表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/41

2-03

2-03



 翌日、朝の打ち合わせで2人の研修生を皆に紹介した。

 もちろん紹介したのはステラ中尉である。情報室員は何人かが出払っていて、全員揃っていたわけではないが、主任らは5名揃っていたので主任らも簡単に挨拶していた。

 あとは報告と確認などがあり、最後にアルミナ中佐が言った。


 「あたしはちょっと第四惑星リスーマに降りてくるわ。」

 「えっ!、中佐!、おひとりでですか?」

 「ひとりじゃないわよ、アルマローズさんところの副官さんと、

  ナツメグ事務所のひとたちと、あと、元海賊のベンデルマンさんたち。」

 「そんな!、とんでもない!」

 「そうだぜお嬢、せめて誰か連れてってくれや。」

 「な、何よみんなして。リスーマは安全よ?」

 「前から聞きたかったんだが、お嬢のその『安全』ってのの基準は

  一体どこからきてるんだ?」

 「だからお嬢はやめてってば。」

 「ああはい中佐。」

 「リスーマの地上軍はちゃんと第147辺境警備隊いちよんななの管理下に

  あるし、スネアの残党はほぼ居ないし…」

 「だからって中佐おひとりで行かなくても…」

 「ひとりじゃないってば、15人だってば。」

 「護衛として私もお供します!」

 「ステラさんは研修生の監督しなくちゃダメでしょ、今日から訓練

  なのだから。初日から監督いなくてどうするの。」

 「…ではせめてリリィを連れて行って下さい。」

 「うーん…、マッダナルさんとサバラスさんだっけ?」

 「はっ、はい!」 「はい!」

 「リスーマ地上、行ってみたい?」

 「はっ?」 「え?」

 「ステラさんがうるさいから、もうどうせだしまとめて連れて行けば

  いいんじゃないかなって。」

 「そんな、いいんですか?、予定というものが…」

 「これだって立派な研修、と言えなくもないと思うのよ。」

 「中佐、あたしも行っていいですか?」

 「キャシーが行きたいならいいわよ。余裕あるのならだけど。」

 「う…、大丈夫だと思う。」

 「じゃ、一緒に行きましょう。でもリスーマで長居はしないわよ?

  もともと日帰りのつもりなのだし。降りてもそんなにすること

  ないはずだもの。」

 「はい。」

 「で、マッダナルさんとサバラスさんはどうなの?」

 「あ、あのぅ、アルミナ中佐。」

 「はい、サバラスさん。」

 「その、『さん』付けは居心地が悪いので、呼び捨てでお願いします。」

 「呼び捨てにするのはこちらが何となく居心地よくないからさん付け

  なのよ。かと言ってサバラス研修生、って言うのも堅苦しいんだもの。

  じゃ、間を取ってトオル研修生・マイコ研修生と呼ぶわ。」

 「「えっ!」」

 「だめなの?」

 「だめじゃないですけど…」

 「俺、いや小官はともかくマイ、じゃなくてサバラスのはあだ名ですよ。」

 「だってマイコって呼んでるって報告にあったんだもの。

  とにかく、行きたいの行きたくないの?」

 「行きたいです。」

 「お願いします。」

 「じゃ、そゆことで。ステラ中尉、リリィ少尉、トオル研修生、マイコ研修生、

  それとキャシーを連れて行くわ。これでいい?」

 と、ロックを見てステラを見る中佐。

 「ああ、それならいいぜ。」と、ロック。

 「はい。」と、ステラ。


 「じゃ、このあとすぐ出るわよ。2棟にもう来てるみたいだから、

  迎えに行ってそのまま格納庫ね。キャシー、操縦よろしくね。

  先にカンイチくんに乗って準備してて。

  では他に何もなければ以上よ。」


 解散して、そのまま先のメンバーはキャシーが先導して奥の扉から出た。

 中佐は戦技情報室の群青色のエレベーターとは逆側の扉から廊下へと出ていった。


 2棟というのは司令棟の隣の棟で、この棟は戦闘技術情報室が管理している建物だ。といっても大したものではない設備や部材の倉庫がわりの、空き部屋がたくさんある実にムダの多い建物だが、大型のリフトが地下の専用格納庫に直通していたりする。

 今回同行するナツメグ税務会計事務所の追加要員5名と、コッペパン艦が停泊している第一辺境防衛基地隣接宇宙港から連絡通路経由でやってきたアルマローズ司令の副官、ヘルマン・バースバル大尉も2棟の1室で待機している。


 中佐は扉を出てから奥の赤い扉のエレベーターに乗り、2棟に出て彼ら6名を迎えてからまたその赤いエレベーターに乗った。これは権限のある者が操作しないと動かないため、誰かが迎えに行く必要があるのだ。そして専用格納庫へ直通で到着、格納庫の中を歩いて開いているカンイチくんのハッチから中に入る。


