あーかい部! 27話① 恋バナ
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!
趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!
同じく1年、青野あさぎ!
面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!
独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河!
そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
池図女学院部室棟、あーかい部部室。
「あ"ぁぁぁ疲れた……。」
あさぎとひいろが部室に入るや否や、あさぎは机上に頭を横たえた。
「あさぎ、数学の後いっつもそれだな。」
「疲れた……。」
「……じゃあ、元気の出る話でもしてみるか?」
「元気の出る話?……教育課程から数学が無くなるとか?」
「……。」
「……冗談。」
「そうか。」
あさぎはダルそうに机上に頬杖をついた。
「で、どんな話?」
「ああ、ズバリ『恋バナ』だ!」
「『恋バナ』ぁ?」
「そうだ。言葉を交わす各々が胸中に抱く、青く甘酸っぱい恋心を言葉の弾にして撃ちあう、恋愛の模擬戦……いわばスパーリングのことだ!」
「恋バナをスパーリングって言う人初めて見たよ……。」
「まあまあ良いじゃないか。ちょうど今は2人きりだし、あさぎにはかねてより聞きたいことがあったんだ。」
「うわぁ疲れるの確定じゃん……。」
恋バナ、開幕……!
「……で?どうなんだ、お隣さんとは。」
「それが目当てか。」
「そりゃ、気になるじゃないか。モーラさんの正体がわかる前から、お隣さんの話はちょくちょく聞いていたからな。」
「ひいろは年上お姉さんに肉じゃがお裾分けされたり、後輩に勉強教えたりしたいんだっけ?」
「そういえば、お隣さんへの憧れを共有したこともあったな♪」
「ひいろのとこにもそのうち来るんじゃない?」
「うちは一軒家なんだ……。」
「一軒家に肉じゃがはハードル高いなぁ。」
「あさぎは良いよな、理想のタイプのお隣さんと半同棲だもんな。」
「半同棲って……恋愛じゃないんだから。」
「『恋愛じゃない』……!?」
「そこ驚くの?」
「モーラさんのこと『白ちゃん』呼びしてたのにか……?」
「あれは頼まれてやってたことだから……!///」
「じゃあもうやめたのか……。」
「もうモーラさん呼びだよ。」
「モーラさん……。もうお姉さんのフリをしなくても見てもらえるようになったんだな……、」
「そんな話だったっけ?」
「名前で呼んでもらえるって、結構嬉しいものだぞ♪」
「そうかな…………そうかも?」
「それはそうと、
ひいろが身を乗り出してきた。
「あさぎはPINEでトークしてるときだいたいモーラさんと一緒にいるみたいだが、どんな生活してるんだ?」
「あ〜……。」
「何かやましいことが……!?」
「ないない。英語教えてもらったり、映画観たり、ごはん食べたり……あれ?ほぼ同棲……?」
「思ったより進んでるんだな……。」
「……ああ、あれだ。ホームステイ、みたいな?」
「ご両親とか、いいのか……?」
「うちの親、仕事が忙しくてあんまり家にいないから。」
「そうか……。」
「2人とも『あさぎにお姉ちゃんができたー!』って、歓迎ムードでさ♪……やれやれって感じだよね?」
「妹なのにお姉ちゃんか……なんだか不思議な縁だな。」
「白ちゃん先生には内緒ね?」
「ああ、内緒にした方がいいだろうな……。」
「あれ?意外な反応……。」
「意外とはなんだ。」
「いや、ひいろのことだから『秘密にする代わり……わかるよね?』みたいな冗談が来るもんだと。」
「凄まじい風評被害だな。……まあでも、白ちゃんの耳に入りでもしたら、あさぎの身が危ないのは事実だ。」
「そんなに?」
「白ちゃんの前でそんなこと言ったら……リミッターが外れる。」
「リミッター?」
「性欲の前に、理性とはあまりにも無力なものだ……。」
「何それ怖
「やっほー2人とも、元気?」
白ちゃん入室。
「「げっ……!?」」
「いきなり『げっ……!?』なんて、ちょっと失礼じゃない?」
「すまない、ちょっと込み入った話をしていてな……、」
「……もしかして、先生には言えないようなやましいことでも
「そそそ、そんなことないですよ!?また2人でこんど発売のエッチな本を買いに行こうだなんて
「え"……!?」
しれっと自分もエッチな本を買うことにされて、ひいろは耳を疑った。
「まったく……。ダメとは言わないけど、程々にしなさいよね?」
「お、恩にきるよ……。」
エッチな本を頻繁に買いに行っていると思われて、ひいろは何とも言えない気持ちになった……。
「そ、れ、で……?」
白ちゃんが上座に座った。
「2人はどんな本を買いに行くのかしら?」
「「え"……!?」」
「エッチな本を買いなれた2人がわざわざ約束まで取り付ける程、1人で買うのが恥ずかしいような本なんでしょ?」
「待て待て!?ワタシはまだそんなこと
「1人だけ助かろうなんて、させないよ……?」
あさぎはひいろを道連れにした……!
「どんなハードな内容なのか、気になるじゃない?」
「はぁ……。じゃあ言い出しっぺのあさぎからな?」
「え"え"……!?」
「それとも、『エッチな本なんて嘘です』って言ってみるか?もっとハードなの想像されるぞ〜?」
「え?嘘なの?」
「くっ……!」
「……なんてね。そもそも2人が何隠してるかなんてどーでも良いし。でもそれはそれとして2人の性癖には興味があるじゃない?」
「なんてヤツだ、それでも保健の……
「「先生だなぁ。」」
あさぎとひいろの声がハモった。
「生きとし生ける保健の先生に謝れ。」
あーかい部!(4)
ひいろ:投稿完了だ!
あさぎ:酷い目にあった……
白ちゃん:ただ2人の性癖きいただけじゃない
きはだ:うわぁ……
ひいろ:それは次回分に持ち越したぞ
きはだ:前後編?
あさぎ:それだけ白ちゃん先生の取り調べが苛烈だったんだよ……
きはだ:カツ丼出たぁ?
ひいろ:カツ丼というか姉妹丼、親子丼……いや、もはやスクランブルエッグか……
きはだ:あさぎちゃん……
あさぎ:風評被害だ!!
白ちゃん:あれ?じゃあ今回は何の話?
白ちゃん:なるほどね?
きはだ:おいおいバレちまっていやすぜお2人さん
ひいろ:いいんだ、そんなことはもう……
白ちゃん:投稿するならちゃんと伏せ字は入れるのよ?
きはだ:えぇぇ……