっ?!」

 「それである程度まとめてから軍に請求するの。なので最終的には

  全部カーディナルのほうで処理したことになるのよ。だから結果的。」

 「何かもう聞かなければ良かったような雰囲気がすごいのですが、

  それって物凄い金額になるんじゃないんですか?」

 「聞かなかったことにするならこのへんでやめておくけれど?」

 「…そう、ですね。聞かなかったことにします…」

 「じゃ、ラップライフへお願いね。」

 「はい。」


 これだから中佐に余計な質問をするんじゃなかったと、妙な汗がでてくる気がしたステラだった。想像したくないが想像してしまった分だけでも莫大な金額が動くことだけは分かる。正直言って関わりたくない。これは気にしてはいけない部類のことだ。

 おそらく金額など、尋ねれば今のように気軽に答えてくれることだろう。そう、気軽にだ。そんなもの気軽になんて知りたくもない。

 ステラは気持ちを切り替えて運転に集中することにした。



 ラップライフサプライ社でもステラは車を降りずに駐車場で待っていた。

 中佐は中に入って、15分ほどで出てきた。手にストローの挿さった小さな容器を4つ持っていた。

 「新メニューだって。トッピングだけど。」

 「へー?、どんなのなんです?」

 「つぶが入っていて、噛むと中にチョコレートが入ってるんだってさ。

  それでこっちがストロベリーシェイクで、こっちがミントシェイクよ。」


 2つ渡されたが、容器が小さいので本当にお試し用のようだ。


 「ショールームのコンパニオンさんのお奨めの組合せなんだって。」

 「そうなんですか…、あ、ほんと、なるほど噛めばチョコレートですね。

  結構いけますね、美味しいですよこれ。」

 「そうね、ミントのほうは何だか歯磨き粉みたいだけれど。」

 「そう言われればそうかも知れませんが…、甘さがあるので…。」

 「そうね、なくはないわね。ストロベリーはいいわね。なるほど、

  フルーツのヴァリエーションがどうのって言ってたっけ。」

 「ストロベリーじゃなく、ですか。」

 「どっちもあるみたいよ。チョコレートの代わりのほうも。

  これだったらリリィも連れてくれば良かったわね。」

 「リリィは研修生を見てもらってるので…。」

 「あ、そうよね。それにあの子なんでも美味しいって言うし…」

 「そうですね、あはは。」


 中佐が容器を返却して戻ってくるとその手に今度は普通サイズの容器が2つあった。


 「別の新商品ですか?」

 「ちがうわよ、これは緑茶。いるでしょ?」

 「なるほど、確かに。ありがとうございます。」

 「じゃ、そろそろ戻りましょ。」

 「はい。」


 地上車を走らせ、いつものように司令棟の駐車場に停め、総務部裏口から入ってキーカードを返却し、特に話すこともなく戦技情報室に戻った2人だが、中佐はにこにこといつもの笑顔だったのに対して、ステラは何やら疲れた表情をしていたようで、部屋に入ったときにドリンクサーバの所にいたキャシーが、「どうかしたんですか?」と中佐にこっそり尋ねたが、「別に何もないわよ?」と言われて首をかしげていた。


 それからはステラはリリィと一緒に研修生2人と、シミュレータールームとホロルームそれぞれで訓練をしたりアドバイスしたりしていた。

 ときどきキャシーら戦技情報室のメンバーたちもその様子を見に行っていた。


 中佐は室長室に篭っていて、あちこち連絡をしたり資料を作っていたり何かの設定をしたりと忙しそうにしていた。


 余談だが新商品のことをリリィに伝えたら、

 「桜の香りをつけたシェイクに餡子のつぶつぶがいいかもです!」

 と、よく分からないことを言ったので、面白いからラップライフに伝えておいた。



   *  *  *



 第四惑星リスーマの地上基地・プラントの件ではムツミネ宙域建設のプラント担当者に今朝基地でもらってきた資料を抜粋して送付し、通信で打ち合わせをしたり要望を伝えたりし、新しい合成プラントの資料を送ってもらった。


 そしてその担当者から送られてきた資料と工事期間や段取りをそれぞれ抜粋したものを、さらに中央カーディナルを経由した正式な命令書を加えて、リスーマ地上基地司令マイネル・ダスティン大尉とアルマローズ司令宛てに送り、今朝とは違って丁寧な文章で重ねて協力を要請しておいた。


 何せ現状のプラントでは、永久的な『一時的障害』などと皮肉って言われるほどあちこちにガタが来ており、日々どこかの調子が悪いやら応急処置したやらの報告が上がっていた。