 操縦室ではないほうの部屋に彼らを案内し、席に着いてもらう。

 第三惑星の衛星マヨースの監視基地に寄ってベンデルマンらを乗せてから、第四惑星リスーマへと向かうことを説明して、中佐はキャシーらが待つ操縦室へと移動した。


 操縦室ではキャシーが中央の操縦席と呼ばれている席に着いており、他4名は適当な席に着いていた。艦長席に中佐が着く。


 「キャシー、準備はいい?」

 「はい。」

 「カンイチくん、んじゃ出るわよ。」

 『…』

 「ちょっと、カンイチくん!、返事しなさい!」

 『中佐ぁ、ここんとこ御見限りやおまへんかー』

 「またもうコイツは…」

 と、ため息をつきながら、

 「出る用事がなかったんだから仕方がないじゃないの。

  でも今日はちゃんと乗ってってあげるわよ。

  あんまりヘンな事ばかり言ってると別のに乗っていくわよ?」

 『ええんどす。ワテは待つ女でええんどす。』

 「あなた女どころか人間ですらないじゃないの。

  ついこの間真面目になります、って言ってたわよね?、

  バカな事言ってると本当にリセットするわよ?、

  真面目にやってちょうだい。いいわね?」

 『ちょっとした冗談やおまへんか、そないツンケンせんかて…』

 「リセット決定。」

 『わっ!、ホンマやめて下さい、真面目にやりまっさかいに!』

 「あなたそれ何度目よ。もう次は無いわよ?」

 『はい、わかりました、中佐。』

 「んじゃいいわね?、カンイチくん発進!」

 『マヨース監視基地でんな?、ほな行きまっせー』


 キャシーが操縦しているのをカンイチくんが補佐しているのだが、まるで自分が動かしているかのようなカンイチくんの言い草である。

 中佐とステラ、それにキャシーはもうカンイチくんのこういうのには慣れていたが、リリィと研修生の2人は初めてなので、目を丸くして驚いていた。

 こんなふざけた思考結晶が軍の艦載機に搭載されているという事について、それとそのふざけ具合について、両方で驚くのも無理はないだろう。


 ついでに正面左右のモニターというか壁そのものが透明化したかのように外、つまり格納庫を映していたのが、中佐の掛け声ひとつでいきなり宇宙空間としか思えないような景色を投影しており、そこからカンイチくんの「いきまっせー」の声でまた衛星マヨースなのかどうか研修生2人とリリィには分からないが天体がでかでかと表示されたのだ。乗っていて何の衝撃も音も無いのだから、知らなければそれは驚くか分からないかのどちらかだろう。リリィは後者で、何が何だか分かっていないので呆けていた。

