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苦悩そして祈り

 静流は苦悩していた。ゆかりをこの世界に引き込んでからというもの、次々に連れてこられる生徒を見て、背筋が寒くなった。今更やめるとは言えず、雫に促されるまま、こんなことをしてしまっている。

 連れてこられた人々は総勢で五人。どれも静流をいじめていた、エリートグループの人間である。

 最初はまだマシだった。だが、時が経つにつれ、五人の精神は、明らかに異常になっていった。

 静流自身も精神的に参っていた。もう、たくさんだった。しかし、自分ではどうすることもできない。この世界でできることといえば、物を出すことだけだった。自分自身の『力』が、使えないためである。

 一度は雫に止めるよう言ってみたが、却下された。言い返そうとしても、あなたも望んだことよ、そう言われると、なにも言えなかった。

 彼女たちが解放されるためには、灯夜がこの世界に来ることが条件となっている。

 静流は祈った。灯夜が早く来て、みんなを助けてくれるようにと。身勝手な話だが、静流には、願うことしかできない。自分の無力さに嫌気が差した。

 (お願い。月代君。早く来て。そして、みんなを、私を解放して)

 静流は願いつづけた。決して、ここからでは灯夜に届かないと分かっていても。

 雫はそんな静流の心中を察しながらも、彼女たちへの罰を止めることはなかった。静流が非情になれない分、自分がやるしかない。そう思っている。形は曲がっていても、静流を思いやる気持ちは本物なのだ。

 そして、雫は待つ。静流が本当に必要としている、灯夜を。静流と灯夜に自分の気持ちを気付かせ、汚れ役を被るのは、自分の役目だと言い聞かせながら。


初めましての方は初めまして!ご愛読の方は久方ぶりです。この間、遂に読者様からのメールが届きました。イニシャルはY.Hさん。本当にありがとうございました。嬉しかったです。これからも応援よろしくお願いします。他の方も待っております。冷水でした。

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