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「父様、白髪が増えましたね」
私は見たままを言った。
「リンネットは、元気そうだな」
「ええ」
「お久しぶりです、お義父上様」
コットが緊張するなんて珍しい。
「ああ」
「この度は、ありがとうございます」
ぎこちない。男の人同士だからだろうか。
コットが私を抱きかかえるとちょうど父様の目線になる。
「父様、私の部屋ってそのまま?」
「ああ
」
「じゃあコット、行きましょう。疲れちゃった」
体を伸ばしたい。
「あっちでサシャがお茶を用意しているよ」
父様が言った。
「はーい」
コットはいつも以上にいい姿勢で、余計疲れるのではないだろうか。
「リンネット様」
「サシャ。サシャも白髪が増えたわね」
「こちらが旦那様ですね」
「コット、私たちの教育係のサシャよ」
部屋でゆっくりしたかったのに大広間でお茶を飲むことに。そうか。もうこうやってもてなされる側なのだ。
「素敵なスロープですね」
コットが王宮を褒める。
「私のせいで階段が少ないの。でも入り口のあのスロープは急だから、カトでも一人じゃ降りられない」
アンナとキュリナも席を用意されていて困っている。端であっても、紅山ではメイドが王と同席などありえない。コットだけでなく父様もいる。
「奇妙な服だな」
と父様が私を見る。
「気に入ってるのよ。足の太さの違いも気にならないし」
私は言った。
「リンネットはドレスのほうが似合う」
これはあれだ。舅の婿いびりみたいなものだ。コットは黙ってお茶を飲んでいる。
「カモミールですね」
キュリナが気づく。
「正解よ、キュリナ。そうだ、サシャはもち肌だけど皺が増えたから顔エステしてあげて」
「お任せください」
そわそわしていたキュリナは役目を与えられてほっとしたようだ。存分にその腕を見せつけて。