 研修生2人は、驚きの息をつくひまもない多重攻撃に理解が追いついていない様子で唖然とモニタを見ていた。


 「キャシー、カウントダウンは不要よ。こちらで通信するわ。」

 「了解です。」


 返事を聞きつつ艦長席の操作パネルを操作し、

 「アルミナ中佐よりマヨース監視基地。聞こえますか?」

 『こちらマヨース監視基地。アルミナ中佐、おはようございます。』

 「もうすぐ到着するわ。ベンデルマンさんたちの用意はいいかしら?」

 『はい、既に待機しています。』

 「そう。じゃ、普通に接続するわ。誘導は不要よ。」

 『了解です。』

 「キャシー、ああもうやってるのね。お願い。」

 「はーい。」


 いつの間にか正面のモニタは監視基地の離発着場ではなく、基地に直接接舷するための設備のほうに近づいていた。そして数秒後、たいして音もなく接舷に成功したようだ。


 「接舷完了。通路開きます。」

 「じゃ、あたしは迎えにいくわ。」


 そう言って中佐は操縦席を出て行った。


 「あ、あのぅ、キャシーさん?」

 「はい、なんでしょう?」

 「ここって、衛星マヨースなんですよね?」

 「そうですよ?、衛星マヨースに建設された新しい監視基地です。」

 「僕たちいつコロニー艦じゃなくてD8608型駆逐艦を出たんでしょう?」

 「外の様子がモニタに表示されていたでしょう?、中佐が発進って言った

  瞬間に、外に転送されたの。分からなかった?」

 「…そうだったんですか…、なんかもう今までの常識が…」

 「ああ、分からなくはないけどね。」

 「そうだよ、艦載機ってこんな黒くて丸いもんだったか?」

 『ちょっとそら聞き捨てなりまへんな!、最新式最先端艦載機第一号の

  ワテがこれからの艦載機っちゅーもんをやな、』

 「ちょっとカンイチくん黙ってて。中佐にいいつけるわよ?」

 『そんな、キャシーはんそらないわー、ワテがせっかくやね、』

 「中佐にリセットしたほうがいいって言おうかなー」

 『ちょ、マジやめて下さいキャシーさん』

 「じゃ、ちょっと黙ってて。」

 『わかりました…はぁ…』

 「これもだよ、もう何に驚いていいのかわかんねーよ。ですよ。」

 「そうですね。私も最初はかなり衝撃を受けたので、気持ちはわかる

  と思います。でも中佐のこういうことにいちいち驚いていては、

  身が持たないということはもう学習しましたので、マッダナル、

  サバラス両名も、そのうち慣れると思いますよ。」

 「そういうものなんですか…」

 「そうです。戦技情報室のみなさんはとっくに慣れておられるようで、

  驚いたりする私のほうがおかしいのかと思っていましたが、

  こうして驚いたり焦ったりしている2人を見ていると、少しですが

  安心できます。」


 そこにベンデルマンら5名とこの監視基地に居たナツメグ事務所の3名を加えた8名を別室に案内してきた中佐が戻ってきた。操縦室は妙な雰囲気だった。


 「ん?、どうしたの?」

 「研修生のおふたりにここまでの説明を少ししていたんですよ。」

 「そう。あまり時間に余裕もないから出るわよ?」

 「はい、接続解除確認。中佐、準備OKです。」

 「では、カンイチくん、発進!」

 『あいよー、んじゃ次はリスーマの地上基地へ~』

 「高度5000からジャンプ。リスーマは高度5万から降下。」

 『了解!、えらい安全策でんな。』

 「余計な事は言わないの。」

 『了解!』


 ちなみに、高度5000の単位はメートルで、高度5万の単位はkmキロメートルだ。慣用的に大気を持つ天体へと持たない天体へは単位が異なる。

 カンイチくんが『安全策』と言ったのは昼側で磁気圏の薄い部分にジャンプしてそこから降下することについてだ。通常はもっと近くに飛び込んでから降下する。熱圏などの高度数百~1000kmのところに飛び込んでから降下する方法もあるが、当然ながら地表に近ければ近いほど制御操作が難しい。


 「あ、基本編のあれですね、中佐。」

 「リリィには分かったようね。そういうことよ。」

 「あ、そっか、なるほど。」

 「研修生の2人はよく見ておくように。」

 「「はい!」」

 「(ステラさん固いなー…まぁいいけど。)

  あ、そうそう、今回の降陸だけど、ちゃんと報告書出してもらうから、

  そのつもりで居てね。トオル研修生、マイコ研修生。」

 「えっ…」 「げっ…」

 「あなたたちは毎日が訓練であり研修なのだから当然でしょ?、

  理解が追いついていなくても、見たものをそのまま考察して書けて

  いるなら評価するから。何も理論がどうのとかまでは言わないわよ。」

 「わかりました。」 「はい…」

 「トオル研修生は不満がありそうね。」

 「いいえ、ありません!」

 「ふふっ」

 「大気圏突入します。」

 「微速降下で。」

 「了解、微速降下します。」


 微速降下というのは、微速前進とは異なり、大気中で言えばかなりの速度になるが、機体の進行方向前面での圧縮加熱を極力抑えられる程度の速度という意味だ。一定速度というわけではなく、高度や周囲の状況によって変化する。これもある種の慣用表現である。

 故に機体が赤熱したりすることもない。ある程度の重力制御が可能な旧型艦艇であってもこれぐらいのことは可能だ。ラスタラ地上と宙域をスネア艦が行き来していたのもこの方法であるし、今時珍しいというわけではない。


