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1-19



 「んっんん、アルミナ・アユ少佐、こちらは息子のアレックスだ、

  よろしくしてやってくれ。」

 「アルミナ・アユです、よろしくね、アレックスくん」

 「は、はい、よろしくおねがいしますっ」


 わざとらしい咳払いをして息子を紹介したヘンリート艦長。

 愛想笑いでにっこり微笑んで、差し出された手に軽く触れると、近くで焼けているウィンナーソーセージより赤くなった、目の前の少年。


 ――いったいこれはどういう茶番なのかしら…?


 私服で来いと艦長直々のメールでの『お願い』があったので、周囲は皆軍服なのに、少佐だけが私服なのだ。わざわざ直前になってアイトーカセンター街まで買いに行かなくてはならなかった。

 どうせそのうち私服を増やそうと思っていたので、ついでといえばそうなのだが、バーベキューパーティーに買ったばかりの服だなんて、あまり気は進まない。だからわざわざ同じデザインの服を注文しておいた。もちろん多少の変更も注文に加えたが。


 艦長宅で行われたバーベキューパーティーには、司令室の上層部に総務部の部長ら、タテマエ通りこの界隈の官舎に住んでいる人たちがほとんど集まっていた。その中をひとり、メイド服のリリィ少尉が人目を気にせず食べ、アルミナ少佐が指定された通り私服で、あとは艦長の息子アレックスがアイトーカ市立学院の制服で、他はみな軍服だった。ハメられたと思ったがいまさら遅いので仕方がない。

 そのせいで目立つこと目立つこと。司令室の連中はそんな少佐を遠巻きにしている感じだった。リリィは構わず動き回っていたが。


 「アルミナ少佐は飛び級で大学を出ているそうだよ。アルと同い年なのに、

  大したものだなぁ、あははは。」

 「そうなのですか、アユさん、とお呼びして良ければ…、凄いですね

  僕なんて普通に上がって行くだけで精一杯ですよ。」


 ――何このわざとらしい言い方…、息子さんのほうはかちこちに緊張

   してて自分が何を言ってるのかよくわかってないみたいだけれど…。

   どうしようこれ…。


 どう返事したものかと、とりあえず愛想笑いだけは崩さずにこにこする少佐。

 視界の端には妙な表情をしているステラ中尉と、反対側にソダース少佐が同じように妙な表情をして、横目でこちらをみていた。リリィはパクパク食べていた。


 ――太るんじゃない?あの子…。

   そんなことよりこっちよ。どう逃げたものだか…。

   キャシーでも連れてくればよかったかも…、でも戦技情報室に

   キャシーが居たほうがいいし…。メイだけじゃ、ね。


 現在の戦技情報室には主任であるキャシーとメイが残っているのみで、他の者は皆出払っている状態だ。別段、メイの能力に不足があるわけではないが、何か緊急事態が起こって対処する場合にはさすがに1人だけでは、メイ当人が不安に感じるかもしれないという気遣いなのだ。

 官舎ぐらいの距離ならそれほど時間もかからずに戻れるが、艦載機で出ているほうが転送で戦技情報室直通の格納庫へ直接――艦載機でコッペパン艦の近くにジャンプするのもすぐであるし――戻れるということもあって、官舎のほうがむしろ遠く感じるというのもある。

 但しこれは艦長らの目を気にしての事である。

 コッペパンの艦内なら少佐は両腕に装着している端末で、戦技情報室の室長席で可能な操作のうち、特殊な権限を必要とするもの以外なら全てを操作できる。もちろん現時点でそんな操作をしている所を艦長らの目に触れさせるわけには行かないし、そんなことができると知られるのも情報室長としてはどうなのだというのもある。

 自宅の官舎に戻ってというのもあからさまに怪しまれることになり兼ねないので、やはり戦技情報室へと戻ったほうがいい、という判断あってのことだ。

 些細なことだが、少佐は戦技情報室員らを軽んじもしないし、その信頼には何の瑕疵かしもない。ただの過剰かもしれない気遣いとも言えるが、戦技情報室員らも少佐のそういう『クセ』をよく理解わかっているので、仮にそのまま伝えたとしても誰も能力不足を疑われたなどとは思わないだろう。

 一部、というかスティとリュウの2名だけはコッペパン艦で初めて少佐の部下に付いたが、主任らやその他の者は皆過去になんらかの形で第43兵器開発局と共同開発をした経験があり、その際に彼女と関わった者ばかりだ。


