一年の間
考え事をしていると、あっという間に昼休みにになった。
社は鐘が鳴ると同時に、またどこかの教室に向かっていった。彼は授業の間にある休み時間も、そうしてどこかに出かけていた。情報を集めているに違いない。
灯夜も後を追うように廊下に出た。行き先は決まっている。一つ下の階である、二階の一年生のフロアに行くつもりだった。
二階の廊下には、生徒の姿は数人しか見ることができない。おそらく、皆教室か食堂で昼食をとっているのだろう。
仕方なく、一番近くにあった教室に入る。すると、数人の生徒がこちらを見て不思議そうな顔をしていた。
そんな好奇の視線を無視して、机を合わせて、一塊のグループとなっている女生徒に話しかける。
「ちょっといいかな」
女生徒たちは顔を合わせると頷いた。
「はい、なんでしょうか」
近くにいた少女が答える。
「少し聞きたいことがあるんだ。二年C組の神凪静流、蒼崎ゆかり、犬神修司、広瀬早苗、不動円、石渡夕子を知ってる?」
「はい。その人たちなら知ってます。有名ですから」
「じゃあ、五月十四日から二十一日の間の放課後、彼女たちを見た人はいる?どんなことでもいい。知ってたら、教えて欲しいんだ」
灯夜の話を聞き終えると、彼女たちの話し合いが始まった。
話が終わるまで、じっと待つ。
しばらくすると、話し合いは終わったらしく、こちらを向いてくる。
「すいません。私たちの中に、あの人たちを見た人はいません」
「そう。分かった」
最初から手掛かりを掴めるなどと思っていなかったため、さほど気落ちはしない。
教室を出るとまた別の教室に入り、話を聞くということを数回繰り返したが、なんの手掛かりも掴むことができなかった。
最近、色々な人の小説を読んでます!参考になりますね。これからも精進するので、お付き合いお願いします。