 「D8608型駆逐艦艦載機A0号より惑星リスーマ地上基地に通達。

  着陸指定位置を返答されたし。」

 『リスーマ地上基地よりA0号へ返答。空いている所にどうぞ。

  リスーマにようこそ。』

 「了解。随分くだけているわね。」

 「来るひとが少ないってことじゃないでしょうか?」

 「そうかも知れないわね。それにわざわざ地上基地に着陸しなくても

  そこらの荒地に降りる人も居たようね。ほら。」


 中佐が左側のモニタを切り替えて降下中に地表を走査した映像に、過去に艦艇が着陸したであろう痕跡にマーカー表示を加えたものを表示させた。


 「なるほど。」

 「そりゃあこんなにあちこち勝手に降りてたんじゃ基地もいい加減に

  なりますよね。」

 「そうね。あ、そうそう今回の操作ログは閲覧可能にしておくから、

  研修生の2人は今後の参考にするように。」

 「はい!」

 「ありがとうございます。中佐。ところで質問してもよろしいですか?」

 「固いわね。なぁに?」

 「はい、士官学校ではこのタイプの艦載機の操縦や操作は学んでおりません

  でした。こちらでは昨日マニュアルを頂きましたが小官らも学ばせて

  頂けるのでしょうか?」

 「今日からシミュレーター訓練するって聞いてたわよね?、

  もちろん覚えてもらうわ。そのためにどっさり用意してあるのよ。

  今回のログは今は理解できなくても、訓練が進めば理解できるように

  なれるはずよ。いいお手本だもの。なにせキャシーが操縦しているのだから。

  戦技情報室うちで一番上手いのよ?」

 「そうなんですか…。」

 「中佐を除けば、ですよ。」

 「戦技情報室うちの人たちは皆、そこいらの士官よりできるのよ。

  何でも気軽に質問なさい。勉強になるわよ。」

 「「はい!」」

 「買い被りすぎですよ中佐…」

 「知ってると思うけれども、リリィは遠距離射撃のスペシャリストだし、

  ステラさんだって地上戦を数えきれないぐらい経験してきた叩き上げの

  士官なのよ。最先端の艦で最高機密満載の部署で学べるあなたたちは

  幸運だと思いなさい。研修期間1年あっても短いと思えるぐらい、

  それこそ眠る間も惜しんで学ばないと後悔するかも知れないわよ?」

 「…肝に銘じます。」

 「あ、ありがとうございます。」

 「そうそう、この艦載機にシミュレーターを積んできているわ。

  あれ?、カンイチくん?、これ積んだだけなの?」

 『中佐、倉庫のは小型の学習用でっせ、訓練用のほうはちゃんと2基

  上の部屋で使えるように接続済みですわ。』

 「そう。ありがとう。だから予定通りここで訓練できるわよ。

  休憩中は基地に出ることを許可するわ。基地の敷地から出ることは

  禁止。いいわね。」

 「「わかりました。」」

 「ステラさんとリリィも同様。残って彼らを監督してちょうだい。」

 「しかし中佐、」

 「だめよ。」

 「…わかりました。」

 「キャシーはあたしと一緒に来てね。」

 「はい。着陸しました。」

 「じゃ、カンイチくん、留守番頼んだわよ。」

 『任せといてんかー』

 「キャシー、行くわよ。」

 「はい!」


 そうして中佐はキャシーを伴って操縦室を出た。

 別室に入るとナツメグ事務所の8名のうち何名かとアルマローズ司令の副官ヘルマン・バースバル大尉が妙な表情でこちらを見た。そしてヘルマン大尉が中佐に問いかけた。


 「アルミナ中佐、どうなさいましたか?」

 「そこのモニタに表示されてるでしょ?、着いたから降りるわよ?」

 「えっ、あれは環境映像ではなかったのですか?」

 「誰がそんなことを言ったの?」


 ヘルマン大尉の視線がちらっとベンデルマンのほうを見た。

 それを目ざとく認めた中佐がベンデルマンのほうを見ると、

 「い、いや外の映像だって言ったんだが信じてくれねぇんだよ…」

 「それで?」

 「ありえないだとか揺れがないだとか聞く耳もっちゃくれねぇんで、

  だったら環境映像だと思っときゃいいじゃねぇかって…」

 「まあいいわ、ヘルマン大尉を操縦室に通さなかったあたしの落ち度ね。

  それでナツメグの人たちもヘンな汗かいてるのね。ごめんね。」

 「い、いえ、私たちは別に…」

 「アルミナ中佐、ではあの映像は本当に…」

 「そうよ、だから迎えにきたんじゃないの。ん?、あれ?、

  誰もドリンクサーバーを使わなかったの?、いいけど。

  ご自由にどうぞ、って言ったのに遠慮深いのね。」

 「もう少ししたら使おうと思ってたんだが、こんなに早く着くとは

  思わなかったんだよ。タイミングっつーのかな。」

 「そう。知ってると思うけれどリスーマにはこんなもの無いわよ。」

 「ああ、知っている。」

 「じゃ、行くわよ。」


 そう言うとつかつかと部屋をでる中佐。

 キャシーがハッチの外に出て立って待っていた。中佐を先頭にぞろぞろと出てくる8+1+5名。5名はベンデルマンとその仲間だ。

 全員出たところでハッチの内扉が自動的に閉じた。


 キャシーを一同に紹介し、それぞれ挨拶を済ませると、基地の入口のほうから地上車が迎えにやってきた。それほどの距離でもないのにだ。

 地上車数台がずらっと並び、それぞれから兵士が銃を持って降りたのを見て一同に少し緊張が走ったが、銃を抱えて直立敬礼したのをみて緊張も解けた。

 先頭車両から降りた士官らしき男ら2名がこちらへと歩み寄り、これまた直立敬礼した。


 「リスーマ地上基地司令、マイネル・ダスティン大尉です。

  アルミナ中佐、お迎えに上がりました。」

 「そう。歩いても良かったのに。」