 話が逸れたが艦長宅でのバーベキューパーティの続きである。


 「ええ、そう呼んで頂いて構いませんわ。

  アレックスくんは、アイトーカ市立学院に通ってらっしゃるそうですね、

  学校はどうですか?、私はあまり学校生活ってよく知らないので…。」

 「うちのアルは成績もよく、ああ、少佐に比べれば大したことはない

  のだが、学校でも真面目で人望もある優秀な子なんだよ。ははは」

 「が、学校は楽しいです。新しい設備ばかりでとてもきれいで気持ち

  いいです。こっちに通いだしてまだ三ヶ月足らずですが、

  もうみんな仲良くなって、あ、そうだ、テーマパークがそのうち

  完成するとか、そういう話をみんなでしています。商業区も充実

  していますし、このコロニー艦ってすごいですよね!、あはは」


 ――この父子おやこ、いまいち会話が噛み合ってないわね…。

   親のほうはどういうつもりなのかしら?、

   よろしくして欲しいのか、して欲しくないのか…。


 おそらく艦長のほうはよろしくしてやって欲しいというのはタテマエで、よろしくして欲しくないということだろう。少佐のほうも、まぁ隣人のよしみで知り合いかそのあたりで手を打っておきたいところなのだ。高校生とよろしくなんてやっている場合ではない、それほど戦闘技術情報室長の業務というのはヒマではないのだから。ヒマそうに見えるかも知れないが。


 「そうなんですかー、カーディナル宇宙軍の技術を結集したと聞いて

  いますが、すごいんですねー、テーマパークも楽しみです。

  どういうアトラクションがあるのですか?」

 「ネットの掲示板でちょっと見ただけなんで、みんなも同じような

  感じなんですが、プールができるとか、ジェットコースターが

  できるとかそんなような…」

 「…(ネットの掲示板か、調べてみる必要がありそうだな…)」

 「はい?、艦長何か?」

 「ん?、いや、なんでもない、あ、そうだ、私はあちらでソダース君と

  ちょっと話があったんだ、アル、失礼のないようにね。では、

  少佐、あとはよろしく。」


 ――どうしろと…、だんだんネコかぶるのも辛くなってきたわね…。

   ステラとリリィはアテにならないし…、補佐官なら補佐しても

   いいと思うのだけれども…。


 わざとらしい会話を振るのが面倒になってきたようだ。

 そもそもテーマパークや、そのアトラクションは少佐がこの艦の設計時点から計画して、その手の会社を抱き込んで作っているもので、公開日を調整中なのだ。知らないわけがない。ネット掲示板に流したのはロックとガルさんだが、もちろん全部の情報を流したわけではない。小出しにするものなのだから。

 それに少佐自体が、いわゆる思春期の同年代との学生生活を知らずに育ってきているのだ。同世代の、ましてや男子高校生など、何を話せばいいのやら、大人相手とは勝手が違う。よろしくと言われても困る。とりあえずリリィやキャシーの喋り方を採りいれたりして、笑顔を崩さず、なんとか乗り切るしかない。補佐官らは助けに来ないし。


 「そうですかー、そういうのってやっぱり学校の友達みんなで行くもの

  なのですか?」

 「あ、えっと、そうですね、そういうこともあります。

  (でも僕は…)」

 「アレックスくんなら学校の女の子に誘われたりするのでしょう?」

 「え?!、あの、いえ、まぁ、その、買い物に付き合って欲しいと…

  その、言われたぐらいで、別に僕は…」


 ――まぁ、艦長のひとり息子さんだものね。


 だんだんとイジワルな少佐だった。


 「女性のエスコートに慣れてらっしゃるんですね。ふふっ」

 「いえ、別に…」

 「そういえば一昨日、挨拶したのに逃げられちゃいました。」

 「あ、あれはその…、ごめんなさい。」


 ――おー、潔いじゃないの。いい子に育っているようで何よりだわ。

   いじめちゃ悪いわね。


 「あんな風にじーっと立ってこっちみてたんで、びっくりしちゃった。

  声くらいかけてくれても良かったのに。」

 「音色に惹かれてつい…、オカリナ、お上手なんですね、

  驚かせてごめんなさい。」

 「ふふっ、もういいわ。オカリナに興味があるの?」

 「何度か庭で演奏されてましたよね、気になってたんです。

  それで、たまたま下に居たので、近くで見たいなって…」

 「別に珍しいものじゃないと思うけれども…」

 「いえ、あの、演奏されてる姿がステキだったので…!」


 ――あら、真っ赤になっちゃって。このあたりが引き時かなー…。


 「ありがとう、じゃ、またね。呼ばれてるみたいだから。」

 「あ、あのっ!」

 「ん?」

 「また、お話してもいいですか…」

 「ええ。いいわよ?、またね、アレックスくん。」

 「は、はい、また…」


 ――ふぅん、艦長には他意はないみたいね。あの子は演技じゃないし。

   どういう意図があるのかなって思っていたのだけれど、

   艦長も大変ね。


 などと思いつつ、ステラに目配せして引き上げる少佐。リリィはまだパクパク食べていたが、帰るわよと引っ張っていったら名残惜しそうにしていた。こっちはろくに食べていないというのに、いい気なものだ。メイドのくせに給仕ひとつせずに食べてばっかりで全く困ったものだ。


