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「ベルダ姉様、お久しぶりです」
ベルダ姉様が紅山に来るのは二度目。最初は私の結婚の付き添いできてくれた。
「リンネット、きれいになったわね。大人っぽくなった?」
きっとコットのせい。
「侍女がお化粧上手なんです」
と誤魔化す。
ベルダ姉様は髪が伸びていた。
「髪を切らない風習みたいで。私も輿入れが決まってから慌てて伸ばしてみたけどそんなに急に伸びるものでもないしね」
「あとでキュリナにトリートメントをしてもらいましょう。痛んでいてもつやっつやになりますよ」
私は言った。
「楽しみ」
と微笑む表情にはどこか陰りが見える。結婚って、不安よね。わかるわ。
コットは仕事だが、お昼はベルダ姉様のためにイーカを用意してくれていた。
「これこれ、食べたかった」
姿焼きを見て姉様も私もびっくり。
「足の部分は庶民の食べ物だとコットは嫌がるけど、おいしいですわよ」
「こんな生き物がいるのね」
食後は蒼山からベルダ姉様が持ってきてくださったメロンを食べる。
「おいしい。懐かしい」
食べ慣れた養分が私の細胞に行きわたる。
「こっちにはないの?」
「違う種類の似たようならあります」
形がまん丸ではなく楕円形。
「私も金山で同じように思うのかしら」
ベルダ姉様は結婚に怯えているようだった