 「とんでもない、中央からの中佐を歩かせるなど…」

 「おおげさね。いいわ。お言葉に甘えましょう。

  じゃあヘルマン大尉はあたしと。

  キャシーは最後尾でベンデルマンさんと。

  あとは適当に分かれてちょうだい。これでいい?」

 「はっ、恐縮であります。」


 そうして分乗して基地へと移動した。

 基地建物の玄関口で一度降り、そこで中佐が、

 「基地に用事があるのはあたしじゃなくヘルマン大尉なの。

  あたしたちは行くところがあるのよ。地上車を貸してくれない?」

 「そうでしたか。お貸しするのは構いませんが、どちらへ?」

 「元海賊ラゴニアの拠点へ行くの。運転手は不要よ。」

 「元?、ですか。」

 「そうよ。もう海賊ラゴニアという組織は無いの。あちらの、」

 と、ベンデルマンらを手で示し、

 「ベンデルマンさんが元海賊ラゴニアの首領よ。」

 「えっ」

 「今はパラギニア宙域警備社の社長よ。軍に協力的な優良企業に

  生まれ変わったの。丁重に接しなきゃダメよ?。ふふっ」

 「そうなのですか。わかりました。」

 「用事が済んだら戻って来るわ。じゃ、ヘルマン大尉、またあとで。」

 「いってらっしゃいませ。(敬礼)」


 中佐は返礼すると、ベンデルマンらのほうへと歩き出した。

 マイネル大尉の横に立っていた男性が中佐のあとに従い、4台の地上車を貸してくれるよう運転手らに指示してくれた。


 そしてまた分乗して地上車で基地を出たのだった。



   *  *  *



 「あ、ネズさんおかえりなさい。」

 「おう、ただいま。」

 「どうでした?、逃げたネコ見つかりました?」

 「それがよ、庭の溝で倒れてたんだ。」

 「えっ、じゃあ死んでたんですか…」

 「愛玩用ロボットだったんだ。そんで直るかどうかわかんねぇけど、

  アイトーカ市立病院の獣医科にダメモトで連絡してみたら、

  専門の技師がちゃんと居るらしくてよ、すげぇな、ここ。」

 「へー…、生き物じゃなくても診てもらえるんですか…」

 「おう。大事にされてる家族なんですから診させてもらいますよ、ってよ。

  ちょっと柄に無く感動しちまったぜ。ははっ」

 「それで依頼料は?」

 「見つけたには見つけたが、小っちゃい娘っこがわんわん泣いててな、

  なんか言い出せなくてよ、奥さんは料金をって言っちゃくれたんだが、

  断ってきちまった。」

 「ネズさんってそういう所がいい人ですよね。」

 「よせよ、で、次の依頼は?」

 「今日は特に。明日は朝から面会の予約がありますけど。」

 「そっか、珍しくのんびりできるぜ。よっこらしょっと。」


 そう言って自席に腰かけて背もたれに身体を預けた。

 椅子がギシッと音を立ててネズの体重を受け止めた。


 机の上には樹脂製のボトルに入ったドリンクが置かれていた。


 「ここんとこ忙しかったですからねー、あ、それ皆さんでどうぞって、

  隣(用品店)の事務員さんが。冷蔵庫にも何本かありますよ。」

 「へー、ありがたいねぇ…」


 ボトルを手にとってラベルの文字を読むネズ。

 冷えているボトルはきっと彼がネズの帰社するタイミングを見計らって冷蔵庫から取り出して机に置いたのだろう。他の机に置かれていないことと、帰る前に連絡をしたことから気を利かせたのだとネズは考えた。


 このネズ探偵社には他にあと2人従業員が居るが、その2人は今日は他の依頼を受けて出払っている。といっても探偵業として正直どうなんだと思わざるを得ないような人生相談の相手のようなそんな依頼だが、それでもこちらを頼ってくる大切な顧客だ。無下むげにすることはない。

 地域住民に広く信頼され顔が売れるのはそりゃ探偵として動きづらい面もあるにはあるが、それ以上に情報を得やすくなるし、いい面も多い。こつこつ地道にこういう所で稼ぐものなのだ。

 もう開き直ってそういう風にやっていくしかなくなっているのだが、それを考えても仕方がないと割り切っている。物事には流れというものがあるのだから。


 「あ、そうそうネズさん。」

 「んぁ?」

 「これなんですけど、何だかわかります?」

 「あー、何だえらくまた旧式のメモリーカードだなオイ。」

 「やっぱりメモリーだったんですか、こんなの見たことなかったんで…。」

 「どうしたんだこんなもん。ここじゃ手に入らねぇだろ。」

 「それがですね……」


 と、その従業員の青年が昨日宇宙港の店に買い物に行ったときの話をし始めた。

 ネズは爪の半分ほどのサイズのそのメモリーカードを見回しながら話を聞く。メモリーカードには小さくA113と書かれている。


    「ネズ探偵社の方ですよね!」

    「え?、あ、はい」

    「あの、あ、握手してください!」

    「え!?、あ、はぁ、どうも…、ん?」

    「あ、ありがとうございましたー」

    「え…、え?」


 「って事があってですね、こんなの渡されたんですよ…。」

 「ふーむ、もしかすると…」

 「その記号って何か関係あるんですかね?」

 「いやこれはただの型番か何かだろう。」

 「そうでしたか。」

 「んー、あー確かあれは…」


 と呟きつつ立ち上がり、倉庫になっている隣の部屋へ行こうとするが振り向いて、

 「あ、そうだちょっと手伝え」


 そう言うとそのまま倉庫へと。慌てて続く部下の青年。

 すっかり仮眠用ベッドとなっている古いソファーの奥に積んである箱をみて「どれだったかな…」などぶつぶついいながら箱を開けて閉じ、開けては閉じ、をして、アゴでこちらに指示した。積んである箱を移動して探すのを手伝う青年。