 艦長らに会釈して引き上げた少佐は、翌日に当星系に到着する輸送艦バラクーダのことや、明日完成を迎える監視基地、稼働可能だが一部調整中の監視基地、それらのテストのことに思いを馳せていた。



   *  *  *



 「それで、アドレス交換ぐらいはできたのか?」

 「それがその…」

 「なんだだらしないな…、で、次いつ会うんだい?」

 「それもその…」


 内心ガッツポーズをとるぐらいの気分と、アルの初心さに情けないと思う気分とがせめぎ合うような微妙な心境だが、思うように話もできなかったと落胆している様子を見て少し考えを変えた。


 「そうか…、あまり褒められた事ではないが、アルミナ少佐のアドレスなら

  私が知っている。」

 「…!」

 「紹介も済ませたことだし、まぁ、アルに教えても構わんだろう。」

 「あ、ありがとう父さん!」

 「ほどほどにするんだぞ?、しつこく連絡したりしては嫌われてしまうからな?」

 「は、はい、頑張ります!」

 「い、いや、頑張らなくていい」

 「え?」

 「あ、いや、少佐も軍務で忙しい身なのだから、ほどほどにしろという意味だ。」

 「わかりました、ああ、よかった…」


 話しながらアドレスを個人端末を操作して伝えた。あのアルミナ少佐となんてよろしくやって欲しくはないのだが、アルを見ているとそうも言えず、父子の会話としてもいい材料だと思うのもあって、なんというか実に複雑だ。だからつい余計な助言をしてしまう。


 「『今日はお忙しい所、来て頂いてありがとうございます。』

  ぐらいは伝えてもいいんじゃないか?」

 「え?」

 「ほどほど、というのは何も連絡をするなという意味じゃないんだぞ?」

 「あ、うん、じゃ早速…」

 「おい待て、こういうのは最初が肝心なんだ。落ち着けアル。」

 「う、うん…」

 「ほら、婆さんが育てたハーブのお茶があったろう、それでお茶でも

  いかがですか、とかだな、お前学校で部活の試合とかないのか?、

  そういうのを見に来てください、とか、文化祭…は時期じゃないが、

  そういうイベントにかこつけて案内しますというかだな…」

 「はい、なるほど…、えーっと…」

 「とにかくただお礼を言うのではなく、そういう切っ掛けから次の約束をだな…」

 「そっか、さすが父さん」

 「いや、さすがという程の事ではないだろう、とにかく敵…じゃない、

  彼女はお前との接点が少ない。だから途切れないようにするんだ。

  今日のところはアドレスの交換もできなかったんだから直接会話じゃなく

  メールのほうがいいだろうな、」

 「はい」

 「少佐のほうはおそらく…んー

 ――明後日が調査報告会議だからな、こそこそ何かやってるようだが、

   おそらく調査後に行う監視基地建設の準備なのだろう。

   ということは、それが軌道に乗るまでは昼間の時間など取れんだろうな。

  来週ぐらいからなら時間も取れるんじゃないか。」

 「うん、わかりました、ありがとう父さん!」


 さっきまでの落胆ぶりもどこへやら、送る文面を熱心に考えている。

 そんな様子を温かく見守りながら、そういえば私にもあんな頃があったな、などと懐かしい気分になった。周囲に冷やかされたり応援されたりしながらああやってデートの約束を取り付けたものだ。


 しかしこれは相手が悪い。悪すぎる。

 軍の資料を見ただけでも常軌を逸している。17歳で少佐というだけでも常識外れなのにあの徽章きしょうの数、受勲など一体どこの将帥だというのだ。中央が厄介払いをしたというのもうなづける。

 そんなことはアルにはとても伝えられないが、彼女は同年代の男子などの手に負えるようなものではないだろう。

 見かけはああいう普通の若い娘風だが、中身はとんでもない怪物なのだ。


 アルもよりによってあんなのに惚れるとは…、かわいそうだが仕方がない。親としては普通の娘さんと仲良くなって欲しいものなのだ。

 アルには悪いが、今日の様子を見ているとおそらくあの娘なら適当にうまくやってくれるだろう。


 これもアルにとってはいい経験になればいいだろう。



   *  *  *



 そして翌日。


 衛星マヨースに建設していた監視基地が完成したようだ。

 一部調整作業が残っているがそれに関わる作業員以外は、他の2箇所の監視基地建設に合流するということで、マヨース基地の倉庫に置かれていた資材などの運搬ついでに、ガルさんやテリーらが艦載輸送艦で運んだようだ。


 もう既に第六惑星パロランの5番目の衛星ヘパルの基地でも、アステロイドベルト2の基地でも、居住区と食堂は稼働しており、食堂で働く人員もそれぞれに居り、コッペパン艦からの食材の輸送も行っている。2つの監視基地はもうあと少しで完成というところだそうだ。おそらく今日中に調整作業に入るだろう。



