87
蒼山の王宮からほど近いところに湖があり、フレディと一緒に水路を見学に行ったのにコットはエビの養殖が気になって一緒になって働いている。
コットは力持ちだし背丈もでかいから仕事が合っているようだ。
でもね、コットは王様なのよ。
湖から戻っても、コットはなにやらメモしている。
「イーカもエビのように干してみたら?」
私は言った。
保存ができたらもっと遠くのお山まで運んであげられる。輸出できればお金になる。
夕飯は干しエビのかき揚げだった。あと、おそば。
「イーカだって? あんな化け物みたいなものをリンネットに食わせているのか?」
父様はイーカを知っていた。
「私とベルダ姉様の好物よ。父様は嫌いなの?」
「どんなものです?」
フレディも興味津々だ。
「こんな形でね、こりこりというか、ねちょっとした不思議な触感よ」
ラティウス料理長が料理するときに見せてもらったら、中には黒い液体が潜んでいた。それを調味料のように使う場合もあるという。
「焼いたり揚げたり腹に米を詰めたり、いろいろな食べ方をします。紅山に来たときにはごちそうしますよ」
コットが言った。
「ありがとうございます」
名産はあったほうがいい。
桃山は花が有名だ。紅山も野菜は作っているが、温泉のほうが知名度は高い。でも温泉は来てもらわないとだから、もっと気軽に物々交換できるものがあったらいい。羊毛は冬だけだし、お皿は他のお山でも作っている。
「サイカ姉様には会った?」
「うん」
コットが口ごもる。戴冠式の話はするのにサイカ姉様の話はしない。なにかあったのだろうか。




