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フィーネの呟き

 フィーネ。

 正式には、フィーネ・デ・フィラリオという名を持つ彼女はフランベーニュ王国有数の貴族フィラリオ家の一族の者であるが、それとともに、勇者一行のひとりとして活動し、「銀髪の魔女」として、この世界で一番魔族の戦士を倒した者として歴史に名を刻むことになる大魔術師である。

 さらに、ほぼ知られていない事実として、魔術師の道を進む者が必ず目標として掲げる「死者蘇生」の魔法をこの世界で唯一使いこなせる者でもある。

 それがこの世界に生を受けた彼女である。


 だが、彼女にはもうひとつの顔がある。

 別の世界で生きてきた者という。


 そして、その別人格の彼女にとって、ロバウが語るグワラニーのおこない、そして、その為人は、アリストが驚くものほどのものではなかった。


 彼女が元いた世界においては、冷酷、または自らの利益を最優先する為政者でも、必ず口にするお題目であったから。

 まあ、彼らを含めなくても、それを実践する者はそうはいなかったのも事実ではあるのだが。


 そして、あらためて事実を並べられたとき、彼女の思考はある可能性に辿り着く。

 それは……。


 魔族の将グワラニーは自分と同じ世界から来た者ではないのか。


 だが、その思考は、すぐにチェルトーザと同じ壁に突き当たる。


 転移した人間が魔族としてこの世界に現れることなどありえるのだろうか?


 チェルトーザはその常識が邪魔をし、大海賊ワイバーンが元の世界から来たと思われる証拠を数多く手にしながら、目の前で引き返した。


 それに対して、この時フィーネは可能性のひとつとして残した。


 ……もう一度会える機会があったら本人に尋ねてみましょう。


 そう心の中で呟いて。


 そして、すでにフィーネが元の世界から来た者であることを知っているグワラニーとの再会時、その機会はやってくる。


 まあ、それはもう少し先の話ではあるのだが。

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