 夜になって、輸送艦バラクーダが少しだが資材を積載し、基地要員を連れて戻ってきた。

 バラクーダはマヨース監視基地に停泊し、艦載輸送艦で各所へと人員を運ぶ。

 それぞれの監視基地では各部の稼働テストを始めた。


 ベンデルマンら元海賊ラゴニアの収容所の人たちの会社は、『パラギニア宙域警備社』というらしい。彼らには明日移動してもらうように通知しておいた。相変わらずの士気の高さで少し引いたが水を差すこともない。日程の事もあり、監視基地の教導員らは厳しいのだから。


 ムツミネ宙域建設の作業員たちは、彼らラゴニア改めパラギニア宙域警備社の従業員らと入れ替わりで、監視基地に送り届ける手はずになっている。艦載輸送艦で近くに運び、転送で入れ替えを順次行うので直接会うことはないが、今後の会社付き合いもあるだろうから、連絡先ぐらいは双方交換し合うようにしてもいいのかもしれない。


 30日後には輸送艦バラクーダで、今回カーディナルから連れてきた基地要員らをまたカーディナルへ送り届けなくてはならないので、それまでは基本的にはマヨース基地のところにバラクーダを置いておくことになる。

 そのうち折を見て監視基地を視察に行こうと思っているので、ステラ中尉がバラクーダ内のホテルに泊まりたがっていたから、ちょうどいいのでその機会に一緒に宿泊すればいいかな、と考えている。まだ内緒だが。



   *  *  *



 「えーっと何々?、『昨夜はお忙しいところお越し下さってありがとう』?」

 「あの艦長がそのようなメールを…?」

 「艦長じゃないわ、その息子さんよ。」

 「あー、昨夜にこやかにお話されてましたね。」

 「あたしだって愛想笑いぐらいするわよ。」

 「アドレスの交換をされたんじゃないんですか?」

 「違うわ。きっと艦長から教えてもらったんでしょう。」

 「そうだったんですか…、周囲ではお似合いのカップルだとか、

  美男子と美少女の組合せ、とか聞こえてましたので…」

 「やめて。あたしが高校生とだなんて話が合うわけがないでしょ?」

 「そうですね…、確かに。」

 「『祖母が育てたハーブをお茶にしました。出来がよいので是非来週あたり

   街で評判のケーキと共にごちそうしたいのですが、ご予定はいかがな

   ものでしょうか?』ですって。昨夜あんなに緊張してた割には、

  随分と落ち着いたお誘いじゃないの。」

 「今度はケーキですかぁ、あたし食べたいです」


 そこにキッチンで桃を切っていたリリィが、お盆に切った桃を入れた器を乗せてやってくるなり会話に参加した。


 「ちょっとリリィ、これは少佐へのお誘いよ?」

 「いいわよ?」

 「「え?」」

 「うん、桃美味しいわね。ほら、甘くて瑞々しくて。」

 「缶詰じゃない桃なんて初めてです、こんなに美味しいんですね…」

 「学校で食べました、それまでは食べたことなかったです。

  あ、こっちのほうが美味しいですね!」

 「そう。それでこれだけれども、断れないからあなたたちも来るのよ?」

 「わーい、ケーキぃ」

 「いいんですか?、これってデートのお誘いですよね?」

 「何言ってるの、あなたたちはあたしの護衛でしょ?、なら行かない道理は

  ないわよ。」

 「でもお邪魔では…?」

 「誰に対しての邪魔なのよ。それにほら、もうケーキ食べる気満々よ?」

 「はぁ…」


 今まさに桃をぱくぱく食べているというのに、ケーキが食べられると聞いて喜ぶリリィを見るとにこにこしていた。来週の話なのだが。


 「それにね、これは艦長の入れ知恵だと思うわ。気は進まないけれども、

  だから断れないのよ。父親の威厳か何かしらないけれど、余計なことを

  してくれるものだわ。『来週あたり』なんて、あたしの予定をある程度でも

  知っていなければ出てこないでしょう。」

 「なるほど…。」

 「だからこちらもお土産を持って3人で行くのよ。そのほうが艦長も安心

  でしょ。」

 「安心、なんですか?」

 「そりゃそうよ、くっ付けたくないのだから。」

 「え?、でも入れ知恵するぐらいなのに…」

 「そこがフクザツな親心ってやつでしょうね。艦長からすればアルミナ家に

  関わりたくはないでしょうし。でも年頃の息子が無下にされるのも困るし、

  受験を控えてるというのもあるでしょうね。」

 「家柄とかそういう…?」

 「ううん?、軍籍だけれど普通の家よ。お父さまもあたしと同じで研究職から

  今は宇宙軍大将で後方支援局次席管理官、だったかしら。」

 「え…」 「ひぇー…」

 「そんなに驚くことじゃないでしょう、士官なら宇宙軍の名簿が見れるはずよ?