 そうこうして手のひらサイズの、コードが付いている機械を見つけだした。


 「使えるかな…」

 個人端末を取り出し、側面のカバーをスライドさせて

 「あ、なんだよコネクタが違うじゃねーか…」

 といってまた箱を探し始めた。


 「ネズさん、もういいんじゃないですか?、こんな古いのどうしようも

  ないですよ…」

 「ばか、こりゃぁたぶんあっちからの指示だよ、こんな古い形式

  寄越すとは思わなかったがな、通信じゃなく手渡しだったんだから

  軍に知られちゃまずいもんなんだろう。」

 「でも結構可愛い子でしたよ?」

 「運び屋ってなぁ何もオッサンばかりじゃねぇってこった。

  お、あったあった。」


 ようやく接続ができ、爪の半分ほどのメモリーカードを挿入、そしてネズが個人端末を操作して内容を読み始めた。


 「ふーむ、『連動して騒ぎを起こせ』か…、騒ぎっつったってなぁ…」

 「そういえば前に議員の奥さんが相談に来てましたよね、

  使えませんか?」

 「あー、ハーブが趣味でヤバい奥さんか!」

 「旦那さんとうまくいかないとかなんとかって相談でしたっけ?」

 「記録見てみっか…」


 端末からケーブルを抜いてその機械ごと部下の青年に手渡し、自分は端末を操作して過去の記録から探すネズ。

 青年は仕方ないなとばかりに無造作にケーブルを機械に巻き付けて元の箱に収めた。


 「えーっと…、おお、おい誰だよこれ担当したのぁ?」

 「なんかマズかったですか?」

 「いや、大正解かもしれん。」

 「え?」

 「お互いの趣味を許容しましょう、一緒にハーブで幸せになりましょう、

  ってアドバイスしたらしい。酷ぇなこれ、わっははは」

 「で、うまくいったんです?」

 「らしいぜ?、ほれ、ここ。そう書いてある。」


 ネズらは知らなかったのだが、この奥さんがこっそり移住時にマルキュロス星系から持ち込んだ入手したハーブは、そこでは合法スレスレだがカーディナルでは違法のあぶない薬品だった。マルキュロスの地下組織が品種改良というか違法改造というかで作り出したハーブなのだ。

 幻覚を見たり死んだりはしないが、興奮作用があり中毒性がある。


 この艦、アイトーカ市はカーディナルの法が適用されるため、違法となるが、議員特権ではないが特権めいた検査逃れがあったのかも知れない。

 乾燥させてから薬品を混ぜるような粗悪品だったなら、いくら議員特権があっても持ち込めなかっただろう。観葉植物というカテゴリーで他にも多数の鉢植えがあったからこそ、緩めの検査で見落とされたのだった。


 これはもちろんネズらの仕業ではなく、マルキュロス星系の海賊組織のアンダーグラウンド販売網のせいだろう。

 さすがにこれとスネア派のつながりは、あるかも知れないが、こんな所にわざわざ仕込みをするほど太いものではない。


 「この議員って市長派ってやつですよね、こないだ街頭演説してましたよ。」

 「ああ、軍の秘密主義に反対だかなんだとかの。」

 「騒ぎって何でもいいんですかね?」

 「軍に対してデモでも起こしてくれりゃいいんだがな。」

 「そんなのどうやるってんですかー」

 「デモじゃなくても何かの騒ぎになりゃなんでもいいさ。」

 「そういうもんですか…」

 「そういうもんだ。しょうがねー、何か考えとくかー」

 「騒ぎを起こすように炊きつけるんですね。」

 「ばっかかお前。」

 「へ?」

 「そんな目立つことしちゃあ、軍から目ぇ付けられるじゃねぇか。」


  (※ とっくに戦技情報室からは目を付けられているのを彼らは知らない。)


 「じゃあどうするんです?」

 「こっそりと、それとなーく助言すんだよ。あくまで助言。

  関与してたってバレたらいろいろヤベぇだろが。」

 「なるほど…」

 「この世界で長くやってくってなぁ、そういうコツってのが必要なんだよ。」

 「勉強になります。」

 「深く関わると一蓮托生でコレよ。」

 手の平でのどもとを横に切る動作をして苦い顔をするネズに、

 「こぇーっすね…」

 と言って2人で笑い合っていた。


 後日、決行日についてはネズが工作する前に、同じ日に市長派議員が行動を起こすという情報をこの奥さんから相談ついでに言われ、結局ネズは何もせずとも勝手にそうなっていたというオチがつくことになるのは少し先の話だ。