 正直なところ、基地司令のマイネル大尉が「味の改善に努力している」などと言っていたが現場ではそれどころではなく、生産量を維持するだけで精一杯だったりする。


 だからプラントを一新し地下水脈から取水するというのは、彼等地上基地とプラントの人たちにとってはそれら苦行の毎日から解放されるという、それはもう言葉では言い表せないぐらい素晴らしい事なのだ。

 マイネル大尉とヘルマン大尉が素直に喜ばなかったのは、ただ第147辺境警備隊いちよんななとしての体面やアルマローズ司令を立てたい気持ちが大きいからである。


 そのあたりはアルミナ中佐も理解しているが、先に周囲を埋めてしまってからああいう場面でやや高圧的に振る舞い、あとでこうしたフォローを入れるというのはどうにも彼女の悪いクセだ。彼女の父親やその副官のティシア大尉の2人は言うまでもなく、戦技情報室のロックやテリーあたりが見ていたら渋い表情をしたに違いない。



 新しい合成プラントでは以前のよりおいしい合成食ができ、新たに衣料品や生活用品、雑貨なども作られることになり、リスーマでの一大産業になるかもしれない。


 リスーマは惑星改造が途中のままだったため、海が少なく塩分濃度が高い。陸地の方が多く、惑星全体的に温度も低めなので、海の多くは凍っているし生物もほとんどいない。陸地には植物が少ないため木製品がない。逆に岩と金属は豊富だ。


 この星系に来てすぐ惑星調査を軌道上から――無人探査機で――行っており、今朝カンイチくんで降陸した際にはついでに基地周辺も走査したおかげで地下水脈の位置も正確にわかったのだが、それがプラントの真下にあるというのは僥倖ぎょうこうだった。


 今朝の話にもあったが、これまでは水は鉱山街の近くの川から鉱山街の業者が汲み上げ濾過をして輸送してきた水を、プラントで蒸溜してから飲用水などの用途にしている。

 このような開発途上惑星では取水して濾過し蒸溜してから飲用にするのは普通のことであるので、それなりのコストがかかるのはある程度許容される。だが量的な制限というのはどうしても避けられず、不自由な生活を強いられてきたのだった。


 それが豊富な水量のある地下水脈から取水できるとなれば、量的な制限は無いも同然となるので、願ったり叶ったりなのである。

 新しい合成プラントは飲用水の生成効率も前とは段違いの能力があるので尚更だ。


 途中だった惑星改造の続きをすればいいという意見もあるが、それをするには一旦全ての住人を避難させておく必要があり、現実的ではない。

 もちろん惑星改造は簡単なものではないので、かなりの時間と手間もかかるが、それ以上に海が広がり地形が変わってしまったり、天候がどうなるか予想がつかない大変革と成り得る可能性があるのだから、住人を退避させておいたとしても建物がどうなってしまうか予想がつかない。だから現実的ではないのである。


 そのような手間をかけるなら海から水を引っ張ってきた方が早いわけで、これはこれで惑星改造ほどではないが手間も費用もかかるのだから、水脈が真下にあるというのは彼等の運もなかなかのものだというわけだ。多少深いがかなり距離のある海よりはいい。鉱山街の川から引くのは問題外であるし。


 鉱山街には山脈の地下にある水を利用するための設備がある。だがこれは浅い部分つまり川の支流のようなものなので、大量に取水してしまうわけには行かない。

 川のほうは大昔これを鉱山の廃水で汚染したが、今は問題ない。

 だがここで採掘された岩石・鉱石を、ある程度までは加工する必要があるため、取水した水のほとんどを消費してしまうのだ。川から取水する業者がいるのはそのためである。荒野の地上基地プラントへと運搬するのはそのついでのようなものだ。


 現状、鉱山街と地上基地のある荒野部にリスーマの住民のほとんどが暮らしており、その生命線とも言える水が、鉱山街の近くの川のみで支えられているとも言える。

 これはある意味では危ない綱渡りのようなものであるわけで、そういう意味でも荒野部が別の水源から取水するというのは意味のあることになる。


 リスーマの食糧は地上基地プラントの合成食品と、ラスタラから輸送したもので賄われているので、新しい合成プラントで合成食品が美味しくなるというのは、実はリスーマ全体のみならず、ここから輸入・購入していたあちこちの取引先にも喜ばれるということになる。

 ラスタラ市民も食べることのある合成食品なのだ。味の改善がなされるなら、もしかしなくても星系全体の中低所得者全てが喜ぶことになるので、中佐の言っていた宙域平定のために『地上の安寧』をということに関わると言うのもあながち大げさなものではないのだ。


 ――星系全体をキレイにするためにはまず食の改善からよね!


 少し遠回りな気がしなくもないが、決してこの星系の人たちにとって悪いことじゃないはずだ。実際改革というものは拙速で大胆で繊細で長い目で見なくてはならないという、矛盾を多分にはらんだものなのだから。



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20150211---- 一部の語尾を修正しました。

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