  着任前に上司の情報ぐらい確認するでしょ?、しなかったの?」

 「しましたぁ」 「しましたけど、少佐のことだけしか…」

 「母さまは鬼籍に入ってるけれど、元宇宙軍准将だって書いてるはずよ?」

 「ご両親ともすごいんですね…」

 「忘れたの?、二階級特進よ。」

 「…あ」



   *  *  *



 ――なぁフィナ。アユが博士だってさ、名誉教授だってさ。

   技術専門誌を見てそう書いてあったのを見たときには卒倒するかと思ったよ。

   ははは…、それに宇宙軍少佐だってさ、まだ17歳なのになぁ…。

 

 妻との記念写真を表示させて、当時の幸せを懐かしむ表情をしていたハヤトは、横から盆に乗せた湯呑をそっと置いたティシアに気づいたようだ。


 「ああ、ありがとう。」

 「少佐が生まれた頃のお写真ですか…」

 「うん…」

 「やっぱり心配してらっしゃるんですね…」


 父親が娘を心配するのは当然だろう。だが当時のハヤトが妻のフィナにしていたような、命の危険についてではないという事は、ティシアも知っている。地上に降りて銃撃戦をしたりするようなら話は別だが、そんなことをする娘ではない。

 敵性種《HS》相手に宙域戦をするのであれば、あの艦とその搭載機(群)ならそのような心配は無用だろう。

 それでもあらぬことを考えて心配してしまうのは親というものである。


 「そうだな…うん、いや、うん…、あのはフィナに似たところが

  あるからね…」

 「宇宙軍の意義、ですね。」

 「うん…」



 アルミナ・フィナ。ハヤトの元妻である。アユを生んでから1年で軍に復帰した。

 NS052781ワイガル星系外縁部に大規模な敵性種《HS》の巣が存在することが分かり、これを殲滅あるいは避難する住民を輸送、護衛するために宇宙軍はカーディナルと周辺星系から凡そ2万隻の艦隊を編成して派遣した。

 フィナはこれに巡洋艦の副艦長として赴いたのだ。


 それまでは外惑星軌道にあった複数の小規模な巣への対処に追われており、外縁部にまで調査の手が回らなかったのもある。小規模な複数の巣とはいえ、数が多く殲滅させることができずに、数を減らすことで凌いでいた。

 それが、ただの前戦拠点だったということだ。敵性種《HS》の本陣は外縁部に存在し、これまで何十年かかけて着々と力を貯めていたのだった。

 たまたま資源調査でそちら方面を探査していた政府の探査艦がそれを発見し、大慌てで第二惑星エーグに帰還、大急ぎでカーディナルへと連絡をした。



 「アユが3歳の頃だったな…、傷つけないように、事故で亡くなったんだよ、

  って言っておいたんだ。でも泣きもせず、気丈な子だななんて思ってたっけ。

  ある程度大きくなってから話したら、知ってたって言われてなぁ…」

 「アユ少佐は私が知ったときにはもう軍に入るって言っておられました。」

 「そうなんだよなぁ、きっと母親のことを知って決めたんだろうな…、

  思えばその頃から顔つきが変わったような気がするよ、早熟すぎて

  困った娘だなぁ…」


 デスクに置かれた湯呑、その前から置かれていたグラスには琥珀色の液体が透明な氷の底を浸していた。

 溶けてバランスの変わった氷が、小さな音を立てた。



 当時は他星系への移動にはそれなりの時間が掛かるものだった。

 先に惑星エーグ周辺を護衛する戦闘艦、住人を避難させる輸送艦、これらを編成し次第ワイガル星系へとあちこちから飛んで行った。

 ワイガル星系から避難する人民を乗せた輸送艦がひっきりなしに移動し、それでもまだ全ての住人が避難するには相当の時間が掛かると予測された。


 カーディナル星系をでてワイガル星系にフィナの居る本隊が到着したのは、出発してから8ヶ月、救難の連絡を受けてから9ヶ月後だった。これでも相当あれやこれやの手続きを省略して超特急で向かった。


 本隊が到着するまでの間にも、避難作業はもちろん続行していた。政府の資源探査艦が持ち帰った情報では敵性種《HS》の正確な規模が不明だったので、偵察部隊を編制して偵察を行っていた。

 それによると、外縁部の敵性種《HS》は数百万群体規模だと判明した。

 群体というのは複数の敵性種《HS》が1つの形を作ったもののことで、ワイガル星系において過去に浸食・鹵獲ろかくされた艦が形成されているとの事だった。


 絶望的だと言える。たかだか2万隻程度、しかもこれには当然ながら補給艦や輸送艦が含まれている。全てが戦闘艦ではない。

 敵性種《HS》のコピー艦相手であれば、1艦あたり同型なら数隻を相手取っても互角に戦えるが、数百倍ともなれば話は別だ。なんとしてでも惑星エーグの住人全てを避難させなくてはならない。