   *  *  *



 「ちょっと手の空いてるひとに、艦載輸送艦でこっちに来てくれるように言って。」

 『ニキとスミスなら行けると思います。』

 「そう。じゃお願いね。」

 『はい。』


 アルミナ中佐とキャシーは、地上ラゴニアのリスーマでの拠点にしている倉庫のような建物に隣接した住宅の、広めの部屋にいた。

 隅のほうに行って個人端末で戦技情報室へと連絡したあと、振り向いていつもの笑顔で、

 「すぐ来ると思うわ。でも本当にいいの?、

  リスーマからほとんど居なくなっちゃっても。」

 「別に構いません。ここに居ても特に何をしていたという訳では

  ありませんから。」


 そう答えたのはリスーマで地上ラゴニア組織をまとめていた、ベンデルマンの娘ランレンだ。


 「ここに拠点を構えると思ってたわ。随分あっさり決めたわね。」

 「放棄するわけではありませんし、ゆくゆくはここが拠点になる

  かも知れません。でも今は研修を受けさせて頂けるというお話に

  乗っかるわけですから。」

 「せっかくナツメグの人たち連れてきたのにね。」

 「あ、それはムダじゃねーぜ。」

 「そうなの?」

 「俺達が居た収容所をまた使わせてもらえるって話なら、

  まとめて移動するか、あとで迎えに来るかの差だろう?」

 「そういう考え方もあるわね。」


 どういう事かというと、かねてより中佐らが考えていた、『現地の業務は現地の人たちで賄えるようにする』ということだ。

 ここにいた元ラゴニア海賊団所属約200名のうち、元々食糧調達などをしていた者も含めて、監視基地などの食堂で働いてもらおうと希望者を募ったら100名程も居たのだ。

 おそらくは、ちょくちょくベンデルマンら監視基地で訓練している人たちから個人端末で連絡を受けていたのだろう、それで評判がよかったのだと思う。希望者を募ったときの反応がびっくりする程だったのだから。


 これはさすがにカンイチくんが大きいとは言っても運べない。無理をすれば乗れなくはないが、座らず立ったままのぎゅうぎゅう詰めになってしまう。いくらなんでもそんな酷いことを強要したくはないではないか。

 第一、そんなことをしたらまたカンイチくんがうるさいに違いないので、中佐としてはできれば避けたいと思っている。


 そこで艦載輸送艦を呼び寄せる事にしたのだ。地上基地までは大した距離ではないので、そこまでトラックか何かで行ってもらうことになるが、それぐらいなら多少は我慢してもらえるだろう。


 ナツメグの人たちを交えて話し合いをし、やはりパラギニア宙域警備社とは会社を別にしたほうがいいという結論になった。

 それでお互いに補完する関係でもあるということで、『パラギニア・リスーマ警備社』という名称が決まった。食堂勤務希望者は、ラップライフ食堂に出向という形で業務委託してやってもらうという形で、ラップライフサプライ社と連絡して快諾してもらった。

 コッペパン艦内の収容所やラップライフ社の研修所を使うので、正式契約を交わすのはそこですればいい。


 残りの人員のうち、ほとんどはベンデルマン(父)と一緒にコッペパン艦の彼等が元居た収容所を使用して、そこでナツメグの人たちのもとで経営の研修をしてもらうことになった。これにはラップライフ社の経営陣も協力を申し出てくれたので、ナツメグの人たちも情報交換ができると喜んでいた。


 「いいことね。これを契機として他にも経営に興味を持った人には

  どんどん覚えてもらうわよ。」

 「こんなことを言える立場じゃねぇんだが、

  そんなに経営ばかり覚えさせてどうするんだ?」

 「ふふっ、ちゃんとアテはあるのよ。心配しなくても大丈夫よ。」

 「いや、少佐どのの、ああ、今は中佐だっけか、失礼した。」

 「気にしないわ。」

 「それでその、中佐どののいうことを信用しないわけじゃ、

  もちろん無いんだが。会社2つしかないのに経営を学ぶ人数が

  ちょっと多すぎやしねぇかと思ってよ…」

 「何言ってるの。会社なんて2つだけじゃないわよ。

  この先いっぱいあるんだから。特にベンデルマンさん、

  あなたは特に大変なんだからしっかりやってちょうだい。」

 「お父さん、この人はすごい人だから黙ってついて行くだけだ、って

  前に言ってたじゃないの。」

 「そんな事言ってたの?、何にせよ悪いようにはしないから、

  チャンスだと思って眠る間を惜しんで頑張ってね。」

 「はい!」

 「娘さんの方がしっかりしてるんじゃない?」


 そう言って一同と一緒に笑った。


 その後人員の移動の段取りを話し合い、何人か留守番を残してトラックを使い往復して運ぶと言ったので、なら先に来た者らで地上基地へと戻るついでに軍のトラックを借りればいいということになった。

