闇への堕落
大変更新が遅れてしまってすいません!今年も後わずかですが、よろしくお願いします。
静流は灯夜たちの行動を終始見ていた。ただ、雫の映像だけは、見ることができなかった。
灯夜はここまで、順調に進んできている。静流のところへ来るのも時間の問題だった。
今、灯夜たちが入ろうとしているのは、F組である。先頭の灯夜が入ると、突然扉が閉まった。そこから先の映像を見ることができない。誰かに邪魔されているようだ。
急に心配になる。灯夜たちに、もしものことがあったら、そう思うと、いてもたってもいられなかった。
部屋を出て助けに行こうとするが、雫が現れ止められる。
「どこに行くの。静流」
「月代君たちが危ないの!」
「灯夜なら大丈夫。彼は特別なんだから。それに、みんな元通りになるようにしておいたわ。なにも心配することはないの」
肩に手を置かれ、見つめられる。
「……でも、もしものことがあったら、私、また後悔することになるわ」
「そんな聞き分けのないこと言わないで。私と一緒に待ちましょ」
また頭がくらくらする。最近、この症状が出るようになった。理由は分からないが、よくない気はしていた。
「ほら、座って。落ち着くわ」
雫の声がやけに遠い。それでも、言っている意味は分かる。その言葉に従った。
「ありがと。さあ、疲れたでしょ?眠って」
「……だめ。雫、行くつもりでしょ?」
月代君のところに。
声には出していないが、続く台詞はそうだろう。何も言えなくなる。
「一人じゃ……危ない……わ」
意識が朦朧としているのだろう。言葉が途切れ途切れになっている。
「せめて…これを…」
持って行って。その言葉が出ない。ただ、持っていた一枚の護符を雫に渡そうと腕を伸ばした。
意図が理解できたのだろう。雫は無言で受け取る。
瞼が重くなる。抗うことのできぬまま、静流は眠りに落ちていった。
これはお守りだから。静流はそう言った気がした。実際はもう眠っていて、そんなことを口にした訳ではないのだが。
目を閉じ、念じる。手にした霊符を制服にしまい、それとは別に静流から受け取った護符を大事にしまった。しばしの間、その寝顔をじっと見ていた。まるで目に焼き付けているようだ。それが終わると、多少の罪悪感を覚えながら、また静かに出て行く。彼に会うため。彼を止めるために。