 さらには重要なことだが、敵性種《HS》にこれ以上の情報・技術を与えないようにしなくてはならないのだ。

 惑星エーグ上の、避難時に持って行けない技術情報は全て溶かすか焼却処分しなくてはならない。本隊が到着するまでの間、先遣部隊は次々とそれらの作業に着手していたのだった。


 そして本隊が到着した。とにかく数を減らすことと、避難作業を進めることの2点を主眼に置き、到着してすぐ行動を開始した。


 外惑星軌道にあった巣は無事殲滅した。避難作業は着々と進み、あと数日で住民の避難が完了するというところだった。偵察隊の報告では、外縁部の敵性種《HS》群はいつこちらに向かってくるかという様子だった。

 なんとか間に合ってくれ。皆がそう思っていた。


 だがやって来た。大規模来襲だった。


 攻撃し、防衛しつつ下がる。防衛ラインを下げる、だが敵性種《HS》は多すぎた。

 長い戦いと感じるほどの辛い数日をなんとか耐えた。

 あと数時間で避難が完了し、撤退に移れるところまで来れた。

 傷ついた艦を下げ、補給の済んだ艦を前に出し、防衛ラインを維持する。

 死線をくぐり、その厳しく長い数時間を耐え、なんとか撤退に移った。


 撤退開始に移行し始めたとき、敵性種《HS》の一番多い部分が殺到した。

 味方の撤退を助ける殿軍しんがりぐんを受け持った2500隻。


 そのうち無事に帰還できたのは1700隻だった。

 フィナが搭乗していた艦はそこになかった。


 『人類を敵性種《HS》から守るために戦うのが宇宙軍。』

 フィナもその所属隊も、皆そういう目的で戦い、そして散ったのだ。



   *  *  *



 「そうだったんですか…」 「ぇぅぅ;」

 「あたしが3歳の頃の話だし、記録資料で見ただけなのよ。

  リリィ、あなた結構涙もろいのね。あ、袖で拭いたりしないで、もう…」

 「それでこの艦に…」

 「ぢょっど顔あだっでぎばずぅ…」

 「「はいはい」」

 「そういう事なのよ。試験運用で成果が上げられれば、同型艦か同じ機能を

  持った艦がこの星系を始め他の星系にも順次配備されていく予定よ。」

 「なるほど…」

 「おそらく、この先も敵性種《HS》の脅威は無くならないと思うの。

  でもね、何十年かのほんのしばらくの間だけでも、人々が安全に

  暮らすことができるなら、この艦や監視基地のシステムを造った意義が

  あるんじゃないかなーって思うのよ。」

 「何十年かですか、もっと持ちそうな気もします。」

 「敵性種《HS》の脅威がなくなったら、この武力って人類にとっては

  逆に脅威なのよ。邪魔でしかないのよ。

  考え出したあたしですらそう思うの。過ぎた力だと。

  考えたくないけれども、そんな力がどこに向くのかを考えたら恐ろしいわ。」

 「そうですね…」

 「だからあまり長い期間、安全じゃないほうがいいのかもしれない、なんて

  思う事もあるのだけれどね、でも今は敵性種《HS》を相手にするのだから

  こういう力って必要。

  願わくは、愚かな人がこの過ぎた力を人々に向けないようにして欲しい

  ものだわ。」


 ――人類の歴史を見ても、争いと争いの間なんてそんなもんでしょう。

   中にはもっと長く続いた例もあるかもしれないけれども、

   どうして人類って互いに争うのを止めない種族なのかな…。


 そう言って物思うように両手を頭の後ろで組んでソファーにもたれ天井を見上げる少佐を見ながら、ステラは自分の生まれ育ったミリクス(ほし)が内乱続きだったことを思い出していた。