 肌身離さず持つような個人的な品以外は、着の身着のままでいいのだから気楽なものだ。収容所の衣服などをそのまま使いたいらしいし、そんなにあのツナギが気に入ってくれたのならと中佐も頷いたのだった。

 だいたい現在のベンデルマンと一緒にやってきた4名も、そのツナギに上着のジャケットを着ているのだから。


 余談だがもちろんこれらの費用は全部あとでパラギニア・リスーマ警備社に請求することになっている。もちろんそれでいいと承諾してもらっている。



 地上基地に戻った中佐らは、マイネル基地司令にトラックを数台貸してもらい、ベンデルマンらと拠点に居たトラックの運転ができる者とでまた拠点へと人員を運びに戻った。

 中佐はヘルマン大尉と基地司令室に残り、キャシーはナツメグの人たちと一旦カンイチくんに戻った。


 「ところでここのプラントは軍の所有ということだそうだけれども、

  その責任者ってマイネル大尉なの?」

 「はい、プラントの責任者はまた別に居りますが、基地司令である小官が

  こちらでは総責任者となっておりますので。」

 「プラントの資料と収支情報を開示して欲しいの。いいかしら?」


 マイネル大尉は隣に座っているヘルマン大尉を見て、彼が頷くのを認めてから、

 「はい、わかりました。」


 と言って彼の個人端末を操作した。

 中佐が個人端末を手に取るのを見て、「では転送します。」と言い、プラントに関する情報を全て転送操作した。

 中佐はしばらくそれらの情報を閲覧していたがそのうちふと顔を上げた。向かいに座っている2人の大尉は黙って言葉を待った。


 「かなり古いもののようね。合成食品、美味しくないでしょう?」

 「改善しようと努力はしているんですよ。これでもましになった方でして。

  それでも限界というのはありまして…。」

 「責めてるんじゃないわ。味が良くなれば売れるでしょう?、

  あとは水が問題ね。作らずに他から買ってそれを蒸溜してるのね。」

 「はい。鉱山街のほうから運んでいる状態です。」

 「ちょっと調べておいたのだけれど、」


 と言って個人端末からウィンドウを宙に大きく出し、地図を表示させた。

 この地上基地周辺の地図だ。そこには水色で何本かの筋が表示されていた。

 「プラントの真下に水脈があるわよ。おあつらえ向きに結構な水量があるわね。」

 「な…」 「なんですと!」

 「前に調査したときにはそんなものは…」

 「地下3000mよ。リスーマには地下に豊富な水源があるみたいなの。」

 「3000mですと!、それでは水脈があっても得ることができません。」

 「ムツミネ宙域開発に話したら、ぜひやらせて欲しいと言われたわ。

  プラントの改修もね。よかったわね。近々美味しくなるわよ。」

 「そんな…」

 「何よ?、不満なの?」

 「いえ、そうではありませんが、ここは第147辺境警備隊いちよんななの施設

  ですよ。アルマローズ司令の許可を得ずに勝手に事を進められては…」

 「宙域の平定があたしの仕事なの。ここもアスパラギン星系の一部なの。

  そして宙域を平定するには地上もある程度安泰じゃないとダメなのよ。

  おわかり?、もちろん慈善事業じゃないのだから、あとで費用は

  きっちり取り立てるわ。でも採算がとれないことは無いでしょう。」

 「…。」

 「何もあなたたちに許可を求めているわけじゃないの。改修工事を

  するから協力しなさい、と命令しているの。これは軍事行動なのよ。」

 「…無茶苦茶だ…。」 「…。」

 「悪いようにはしないわ。あ、それとここの食堂も外部委託することに

  したから。ラップライフサプライの食堂になるわ。

  2日後から工事が始まるわよ、あたしたちの時間で明日から外に仮設

  食堂を作るからそこを使ってね。」

 「もう何が何だか…。」

 「プラントのほうの食堂も希望するならあとで連絡してきてね。」

 「…。」

 「返事が聞こえないわね。」

 「…はい。」

 「声が小さい!!」

 「は、はい!」

 「よろしい。協力しろとは言ったけれど、邪魔だけはしないでね。

  邪魔をしたら片っ端から排除するから。そんなことしたくないし、

  懲罰房はイヤでしょう?、お互いの為にならないのだから。」

 「わかりました…。」

 「じゃ、あたしはD8608型駆逐艦に戻るけれど、ヘルマン大尉はどうするの?」

 「小官はこちらに残ります。」

 「そう。じゃ、あとよろしくね。」


 部屋をでる中佐の背中を複雑な表情で見送る2人の大尉。

 建て付けのあまりよくない扉が軋んだ音を立てて、閉まりきらずに反動でまたギィィと鳴った。



-------------------------------------------------


20150211---- 一部の語尾を修正しました。

201502131615 キャシーにが→キャシーが 訂正しました。まだこんなミスが…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