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私を好きって本当ですか? ~自己肯定感の低い私が結婚したら幸せすぎでした~  作者: 吉沢月見


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 私たちのところへ亭山のご両親が挨拶に来てくれた。


「こちらが窺わねばなりませんところ申し訳ありません」

 瞬時に切り替わるエリー姉様をさすがだなと思う。慎ましい生活をしているはずなのに、思ったほど痩せていない体をぴしっと伸ばす。


「いいえ。蒼山の姉妹はみなお美しいと聞いておりました」

 亭山は西の深い森の中のお山だ。この人たちとももう親族。結婚とはそういうもの。


 ダンスから戻って来たコットも亭山の当主に挨拶をする。コットは誰とでも話せる。

「今年はもう雪は降りましたか? そうですか。いつぞやは白い絹をありがとうございます。妻のリンネットです。蒼山の娘なんです。足が悪く座ったままですいません。でもかわいいでしょう? もう親戚になりますね。はい、紅山に来ることがあれば城へ寄ってください」


 意外にも社交的。王様だから当たり前か。でもアレック様はじっとしているし、サイゼン様とリュール様はどこぞへ行ってしまったし、コットって本当に素晴らしい夫だ。


 コットが夫であることが誇らしい。紅山に嫁げて本当によかった。姉様たちには口が裂けても言えないけれど、紅山に変な風習がなくてよかった。私は辛いの嫌いだし、人が食べたものに手が付けられないし、足が悪いのに歯も取られたくない。夫以外と寝たくもない。


 別に姉様たちの行いが悪かったわけでもないのになぜなの? 姉様たちは私をいじめなかった。一緒に遊べなくても連れ出してくれたりたくさんお話をしてくれた。


 フレディだって心優しい弟だ。想い合う人と添い遂げられないうえに、彼女から殺されそうになり、その人が死んだ日にこうして別の女性との婚儀が続いている。


 この世界は、頭のいい人が、顔のいい女が、お金のある人が幸せになれるわけじゃない。自分の幸せに向かって着実に歩む人が幸せになれるのだと思う。私もその方法を知らないからコットに出会わなければたぶん不幸せのままだった。


 結婚はゴールではない。スタートだ。結婚生活は甘くなどない。知らない土地で、私は運よく大事にされているが、大半は折り合いがつかなかったりするのだろう。私だってきっとコットのお母様がいたら役立たずな嫁の代表格と揶揄されたに違いない。


 イネスが亡くなったというのにつつがなく進行してゆく。主賓の挨拶、余興、豪華な食事。昨日と変わらないようで、フレディにはまるで違う今日。弟なのに私よりも先に愛する人を失ってしまった。


 恋は愚かではない。私は結婚するまで他に好きな人がいなかったけれど、きっと姉様方は違うのだろう。だから不満が増大するのかもしれない。あの人と結婚していたら別の生き方があったかもしれない。そんなの、たられば。

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