 明確な『敵』が存在する宙域と、『敵』の存在から隔離された地上。

 たった半年程前の事。忘れたくても忘れられない事。


 洗面所から戻ってくるリリィのスリッパの音がペタペタと聞こえた。



   *  *  *



 「あのはいつの間にか僕の書斎で勝手に資料を見たりして

  勉強してたんだなぁ…」

 「すごい方です、そこからあんな理論を打ち立てて…」

 「そうだなぁ、天才とひとことで言うのは簡単だけれど、目的を持ってしまって

  凄まじい勢いだったなぁ…。子供の頃ってもっと…、いや贅沢だな。」

 「贅沢ですか」

 「贅沢だよ…、できすぎた娘を持ったんだから。」

 「ふふっ、そうですね。でもその分、普通とは違う心配を。」

 「そうなんだよなぁ…、フィナがああいう死に方をしてしまったために、

  あのは人類を守るためにって思いを研ぎ続け、とがらせて

  あんなのを造ったんだ。

  それがもしポッキリ折れてしまうような事になったら、って思うとね…」

 「恐ろしい事ですよ、それは。中身はまだお若いんですから。」

 「研究者仲間も居るんだから、大丈夫だとは思うんだけどね…」

 「私は、閣下も心配ですよ?」

 「えっ?、僕は…」

 「ほら、これ…」


 ティシアが指さしたウィスキーのボトルは、中身が半分ほどになっていた。


 「あっ、そんなに飲んだつもりはなかったんだが…」

 「珍しいですよ、閣下がそんなにお飲みになるなんて。せめて何か食べながらに

  して下さいな。」

 「ああ、それでお茶を…」

 「こちらにお薬とお水をご用意していますが…?」

 「たぶん、大丈夫。」

 「今日はお帰りにならないんですか?」

 「う…、そうだな、やっぱり薬飲むか…ありがとう」

 「ふふっ、どういたしまして。」

 「じゃあ少しそこのソファーで横になって、落ち着いたら帰るから、

  君は帰っていいよ。」

 「まだ少しすることが残っていますので、しばらく席に居ます。」

 「そうかい、んじゃ」


 そう言って薬を受け取って飲み、よっこらしょとでも言うように立ち上がると、ソファーへと向かうハヤト。ソファーには毛布が用意されていた。


 ――助かるね。いやー僕には過ぎた副官だよ全く。


 大人1人が余裕で寝ころべる長さのソファーにごろりと横になり、クッションを枕にしてすぐに寝入ってしまった。

 しばらくしてティシアが来て、ズレた毛布を掛けなおしていた。



   *  *  *



 そしてさらに翌日になった。

 特に問題もなく、予定通り3箇所の監視基地は稼働し始め、それぞれの基地には教導員と基地要員――彼らも実地訓練である――と、パラギニア宙域警備社の社員たちが寝泊まりし、シミュレーター訓練と実地訓練を行う訓練漬けの30日が始まった。


 ムツミネ宙域建設の作業員らは継続して建設作業(倉庫や艦艇用の施設などの建築や整備)を行う者以外はコッペパン艦へと帰還してきた。テンマ代表も帰還したらしい。


 明日の午後にはコッペパン艦は第一辺境防衛基地隣接宇宙港へと帰還する予定で、その前に午前中に、艦長らと星系調査報告会議がある。資料はもうとっくにまとめてあるので、報告するだけだ。


 敵性種《HS》の巣の殲滅と、監視基地3箇所の建設・人員配備・稼働開始、これらが完了したことも、明日の会議で報告する。

 艦長らがどういう顔をするかというところだが、星系内調査のついでにやってしまったと言えばいいだろう。艦長派の今後の方針を考える上でも、敵性種《HS》の事をほぼ考慮せずに済むのだから、悪いことではないはずだ。


 ロックら6名は久々に戦闘技術情報室に戻ってきている。

 帰ってきたとき多少やつれ気味のひともいたが、身体を壊すこともなく、無事に戻ってこれて良かったと思う。


 「みんなご苦労だったわね、おかえり。」(少佐)

 「やっと帰ってこれたぜー、ヒマじゃなかったけど退屈だったなー」(ロッ)

 「これでやっとロックさんの愚痴から解放されます。」(タリ)

 「それじゃまるで俺が愚痴ばっか言ってたみてーじゃねーか」(ロッ)

 「毎日のように言ってましたよ?」(タリ)

 「ドルクはちょっと痩せたんじゃない?」(少佐)

 「いえ、別に…大丈夫です。」(ドル)

 「ドルクはテンマさんに気に入られちゃったから…」(マイ)

 「あー、それは災難だったわね、恨むならロックを恨みなさい。」(少佐)

 「おい、そりゃねーよお嬢。いてっ」(ロッ)

 「お嬢っていうな。」

 「ああすいません少佐。」

 「「あはは」」 「「ふふっ」」

 「少佐、ただいま戻りました。」(スティ)

 「おかえり、スティ」(少佐)

 「ただいま戻りました。」(リュ)

 「おかえり、リュウ。今日はお侍さんじゃないのね。」(少佐)

 「は、はい。あれは集中するときだけで…」(リュ)

 「そう。みんな今日はゆっくりしてていいわよ。予定が前倒しになって

  いたのだし、それほど急がなくちゃいけない仕事もないでしょ?」(少佐)

 「「ありがとうございます」」

 ということで、皆自席に戻って行った。のんびりとは言っても、艦載輸送艦や艦載機で取ってきたデータの整理や分析などはすぐにすべきものなので、しなければならない事はある。もちろん出先で毎日整理されコッペパンに送られ分析されているので、貯まっているわけではない。今日の分、というだけだ。


