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プロローグ

 ジリリリ…。

 朝の静寂は、けたたましい目覚ましの音で破られた。自分では止まることの出来ない暴走機関車は走り続け、数分が過ぎた。少年は観念するように布団の中から手を出し、小うるさい元凶を叩く。

 カチッ。

 再び部屋の中は静かになった。

 伸ばした手で時計を掴み顔まで持っていくと、時刻を確かめる。多少、予定より起きるのが遅くはなったが、まだ安全圏だと針は示している。

 少年は起き上がって軽く頭を振り、カーテンを開いた。窓からは太陽の光が降り注ぎ、鳥たちがいつものように歌っている。

 天気は晴れ。

 少しの間その場で外を眺めた後、部屋を出て台所に向かった。

 部屋を出るなり、ひんやりとした空気が体を包み込む。一瞬、布団の中に戻ろうかとも考えたが、意味のないことだった。

 一本道の細長い廊下の途中にある台所に着くと、昨日買っておいたパンと冷蔵庫にしまってあるお茶を取り、向かい側にある居間に入る。

 居間には、少し大きめのちゃぶ台とテレビが一台だけで、何もない殺風景なものだった。

 少年は音もなく座り、テレビをつけ、質素な朝食を食べ始めた。丁度、天気予報がやっているところだった。今日は一日中晴れのようだが、前線の影響により、明日から数日に渡り雨が続くらしい。どうやら、本格的に入梅のようだ。

 少年は少しばかり陰鬱な表情を浮かべた。

 家には少年の他は、人の気配を感じない。これは至極当然で、この純和風の一軒家には、月代灯夜という少年が、一人しか住んでいないからだ。

 灯夜は私立蒼雲学園に通う高校2年生。

 蒼雲学園というのは全国にその名を轟かす名門であり、学業、『力』共に優秀な生徒を各地から集めたエリート学校だ。

 『力』というのは一般的に人間の潜能力であり、その『力』は『魔力』、『霊力』、『治癒力』という三つを主として成り立っている。もちろん、この三つの『力』だけでなく様々な種類がある。ただ、それは希少な存在とされていた。また、『力』を使えない者もいるが、それは更に稀とされていた。

 灯夜はそんな数少ない『力』を使えない者の一人だった。

 学園の生徒から見た灯夜の印象はいいものではない。普通にしていれば、容姿は悪くないのだが、今は緩んでやる気を感じないため、周りの評判はよくなかった。学園での成績もかなり低い上、運動神経も悪く、友人も少ない。はっきり言ってすべてが人並み以下の人間だと思われているのである。実際、その評価は今の灯夜当てはまっているが、本人はそんなことを気にしたことがない。

 灯夜は朝食を食べ終わると、居間の壁に掛けてある制服を手に取った。

 着ていた寝巻きを脱ぎ捨て、ズボンを履く。ワイシャツも廊下と同じ様に朝の空気を吸ってひんやりとしていたが、構うことなく袖を通す。そして、ネクタイを掴むと、洗面場に向かい顔を洗う。さっきまでの眠気が薄れ、頭の中がクリアになった。

 灯夜はネクタイを手に取り、結び始めた。ネクタイを結ぶという行為は得意ではなかった。高校に入学してから毎日やっている行為ではあったが、あまり慣れていない。だから、こうして鏡を見ながらでないと結べないのである。ようするに、不器用なのだ。

 なんとかネクタイを結ぶと居間に戻り制服を羽織り、時計を見る。時間は八時十五分過ぎ。少し急げばなんとかホームルームに間に合う時間だった。

 玄関の戸を開けると同時に灯夜は太陽の眩しさに目を細めた。やはり今日は晴天かと思いつつ戸を閉め、家を後にした。

 

初めまして。冷水です。

書き出して間もないので、未熟な所がたくさんありますが、読んで頂きありがとうございます。

また、続きも読んで感想下さいね♪

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