対峙
更新遅れてすいません!
黒夜は、なぜか犬神と対峙していた。
「どうして、犬神までここに。あいつは、ここに入れなかったはず」
(俺が呼んだんだ。あいつ、むかつくんだよ。俺たちのこと見下しやがって。だから、少し遊んでやろうと思ってな)
頭の中に声が直接響く。
灯夜は黒夜に走り寄ろうとするが、見えない壁に遮られ、それ以上近付くことができない。
(無駄だ。灯夜はそこで大人しく見てろ)
犬神の方はこんな場所に突然来たせいか、戸惑っているようだった。
「おい、月代。これはどういうことだ。なぜ、僕とお前がこんなところにいるんだ!どうして、僕はこんなところにいる!?」
「どうしてって、俺が呼んだからさ」
「……呼んだ?何を訳の分からないことを。おかしくなったのか?そんなことは、どうでもいい、さっさとここから出せ!」
「出たいんなら、自力で抜け出せばいいだろう」
黒夜の態度は、犬神の逆鱗に触れようとしている。
「なにを怒ってるんだ?『力』を使えばいいだろう。こんなところ簡単に出れる」
「『力』は使えないんだよ!知ってるくせに同じことを―」
何度も言わせるな、と言おうとして、異変に気が付く。
怒りの余り握っていた拳から光が、漏れ出していた。全身に『力』の脈動を感じる。
「……ふ、ふふ、はははは!使えるぞ。本当に『力』が使える!」
怒りは歓喜に変わった。
じろりと黒夜を睨み付けると、おかしそうに笑う。
「さっきは、よくも僕のことを怒らせてくれたな。これは仕返しだ。くらえ!」
握り締めていた拳を開き、黒夜に向けた。手の中にあった光は黒夜に飛んでいく。黒夜はその光を素手で弾いた。
軌道をずらされた光は、明後日の方向に飛んでいき、壁に当たって消えた。
それを見た犬神は絶句している。
「そんなものは、俺に通用しない。もっと、ちゃんとしたのを打ってみろ」
黒夜の言葉で我に戻ったのか、慌てて距離をとった。
今し方まであった余裕はなくなりつつあった。犬神は焦燥に駆られている。
「どうなっても知らないからな!」
それだけ言い捨て、呪文を唱え始めた。殺すことのないよう、力の制御をするつもりでいた。つまり、ただの脅しだ。
「奔流する水よ」
「漆黒の闇よ」
黒夜が合わせるように唱え始める。
犬神は相手が、自分と同種の魔法を使おうとしていることに気付いた。だが、灯夜は『力』を使えないはず。ただのはったりだ。と、そう自分に言い聞かせ唱え続ける。
この時の犬神に対峙している相手が、黒夜だということを知る術はなかった。
「その姿を槍に変え、敵を貫け!」
「我が牙となりて、敵を引き裂け」
手中に『力』が収束していく。
「ウォータランス!」
「ダークランス」
互いの手から五本の槍状の形となった水と闇が放たれた。
放たれた槍は敵を貫くため、一直線に奔る。一つ、また一つと槍はぶつかり合い、消えていく。結局、お互いに傷一つ付けることなく、相殺に終わったのだった。
課題の山に忙殺されていました。出来る限り早く更新するつもりですが、出来なければすいません!