 ガルさんやテリーたちはまだそれぞれの監視基地現場に居る。一応念のためということもあってしばらく待機しつつデータを取ってきてもらうためだ。何かあったときのため、という理由もある。

 基地要員にも何人か艦載機を動かせる人員は居るので、何機かそれぞれの基地には設置済みだが、艦載輸送艦を動かせるものが居ない。

 基本は同じだし、搭載思考結晶の補助があるのでできなくはないと思うのだが、大きさが桁違いであるし、上位の訓練メニューをこなしている者がまだ居ないから仕方がないのだ。



   *  *  *



 「それではもう当星系には敵性種《HS》の巣は無く、既に稼働中の

  監視基地で対処するだけで良くなっている、というのだな?」

 「はい、その通りです。」

 「…予定の消化が早くて助かる。では後は名称未定宙域海賊指定スネアの

  対処だけで宙域が平定される、ということか。」

 「はい。スネアの本拠地やその他の拠点、設置物は資料の通りです。

  艦艇数や人数もそれぞれ概算ですが資料に記載しております。」

 「なるほど、これか…」


 艦長が作戦会議室の操作盤で、それら資料の一部をモニタに表示させた。

 「ふむ…これほど兵力をため込んでいたのか…、

  当艦にはこれらは脅威となると思うか?、アルミナ少佐。」

 「いいえ。この程度では当艦に傷ひとつつけられないでしょう。」

 「そうか…、いや、確認しただけだ、こちらでも当艦の防御力を

  把握している。疑っているわけではない。」

 「はい。」

 「ではこの調査資料を元に、今後の方針を検討する。

  調査、ご苦労だった。アルミナ少佐。」

 「ありがとうございます、ヘンリート艦長。」

 「では予定通り3日後に航法担当と作戦参謀で立案された作戦案を

  審議する。以上。解散。」


 そう言うと前回と同じく、ヘンリート艦長が出入り口へと歩き始め、その後ろにソダース副艦長が付き従った。そして出入り口に近い者からぞろぞろと作戦会議室を出て行く。少佐もステラ中尉ももちろん同じように部屋を出た。


 今回は呼び止められることもなく、まっすぐ戦技情報室へと戻った。


 「あー、明日だけれども、監視基地の視察に行こうと思うのよ。」(少佐)

 「視察、ですか。」(ステ)

 「そう、視察。それでカンイチくんに乗って行くのだけれども、

  ステラ中尉も付いてくるわよね?」(少佐)

 「あ、はい、できれば。」(ステ)

 「それであと2人ほど、って思っててね、ロックは作業あるし…」(少佐)

 「あ、はーい、あたしも一緒に行きたいな」(キャ)

 「んー、キャシーはここに居て欲しいのよ、ただの視察だし、

  基地隣接宇宙港に停泊するから、ほら、ネズミの飼育とか。」(少佐)

 「うー、そうでした。監視強化しなくちゃですよね。」(キャ)

 「だから、そうね、あ、ロック!」(少佐)


 ちょうど奥の扉から現れ、歩いてきたロックを呼ぶ。

 「おぅ、どうした?」(ロッ)

 「明日の朝から、2人ほど動けるひといるかな、監視基地の視察に

  行こうと思って…」(少佐)

 「ああ、言ってたやつな、スティとリュウなら連れてってもいいんじゃ

  ねーかな、あ、ちょうど戻ってきた、おーい、沈黙コンビー!」(ロッ)

 「その言い方ってどうなの?、あの2人だってちゃんと喋るわよ?」(少佐)

 「少佐にはちゃんと喋るんだよ。あー、明日少佐の視察に付いてって

  欲しいんだが、予定いけそうか?、2人とも。」(ロッ)

 「大丈夫です。」 「行けます」

 「だとよ。」(ロッ)

 「ありがとう、明日の朝おねがいね。スティ、リュウ。」(少佐)

 「了解です。」 「お任せ下さい」

 「で、えーっと、あとは…あ、リリィ?」(少佐)

 「あ、はいぃ」

 「リリィは明日は射撃演習だっけ?」(少佐)

 「えっと、それが、なんか明日の演習中止って言われたんですよぉ」(リリ)

 「ふぅん、そんなこともあるのね…、じゃ、監視基地の視察、

  リリィも付いてくる?、建設した基地、見たがってたでしょ?」(少佐)

 「いいんですかぁ?!、行きたいですー」(リリ)

 「じゃ、リリィも一緒に。よし、これで5人。カンイチくん対策も

  これでいけるかな。ふふっ」(少佐)

 「カンイチくん対策…?」(リリ)

 「ううん、こっちの話。じゃそれでみんなよろしくね。」(少佐)

 「「はいっ」」


 この時、少佐はリリィの演習が中止ということについて、あまり気に留めなかった。



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20150211---- 一部の語尾を修正しました。

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