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二人きりになりたいのにフレディが邪魔をする。
「リンネット姉様以外は大変そうですよ。エリー姉様からの手紙は一度ここを経由しているんです」
「そうなの? 知らなかった」
「姑の目が厳しいようで、僕宛の手紙にリンネット姉様あての手紙が入っています」
「私の手紙も検閲されているかもって書かれていたわ」
でも私たちのやり取りなんてくだらないことばかり。
私とフレディの話を聞きながらコットがうとうと。度胸がありそうで繊細。昨晩はあまり眠れなかったみたい。父様に会うことに緊張していたよう。
「フレディ、旦那様がおやすみになるから出て行って」
「はい。ではまた夕飯のときに」
「うん。コットはお肉が好きで芋はそんなに好きじゃないわ」
「わかりました」
フレディを外に出したのは失敗だった。私ではコットを運べない。
コットが座って居眠り姿なんて初めて。紅山じゃないから少しは気楽? それともやっぱり神経疲れ?
面長に髭。こんなふうにあなたに触れるのは初めて。あなたを覆う1ミリくらいもあなたの温度。
「リンネット? すまない、寝ていたか?」
王様のだから深くは眠れないのよね。いつも気を張っている。
「二人きりだから大丈夫。ベッドでもソファでも横になって。運べなくてごめんなさい」
「ああ、構わないよ。おいで」
あなたは眠いのに私はちっとも眠くなくて、だからまじまじとあなたの手を観察してみた。
手の甲は太っている人みたいに肉厚。節も太い。爪はいつも短いのよね。
この手が好きなわけじゃない。この手を持っているコットが好きなの。
「リンネット」
寝言で私を呼ばないで。夢の中の私に嫉妬してしまうから。




